婚活パーティでやり逃げされ続けるアラサー女子②
結婚する気がある人はいるのか?

★これまでのお話 はこちら → ★婚活パーティでやり逃げされ続けるアラサー女子①
★嘘つき男C★
あやめが行った今度の婚活パーティーは、女性25才〜35才、男性30代という年齢のくくりのある、落ち着いた感じのパーティーだった。
免許証などの身分証明の提示が必要だった。
この婚活パーティーは個室形式だった。
男女が二人だけで個室のようにしきられたところで、10分ほどお話をする。
最初から落ち着いて二人で話ができる環境だった。
相手は10分ごとに変わる。
ここで、あやめは一人だけ気に入った人がいた。
年齢は35歳と少し高めだったが、あやめは交際してみたい、ということを主催者側に伝えた。
相手もあやめを気に入ってくれたようだった。
二人は、そのパーティーにおいて”カップル成立”ということになった。
二人は連絡先を交換した。
あやめは、今度はすぐにエッチをしないように気をつけた。
1か月ほど、エッチ無しであやめとその人はデートを続けた。
実は3回めのデートで、男性にエッチを迫られたときにあやめは強く断ったのだ。
そのとき、男性は
「いいよ。君のこと好きだから、いつまでも待つよ」
と言ってくれた。
男性は一切エッチなことをしないで、あやめをいろいろなところに連れて行ってくれた。
何回目かのデートの後、もういいわ、この人とならエッチしても・・・とあやめは思った。
それに性の一致、不一致は結婚生活でも大事なこと。
結婚前に確かめておかないと。
デートをしはじめて一か月後、男性があやめにキスをしてきた日に、あやめは彼とホテルに向かった。
****
ベッドで向かい合って座って、二人はキスをした。
男は優しく、あやめの首すじや肩にも唇を押し付けてきた。
そこらへんが感じやすいあやめは、とろけそうになった。
次にそっと押し倒されると、男は上に乗っかってきた。
男の大きな手があやめの手を抑えて、また唇や肩や首への口づけを繰り返す。
あ・・・。あ・・・。
あやめは男の手を振りほどくと、男の背中に両手を回してしがみついた。
男の唇は少しずつ下がっていき、あやめの乳房へ到達した。
乳房と乳首は丹念に愛撫された。
あやめは感じながら、あ・・・。相性いいかも・・。と思った。
男があやめの股間に手を伸ばした。
男があやめのそこをいじるとピチュピチュという音が出た。
いやあん。
男はしばらく、あやめのそこにイヤらしい音を立てさせた。
そして、あやめの中に入ってきた。
あ・・・。
男の差し込んでくるモノと、あやめの受け入れる器はフィットしたようだった。
ズッポリとはめられて、あやめは充足感を感じた。
男が動き出すと、あやめはすぐに声を出し始めた。
「ああっ・・ああっ・・・」
男があやめの奥の方を突きだすと、あやめはもうイッテしまいそうだった。
「あん・・・あん・・・あんっ!」
男が動くたびに、あやめの口からも声が漏れた。
あやめの脚を持って腰を動かしていた男は、あやめにおおいかぶさってきた。
そしてあやめを抱きしめながら、また腰を激しく動かした。
「あああん!!!」
あやめは男の背中にしがみついて、イッテしまった。
男もあやめの中に放出した。
ああっ・・・。性の相性いいかも・・・とあやめは思いながら、グッタリしていった。
****
セックスのあと、男性はバスルームに向かった。
ベッドであやめが甘い余韻にひたっていると、そのときベッド脇の机の上に男性が置いていったスマホが鳴った。
思わず反射的に、あやめは手に取ってしまった。
LINEの通知だった。
スマホの画面の上部にLINEのメッセージが流れた。
『パパ、誕生日のプレゼント、やっぱり〇×▲(小さな子供の好きなおもちゃ)の方がいいな。
もう●◎(これも子供の好きなおもちゃ)買ってくれっちゃった?』
子持ちの既婚者か~いっ?!!
今回の婚活パーティでは、参加者には免許証などの身分証明の提出の必要はあったが、免許では既婚未婚の違いはわからんがな。
男は、あやめと一回セックスしたから、もう用なしということで、スマホを不用意に置いていったのか?
それとも、あやめのことをもう手なづけたと思って、ここらで既婚者ということをカミングアウトして、今後はセフレにするつもりなのか?
あやめは、ベッドから飛び起き、急いで洋服を着るとホテルの部屋を飛び出した。

★正義漢D★
あやめはもうこりた。
でも、もうひとつだけ別の会社主催のパーティを申し込んで、お金も払ってしまっていたので、あやめは最後にそのパーティーだけは出席して、もうやめようと思った。
3回のパーティーでは貴重な時間を無駄にしたものだ。
今度のやつは、男も女も20代限定のパーティーだった。
よかった。
30過ぎの男は既婚者の恐れがある。
が、現実は20代で結婚している男も世の中にはたくさんいるわけで、それだけで完全に安心とは言えないが。
このパーティーは、長ーいテーブルがあり、その片側に男性がズラッと並び、反対側に女がズラッと並んで座る形式だった。
全員の男女の年齢、職業、年収などが書かれたプロフィールは事前にもらっていた。
会員は、主催者側に源泉徴収票の提出が必須とされていて、やはり既婚未婚はわからないが、職業、年収は、嘘のない確実なプロフィールだと思われた。
男女が向きあって二人で少し話をしたら、男性が隣にずれてゆく。
そして全員と話終わったら、最後に自分の気に入った人の番号をカードに書いて主催者に渡す。
それでマッチングしてもらうという。
うまくカップリングできたら、お互いの連絡先を主催者側から教えてもらえる。
その後、連絡を取る、取らない、つきあう、つきあわないは本人たちの自由だ。
でも、もうやる気のないあやめだった。
話かけてくる男性たちに適当に答えていた。
自分からは質問もしなかった。
5番目の男性だった。
その人があやめにお話ししてくることにも、あやめが適当に相槌を打ったりしていたら、急に男性が不機嫌になった。
「こんなところに来ておいて、何なんですか?
