【エロSF】地球に帰ってきた女たち
まあ~セックスがよければ大概のことは許す

惑星Cのメスたちは、この星のオスのことが、もう本当にいい加減、イヤになっていた。
キャリアウーマンのローラは、女子高時代の同窓会に行ったとき、昔、仲のよかったクラス委員だった美智子と話をした。
美智子は独身のローラと違って、結婚してから、いったん仕事をやめて子育てをし、そしてまた最近、会社勤めに復帰していた。
二人は、昔の懐かしい話をたくさんした。
しかし、その後、なんで、その話になったかわからないが、
「この前の”某医大”の受験の話、ひどい話よね?
男女、同じ試験を受けたのに女子の方だけの点数を大幅に下げていたなんて。
許せないわね」
と、ローラは美智子に言っていた。
「大学が合格者の人数に制限をかけたいのなら最初っから明示していれば、なんの問題もないのにね?
うちの娘の入った私立中学もちゃんと、最初っから女子40名合格、男子160名合格って言ってるよ。
そうせずに、黙って点数を割り引くなんてひどいよね。
頑張ってきた受験生の女の子が、どんなに絶望して傷つくか想像できないのかね?
男って、ほんっとに人間の心ってものがないのね!!」
と、この前、自分の娘を超難関名門中学のお受験をさせたばかりの美智子はそう言った。
「ま、あの大学は別途、官僚の子供の裏口入学もさせてるし。
他の学校も実はやっているらしいとはいえ、ばれたからには、あの大学は”お取り潰し”してほしいわ!!
それをしないこの国はいや!
よその国にいきたいわ!」
と、帰国子女のローラは憤りながら言った。
「私の場合、怒りの感情とはちょっと違うわ。
この国って今だにそうなの?って心底、幻滅&絶望だわ。
今後、娘の行く末が、男女差別に悩まされることを思うと、かわいそうで不安で不安で!
もし、これからあの子にそういうことがあるとしたら、可哀想すぎて!
不憫すぎて、胸が潰れそうだわ。
娘なんて産まなければよかった!
息子に生んであげればよかった」
と、子供持ちの美智子は言った。
そのときに隣のテーブルにいた”あっちゃん”も、二人の話に加わってきた。
あっちゃんは、昔から色っぽくて美人だけど、やんちゃな遊び人で、ちょっと高校では問題児扱いの人だった。
しかし、そんなあっちゃんも、さんざん世話になった担任のみずき先生には義理と恩義を感じていて、彼女は同窓会のたびに必ず、顔を見せる。
そのあっちゃんが、ローラたちに話しかけてきた。
「私もその話、すごいむかついたのよ!
その、医大の試験の話!!
男が女を馬鹿にするのもほどほどにしろって、思ったわよ」
と、あっちゃんは言った。
「意外ね?
いつも試験をバカにしてさぼっていたあっちゃんもそう思うの?
いえ、失礼!!
男に対して、おおらかそうなあなたでもそう思う?」
と、優等生組だったローラと美智子は純粋に驚いて、あっちゃんにたずねた。
でも、あっちゃんは言った。
「いや、医者になる女なんてたとえ私には全く関係ない人であっても、今回の件についてはものすごく同情するわよ!
私と違って、頑張っていた女性が何の落ち度もないのに、差別されていたなんてものすごくショックだわ!!
女という人種の自分も差別されているような気がして、落ち込むわ!!
自分って知らなかったけど、差別されている側だったの人間だったんだ?
知らなかったわ。
私も差別される側の人間だったんだってショック。
みずき先生に教えてもらった”島崎藤村”のショックが初めて身に染みたわ」
あっちゃんは結構、酔っぱらっていた。
「で、思ったの。
お前ら男たちがそういう考えならば、そーか、もうわかったよ!
私ら女は、男らには、今後、もう二度と、絶対にセックスさせてやんねえからな!って気になるのよね!!
そうすりゃ、あいつらも少しは反省すんじゃないの?」
「あはははは!!」
「いいわね!そのお仕置き!
男にもてるあなたが言ってくれるとなんだか心強いわ!」
優等生二人も、あっちゃんのこの提案には手を叩いて笑った。
いつの間にか、3人にの高校時代の恩師のみずき先生が近くに立っていた。
「ああ、みずき先生!」
”元、女子高校生”の3人は先生を取り囲んだ。
「お3人とも、ま、ま。落ち着いてよ。
男の全てが悪いのではなく、あの医大がそうだっただけでしょう?」
と、先生は言った。
しかし、一般の一流企業勤めのローラは言った。
「いえ、そこだけじゃなくって、どこも同じようなもんなんですよ」
「先生は教師という、昔から比較的、男女同権のご職業だったと思いますが、私の会社なんていまだに男女差別ひどいですよ。
いえ、見かけ上はないのですが、明らかに出世の速度に男女差がつけられています」
と、独身でバリバリ仕事を頑張っているローラは言った。
でも
「教師だって大変だったのよ」
と、年老いたみずき先生は意外にもそう言った。
みんなは、先生の顔を興味深そうにのぞいた。
「私、部活の顧問もやってたじゃない?
