エロおっさんレンタル②
不倫の結果が悲惨な場合

★これまでのお話 はこちら → ★エロおっさんレンタル①
奥さんの話を聞きながら、私は契約書の下のほうを読んでいました。
『直接、主人と連絡を取ることは禁止です。必ず、妻経由でアポイントを取ってください』
と書いてありました。
契約書には『料金は日払い』などとも書いてありました。
いいわ。彼と会うときは二人きりでいいんでしょう?
そのときに彼をとっちめるわ。一体、どういうことよ?って。
お金も彼に支払わせればいいし。
とにかくこの場は話を合わせたふりをして、早く退散しようと私は思いました。
ゆっくりいろいろと考える時間が欲しいわ。
私は『エロおっさんレンタル』の契約書を読み終わり、サインをしました。
奥さんは私から契約書を受け取ると言いました。
「では、入会金 1万円いただきます」
マジなの?
契約書に入会金のことなんか書いてなかったじゃないの?
わかったわ。
この人も意地になっているのね。
こんなアホなことを言い出したら、私があきれて引くと思っていたのね?
そして無事、私たちを別れさせられると思っていたのね。
なのに私が引かないもんだから、急に入会金を請求してみたりして。
おもしろいじゃない。のっかってやろうじゃない?
数日後、私はホテルのベッドの上に座って彼にキスをされていました。
彼が『エロおっさんレンタル』になってから初めてアポを取ったのでした。もちろん私がアポを取ったのは奥さんとです。
どうして奥さんにバレるようなヘマをしたのかと、私が彼を散々攻めた後でした。
「ごめん。スマホ見られちゃって」
「だから!LINEやメールはこまめに消してって言ったでしょう?!・・・で、どうするの?これから?」
「今すぐに君と別れることはできない。無理だ」
「じゃあ奥さんのやり方に従うの?」
「こんなバカな話があるかって僕は言ったんだけど、でも言うことをきかないと(離婚するっていうし) 、君を訴えて裁判するとか、君の勤め先や両親にも言いつけるとか言うし。
ちょっと様子をみよう。妻への代金は僕が払うよ」
と彼は言いました。
そして続けて
「で・・・それなんだけどさ。
支払いたいんだけど、夜の時間2000円はきつい。
今度から会うのは昼間にしてくれないか?」
と、彼は言うじゃありませんか。
「ええっ?」
私は言いました。
「昼間なんて平日、会えないじゃないの。
昼間だとしたら、日曜しか会えないじゃない。
土曜日は私、習い事しているからダメよ」
私はとても不満でした。
バレたら奥さんと別れてくれるとかそこまでは夢見ていなかったけど、私と平日の夜に会うお金さえもケチるわけ?
(まあケチっているのは私も同じだけど)
でも、彼に
「仕方ないだろう。解ってくれ。今、君と別れたら生きていない」
と言われて抱きしめられたら、私の機嫌は直りました。
彼は私を抱きしめ体中を撫でながら
「もう二度と抱けないと思っていた・・・」
と言いました。
私は彼にしがみつきました。
彼は私の裸をいとおしそうになでて、
「きれいだよ。たまらないよ」
と言いました。
そして、いつもより丁寧に乳房や性器を愛撫されて、私は前戯でイッてしまいました。
彼が私の中に入ってきたときは、もう私はヌルヌルのびしょびしょでした。
その後も、彼に私の中で出し入れされながら、何度も愛してる、離さないと言われて名前を呼ばれ、とても感じてしまいました。
ああ~ん。
私もやっぱり、今はこの人をとても手放せないわ。
肉体的にもそうだし、こんなに自分が愛されていると思わせてくれる人を私は、手放すことはできないわ。
私の精神の安定のためにも『エロおっさんレンタル』は続けるしかないわ。
私はそう思いました。
その後、私と彼は日曜の昼間にちょこっと会って、急いでホテルの休憩タイムを利用し、そして夕方にはお別れするようなデートを繰り返しました。日が沈みかけたら『夜とみなす』と契約書に書いてあったからです。
しかも、日曜は時々、おうちの用事で奥さんにアポを断られることもありました。
「本当に申し訳ないです。法事なの。
ウソじゃないんですよ。本当にごめんなさい。
今度の日曜日だけはごめんなさい」
奥さんは一応、客(?)である私にちゃんと丁寧に謝ってはくれました。
でも私は不満でした。
私の都合で日曜日がダメなときもありました。
そうすると何週間も彼に会えないこともありました。
私はどうしても、平日の夜に彼に会いたくなりました。
「夜の時間2000円はきつい」
と彼が言うので
「じゃあいいわよ。今回は私がちゃんと払うから」
と、その時私は言いました。
平日の夜に私がどうしても会いたいときは、私が時間2000円のお金を払うことにしてあげました。
私にはそれがとても不満でした。
そして他にも私の不満はいろいろつのりました。
こんな不自由な会い方しているのに、私がお金を出すこともあるのに、セックスのときに彼が私のことをきれいだと言ってくれなかったり、前戯が手抜きだったり、ちゃんとイカせてくれないことがあったりすると、私はとてもイライラムカムカするのでした。
今までは、もしそんなことがあっても、彼に抱きしめられて過ごせたら、それだけで幸せだったというのに。
そしてある時、私の怒りは爆発しました。
その日曜は、本当はゆっくり寝ていたいけど、彼ともたまにはゆっくり過ごしたいなと思って、朝早く10時から彼に会いたいと奥さんに連絡をしたら、奥さんは快く承諾してくれました。
「毎度ありがとう~ございまーす」
と機嫌よく、奥さんは言いました。
この前、彼がお風呂に入っているときに、彼の手帳をちらっとのぞき見したのですが、彼の奥さんには今、着物を買う計画があるようなことが書いてありました。
「妻に着物の展示会に付き合わされる。買う気満々」
と、私と会えない土曜日の日付にそんなことが書いてありました。
きっとそのためにお金を貯めることに今、奥さんは熱心なのでしょうか?