あなたのやる気のない態度はなんなんですか?
ここに来る皆さんは、一生懸命、真剣に結婚のお相手を探しているというのに!
あなたの態度は失礼にもほどがある!
あなたは婚活パーティに参加する資格はないです!」
男性は怒りだした。
あやめは目が覚めたようにハッとした。
怒ったような鋭い目であやめを見つめる男。
さっきまで全然何とも思っていなかった男の顔が、なんだかりりしくて、素敵に思えてきた。
あらためて、男のプロフィールを見たあやめだった。
サラリーマンだ。年収もそこそこだ。
28歳か、若いわ。
既婚者じゃないっぽいわね。
もしかしたら、この男性、すぐ怒っちゃう性格だから、女にモテない人なのかな?
だからここに申し込んだのかな?
このパーティが終わったあと、あやめは、”気に入った人カード”に『5番』と書いて主催者側に渡した。
ここは、いつかのときみたいに、外で男が女を待ち伏せして直接交渉をしたり、つきまとうことを防ぐために、帰る時間を男女で変えていた。
婚活パーティー参加の女性達は先に帰らせられた。
男はその後、30分ほどしてから解放されるらしい。
マッチングがうまく行ったら、その連絡は、その日のうち主催者側から各人にメールで来ることになっていた。
なんと、あやめにも主催者側から連絡が来た。
5番の男性の連絡先が主催者側から来た!
何なのよ。
あの人、あんなに怒ってくせに私のことを気に入ってくれていたの?!
あやめは嬉しくなってしまった。
そのあと、すぐにその5番の男性自身からもあやめの元にメールが届いた。
怒ってしまったことのおわびと、もう一度お会いしたいという内容だった。
数日後、ウキウキ気分であやめは、男性とのデートに出かけた。
もう彼氏のことはほとんど忘れていた。
あやめちゃん!あやめちゃん!・・・またヤラれちゃうんじゃないの?・・・
いいえ。その心配は大丈夫です。
しかし・・・。
5番の男性に会うと
「〇×社の山田と申します」
と言われ、名刺とマイナーな雑誌を渡された。
んんっ??
雑誌の記者さんなんだ?
あら素敵。
マイナーな出版社だから、プロフィールでは会社員としかわからなかったわ、とあやめは思った。
男性は、男らしい真剣な目であやめを見つめていた。
あやめはドキドキした。
しかし男性は思わぬことを口にした。
「もし失礼なことを言っていたら申し訳ありませんが、ズバリおうかがいします。
あなたは、婚活パーティの主催者側に用意されたサクラか何かではないのですか?」
ええ?どゆこと?
男性は、きょとんとしているあやめに深く謝罪してから、話を始めた。
話をきくと、この男性は、インチキ婚活会社の実態について取材をしているようだった。
また、婚活パーティーでは自分の年齢や既婚未婚を偽っている男女が多いということについても、潜入取材をしているとのことだった。
結婚に真剣だった友達が婚活パーティーで騙されてひどい目にあったそうで、許せない!とこの男性記者さんは正義感に燃えていたのだった。
男性記者は、婚活パーティーのあの日、今後つき合いたいと、すべての女性の番号をカードに書いて主催者側に渡したという。
今回は誰にでもいいから、女性側から体験談などの話をききたかったからだそうだ。
そして、それに引っかかった女性が、唯一あやめだったようだ。
「こう言ってはなんだけど、一番怪しいと思ったあなたからだけご指名いただいてしまって」
と、記者は言った。
ちょ、ちょっと待って!
ふ、ふ、ふ、ふざけないでよおおおおっ!!!
最初はエッチ目的の男二人の餌食になって、やっと誠実そうな人を見つけた思ったら、誠実は誠実だけど、恋愛とか結婚に関係ない人なんじゃないよおおお!
あやめは叫びたかった。
身体目的であろうと、正義感に燃えていようと、あなたたち婚活に邪魔なんだよ〜っ!!!
結局、この婚活活動・・。あれ?・・・結婚婚活活動?・・んん?・・・ま、いいや、とにかくこのパーティ達で、あやめは本気で結婚を考えている男とは巡り合えなかったわけだ。
「でも、結局、君だって真剣じゃなかったんでしょう?
彼氏がいるくせに参加して。
やる気もないし」
と、潜入記者の男に言われた。
そう。確かにそうでした。
もしかしたら、あやめも婚活パーティに邪魔な人だったのかもしれない。
そう思い、記者さんには一応、あやめは婚活パーティーでの自分の苦い体験の話はしてあげた。
グッタリ疲れて、あやめは家に帰った。
あやめが家につくと、家の前には彼氏がいた。
久しぶりに会う彼氏。
もうこのままフェードアウトかと思うくらい会っていなかったのに。
「そんなに結婚したかったなら、早くそう言ってくれればよかったのに」
家に上がると、彼はそう言いながら、小さな箱をあやめに渡してきた。
「君が一度も結婚のこと言わないから、最初に言った通り35歳でいいんだと思ってたんだよ」
彼はそう言った。
「やっと決心したんだ。
もう手遅れだったら悲しいけど」
箱の中には指輪が入っていた。
-------終わり------------
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