平日も遅くまで学校にいたし、休日も夏休みも出勤が多かったわ。
でも、そんなときでも、家でご飯作るのも、掃除するのも全部私の仕事だったのよ。
夫は何もしてくれなかったわ。
共働きでも、家事はすべて妻がやるのが、当たり前の時代だったのよ」
と、先生は話した。
「はああ。そうかあ。
今のオトコは家事分担に理解ある人多いけど、先生の時代はまだそうだったのか〜」
と、あっちゃんは言った。
主婦、美智子も言った。
「いえ、うちなんて今もひどいよ!」
今度はみんなは。美智子の話をきいた。
「結婚するときに、旦那が仕事やめてくれって言ったからやめたのに、子供の受験が終わったら急に働いてくれって!
学費がすごいんで、パートでもいいので働いてくれって!
昔勤めていた会社がちょうど声をかけてくれたから、私フルタイムで仕事、復帰したの。
でも、結婚前は一応、私、主任まで行ってたのに、子育て期間の12年のブランクを経て、今度はいきなり新入社員並の安月給よ!
ふざけないでよ!!」
美智子は少し息をついたあと、また話を続けた。
「夫も私もフルタイムで働いているのに、家事はあい変わらず全部、私の負担なのよ。
旦那いわく、
『俺より美智子の方が給料が安いんだから、美智子が家事をするのは当然だろう?』
って。
『俺より稼いでくれよ!そしたら俺が喜んで家事でもなんでもするよ!』
とも言ったのよ!
もう!信じられないでしょう?
誰のせいで、誰の子供を産むために仕事やめたのよ!
誰のせいで仕事を中断してブランク作って、結果、給料が少なくなったのよ!」
美智子は、かなり立腹していた。
そういうこともあるんだ。
そう思ったローラは、つい自分の今の彼氏のことを話してしまった。
楽しい同窓会では忘れていたい話だったが、ついみんなにつられて、ローラは自分の恥ずかしい近況を話してしまった。
ローラと彼氏の場合は、美智子とは逆だったのだ。
ローラは仕事ができた。
同じ会社に勤める同期の彼氏より、いつしかローラの方が役職があがり、出世していた。
恋人が自分より出世したとたん、悔しくなったのか?いじけだしたのか?
ローラの彼氏は、若い年下の会社に遊びに来ているような仕事ができない女の子と浮気した。
ローラの話をきいたあっちゃんは、
「女が男より出世しなくてもダメだし、女が男より出世してもダメなんか〜い?!」
と、絶望したように叫んだ。
「私から見ると、自由を謳歌しているようにみえてたあなたたちも結構、大変なのね?」
と先生はつぶやいた。
そのとき、美智子が思いついたように言った。
「ねーねー、高校時代ってみんな、男に頼らずに自分らだけで何でもかんでもやったじゃない?」
「何でもって?」
「力仕事でも汚い仕事でも女だけでやったじゃん」
「そうーだよね!
女子高だから、男の子いなかったから、文化祭の準備のとき大工さんみたいなことも重いものも運んだよね。
女子だけでみんなで肉体労働もしたもんね」
「男いなきゃいないで、そういうこともやるよね。
できるよね」
「あと、校外の人とのいろんな交渉とか、難しいことも自分たちでやったわよねえ」
「男なんていらなくない?」
そのときだった。
この女子高校の同窓会は、庭園が綺麗なことで有名な都内のホテルの会場でやっていたのだが、突然、その庭園に宇宙船が降りてきた。
庭園いっぱいに巨大な宇宙船は機体を水平を保ったまま静かに地面に降りてきた。
その姿は、この惑星Cの技術のものとは思えなかった。
SF映画のUFOのようだった。
音は一切しなかったが、しかし、宇宙船の放つ光がものすごかったので、驚いた同窓会会場の女性たちは皆、窓際に走った。
宇宙船は地面に近づきつつ、美しい庭園の草木を踏みつけていった。
唖然として、”元女子高校生”たちと”元担任教師”が、その光景を見つめていると、やがて宇宙船から背の高い、細マッチョの金色の全身タイツを着たようなイケメンの男たちが何人も何人も出てきた。
男達は、同窓会会場に近づいてきた。
「話はしかと聞きましたぞ!
ここの星のオスが気に入らないのであれば、どうぞ、うちの星に来てください」
同窓会会場にいた女たちは、宇宙船から降りてきたイケメン宇宙人たちに拿捕され、宇宙船に吸い込まれていった。

宇宙船は、高度な知能と文明と文化を持った惑星D人のものだった。
惑星Dに連れていかれた惑星Cの女たちは、どうなったか?