しかし、その日曜日のアポは奥さんがせっかくノリノリで受けてくれたのに、彼の寝坊により台無しになったのでした
9時45分に待ち合わせ場所で既に待っていた私の携帯に、彼の奥さんから電話がありました。
「申し訳ありません。
主人から、今私に電話があって、今起きたところなんだそうです。
ごめんなさい。私も今、外出先で。
それで、主人は遅れるけど必ず行くからということで、待っててもらえます?
10時半か・・・45分には間違いなく行けると思うのですが」
「今、起きたところですってええ?!」
と、私は叫びました。
「すいません。私も今日は用事で朝早くから出かけてしまっていて。主人を起こせなかったんですよ」
と奥さんは言いました。
私は彼を待ちませんでした。
私は彼をすっぽかした挙句に、夕方に奥さんにこちらからもう一度電話しました。
今回、私は上から出た態度をとりました。
「お金が発生するってことは立派なビジネスなのよ。
奥様、世の中なめてんじゃないの?」
と、私は言いました。
「なんですって?」
奥さんは、今まで聞いたことのないような、私の偉そうな言葉と態度に驚かれたようでした。
「そちらの都合で何回も断っておいて」
と、私は続けました。
「そちらもビジネスなら、ちゃんと時間の管理くらいしてくださいよ」
「ご、ごめんなさい」
奥さんは謝りました。
でもそのあとも、私があんまりにもしつこく怒ったのと、私が言ってはいけないことを口にしてしまったので、電話では修羅場となりました。
「大体、あんなエッチで5000円も取ろうなんてさあ!」
奥さんもとうとう切れました。
「あなた、よく偉そうにそんなことが言えたわねえ?」
「あら?なに?なに?怒ろうっての?この私に」
と私が言い返すと、
「この私って?
あなた、何様のつもりなの?
あなたは、そもそもはただの”泥棒猫”じゃないのよ!」
と、奥様も言ってはいけないことを私に向かって言いました。
「なんですって。
奥さん、また、そんな風に私を恫喝してももう遅いわよ」
と、私も引きません。
「遅いって?何がよっ?」
と、奥さんは言います。
「私はもうただの泥棒猫じゃないのよ。
あなたたち夫婦のやっている商売のお客さんなのよ!」
もう脅しても遅いわよ。
「奥さんが、私にもちかけた『おっさんレンタルの話』。
今日までやってきたこと。
これが明るみになったら、誰もあなたに同情しないと思うし。
たとえ、裁判になっても、きっと私も慰謝料を請求されずにすむことでしょう」
と、私は言ってやりました。
「う・・・・・・」
奥さんは黙りました。
私も黙って、奥さんが次にどんな反撃をしてくるか待ちました。
しかし、いつの間にか、奥さんは泣いているようでした。
「みっともなく怒ったり、揉めるのがいやだったのよ」
え?
「いつも夫は、私を一番大事にしてくれていると思っていた。
・・・・・・あなたのことはとてもショックだったわ。
・・・でも、怒ったり、泣いたり、焼きもちやいたりすることさえ、私には耐えられなかったのよ」
奥さんは時々、嗚咽をしながら言いました。
えええ?
「プライドが許さなかったのよ。だから平気な顔をしていたのよ」
と奥様は言います。
「もっと正直になればよかった。
正直にちゃんと怒ればよかった。
自分も素直にちゃんと傷つけばよかった。
・・・・・・
そして、『私は傷ついたんだ』と正直にあの人に伝えればよかった・・・」
奥さんは、泣きながらそう言いました。
私は黙ってしまいました。
奇妙な、この関係は終わりを告げました。
一時はプライドとパニックとヤケになって、こんなことを初めてしまったものの、引っ込みがつかなくなり、後悔をしていた奥さんでした。
また、自分がお金を支払うことにより、今まで通りの彼では、何か物足りないとうか納得がいかなくなってしまった私でした。
こっちはお金払ってるんだからもっと、私にもっと都合よくなってくれて当たり前でしょう?と、私は傲慢に思ってしまったというか。
以前のように彼と会うだけで楽しかったという気持ちは、いつの間にか、私にはなくなっていました。
奥さんに対する申し訳ないという気持ちもいつの間にかなくなってしまっていました。
それらの自分の変化のすべてに、私は自己嫌悪を感じていました。
一方、奥さん公認で私と付き合うことに、居心地の悪さというか、魅力を感じなくなった彼だったのでした。
またお金を払うことでどんどん傲慢になってゆく私に対しても彼は嫌気がさしていたようでした。
彼も以前のように、私を抱くことに喜びを感じなくなっていたようでした。
「もうやめましょう。本当に申し訳ありませんでした。奥さん。旦那様にも伝えてください」
私はそう言いました。
その意見に反対する人は誰もいませんでした。
-----終わり---------------------
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