メロドラマ作りはご一緒に①
メル友の恋

エロ注意報発令!これはあまりエロくない話です。今、エロエロ気分の人は飛ばして他を読んでくださいませ。
→いろいろあるよ!やらしいの➡もくじ
私もアキラさんもお互い、さみしかったのかもしれません。
二人とも、現実の自分の身近な世界でうまくいかないことに焦燥感を感じ、時には絶望に押しつぶされそうになっていたのだと思います。
そんなときに遠く離れた、現実なのか非現実なのかよくわからない相手と慰め合い、心を通わせあったのだと思います。
私はプロの漫画家を目指して、バイトをしながらネット上で作品を描く毎日を送っていました。
時々、出版社の主催する漫画の新人賞に応募したり、時には編集者相手に直接、自分で作品を持ちこんだり売り込んだりしましたが、なかなか認めてもらえませんでした。
私の親も故郷の友達も私が東京で大企業に勤めていると思っていました。私が漫画を描く時間がほしくて、企業を数年でやめてしまい、こんな生活をしていることは誰も知りませんでした。
学生時代の友達にも会社の友達にも今更、そんなバカな夢を追いかけるために、30歳手前で、お給料のいい会社をやめたとは言えずにいました。
私が唯一、自分のことをなんでも正直に話せるのがアキラさんでした。
アキラさんは私が自分のブログに掲載している漫画やイラストのファンになってくれました。
最初は、アキラさんが私のブログあてにコメントをくれたり、メールをくれたりしていたのですが、そのうちに本当のメールアドレスや電話番号を交換するようになり、私たちは毎日のようにお話をするようになりました。
私は自分の夢と、そしてうまくいかない辛い現実の話などの悩みをアキラさんにきいてもらっていました。
アキラさんが私の描く漫画やイラストのファンだということが、私を気持ちよくさせてくれて、そしてとても私を安心な気持ちにさせてくれました。
一方、アキラさんもいろいろ自分のことや悩みも話してくれました。
アキラさんは奥さんとうまく行っておらず、仕事もうまくいかずに、煮詰まっているとよく言っていました。
私はいつしかアキラさんに恋をしていました。
でも、私たちは、日本の東の都と西の都に住んでおり、仕事が忙しこともあり、めったに会うことはできませんでした。
ましてやアキラさんは家庭を持った人でしたし。
たった一度だけ会ってセックスをしたことがありました。
お互いの中間地点の名古屋で会ってセックスをしたことがあります。
私は夢中でアキラさんに抱かれました。
以前、アキラさんとメールで話したことがあります。
私はサンプラザ中野さんの『大きな玉ねぎの下で』という歌を最近知って、大好きになりました。
この歌はずっと手紙でやり取りをしていた男女の話です。
ずっと会えずに、お互いの写真だけを見て、手紙だけを見て、お互いに恋をしていた男の子と女の子の歌です。
「私たちだって昔で言うところの文通相手みたいなもんだもんね。」
と私はアキラさんに言いました。
この歌の一般的な解釈は、ペンフレンドの男女が、はじめて、東京の武道館で好きなミュージシャンのコンサートで会う約束をした。でも男の子がいつまでも待っても女の子は現れなかった・・・ということです。
アキラさんは私より全然年上なので、サンプラザさんのこの歌は以前から知っているということでしたが、アキラさんのこの歌に関する解釈もこのとおりの一般的なものでした。
でも私はサンプラザさんがこの歌について発言してらっしゃるのをyouチューブでみて、別の解釈をしています。
「あれって知っている?ただのペンフレンド同士が初めて会うときの歌じゃないんだよ。
いつか武道館でコンサートをすることを夢見ていて、売れなかった中野さんが、自分が売れなかったときから応援してくれていたファンのペンフレンドを、いよいよ自分が武道館でコンサートできるというときに、招待したのに来てくれなかったってことなんだよ」
と私はアキラさんに言いました。
「ふーん」
「サンプラザ中野が自分のファンの人が去ってしまう悲しさを歌った歌なんだよ」
歌と漫画ということで、媒体は違いますが、自分が作った何かを人に好きになってもらいたい人間として、私は勝手にサンプラザさんのこの歌に思い入れがあったのです。
今まで応援してくれた人が、応援してくれなくなったりすることはそれはとてもせつないんだよとアキラさんに私は話しました。
アキラさんにはこの私の話がピンときているかどうかわからない感じでしたが。
**
そして、あるとき、私の漫画がやっと初めて出版社に掲載されることが決まった時に、私は、朝起きると私は自分の衝動を止められませんでした。
私は急いで、バイト先に急に休みをいただきたい旨の連絡をすると、新幹線に飛び乗り、アキラさんの住む地方に向かいました。
アキラさんの家は知りませんが、私はアキラさんが働いているところは話にきいていて知っていました。
私はその街に向かい、そこでアキラさんに電話をしました。
アキラさんは私が突然来たことを驚き、とまどいつつも、昼休みにどこそこで会おうと言ってくれました。
私は早く、漫画が採用されることについてアキラさんに伝えたくてたまりませんでした。
しかし、約束の時間にアキラさんは来ませんでした。
電話してもメールしても返事がありませんでした。
夜まで、電話とメールを繰り返し、私はアキラさんの働く街をうろうろしました。
とうとう終電の時間が来てしまいました。
明日はバイトを休むわけにはいきません。私は仕方なく、東京に戻る新幹線に乗りました。
そして、その日から、アキラさんが私のブログにコメントを書くこともなくなり、メールにも電話にも返事が来なくなってしまいました。
私がアキラさんに接近しようとしすぎたから敬遠されたのかな?
最近、ちょっとアキラさんのメールの文面もあっさりしていたし、私の彼に対する情熱のほうが大きすぎて、それにとまどっているみたいで、困っているみたいだったものな。
やはり本当にあの歌通りになってしまいました。
やっと中野さんが武道館でコンサートをできるようになったときに、ずっと応援してくれていたファンだったはずの彼女は、もう来てくれなかった。
-----続く--------
★続きのお話 はこちら → ★メロドラマ作りはご一緒に②
〈最新ページに行く〉
〈索引ページに行く〉
〈女性の特徴別検索に行く〉