エロに造詣の深いあっちゃんは、男にさらわれたら、すぐ自分がエロ奴隷になるのかと思っていた。
複数でまわされたりするのかと思って少しワクワクドキドキした。
しかし、それはされなかった。
いろいろD惑星の生活のレクチャーをされたり、快適なお部屋で、美味しい物を食べさせられたり、あっちゃんはお姫様のように扱われた。
3日ほど大事にされたあと、深夜D星の男があっちゃんのベッドに忍び込んできた。
あっちゃんは丁寧に体中を愛撫をされた。
おっぱいを遠い方から徐々にさらわれたり、じらされて時間をかけて乳首や股間を丁寧に触られた。
あ!愛撫がすごい上手!!とあっちゃんは思った。
D星の男がいかに惑星Cの女の研究をしているかわかった。
女の気分の高めかたや、スムーズに感じさせるにはどうしたらよいのかよく研究したのだろう。
そしてあっちゃんのそこが十分に濡れてきたら、D星の細マッチョのイケメンはズブズブ挿入してきた。
ああ!私の彼がいつも、私があんまり濡れてないのに拙速に入ってくるのと違うわあ!
勉強してるわあ!この星の人!
あっちゃんはD星の男にイカされた。
次の日も次の日もD星の男は手を変え、品を変え、ご自分はどうなのかわからないけど、とりあえず、あっちゃんのことをちゃんと満足させた。
でも一か月ほどすると、あっちゃんはなんとなくものたりなくなってきた。
自分の彼氏みたいに、ときにはあっちゃんを置き去りに、自分が先にやみくもに夢中になってイッテしまうとかないのかな?この人たち?と
あっちゃんは、そんなことを思い始めていた。
この人たちには、女の気持ちを読まれ過ぎで、なんかつまんないわあ。
あっちゃんの気持ちそっちのけで、とにかくガッツいてくる彼氏のことが可愛く、なつかしくなったあっちゃんだった。
******
子持ちの主婦、美智子は、D星ではこんな感じだった。
美智子についてくれた男は、D星で毎日遊びに連れて行ってくれたり、好きなだけ好きなものを食べさせてくれたりもした。
でも3週間、美智子のセックスについてどういうのがよいのか、どういうのがいやか、さまざまなアンケートで毎日、毎日、何十問も答えさせられ、美智子はうんざりした。
D星生活、4週間目にD星の男と初めてしたセックスは、いやな感じはしなかったが、自分のアンケート通りで、なんだかワクワクもしないし、よくもなかった。
****
みずき先生のD星での感想。
みずき先生のD星での相手は、他の人の前で、みずき先生を女王さまのように尊重してくれる男だった。
その男は、紳士で、いつもみずき先生を敬い、先生の一つ一つの発言を重んじてくれた。
でも、・・・なんか。・・・D星人はセックスが普通だった。
みずき先生は、思い出した。
いつも、人前では私に威張りちらす夫。
亭主関白をきどっている夫。
人前では、妻をバカにしたような発言を繰り返す夫。
でも、二人だけの夜の生活においては、今だに私に”ゴロにゃ〜ん!”だった夫・・・。
あのギャップに萌えた。
しかし、それに比べてこの星の男は、人前ではラブラブなのに、二人きりのベッドでは、ものすごい淡泊だわああ〜!!
みずき先生は、そんな感想を持った。
*******
ローラは思っていた。
このD星の男は完璧すぎる。
痒いところに手が届きすぎる。
摩擦ゼロ。
でも自分勝手でワガママで、私が疲れているとかそういうときでも、事情を考えずに私に夢中に襲い掛かってきたりする彼は可愛かったわ。
あの若い女と浮気したあとも、私が我慢して少し優しくしてやったあと、戻ってきた彼とやったセックスほど気持ちいいものはなかったわ。とローラは思った。
****
そのころ、惑星Cはどうなっていたろう。
一度にたくさんの30半ばの女性(お一人の女性だけはアラカン)が行方不明の事件になり、大騒ぎだった。
しかし、宇宙船を見たという、数人のホテルの従業員たちの言うことは
『ありえない、集団幻覚だ』
と結論づけられていた。
新聞は伝えた。
ある女子高の卒業生が、そろって家出をしたと!
楽しかった高校時代の仲間に久しぶりに会ったときに、現実の社会での今の状況に耐えられず、彼女らは逃避することにしたのでは?
何らかの集団ヒステリーでは?と心理学者や医者は、マスコミでワケ知り顔で語った。
しかし、それは違った。
やがて、宇宙人にさらわれる女はどんどん増えて行った。
その後、毎週のように惑星Cの各地に大型宇宙船が舞い降りて、老若男女(身体が男性で心が女性の人も含めて)、さまざまな女性たちを大量にさらっていったのだ。
惑星Cの女はみな、高度な知能を持ったD星の宇宙船にさらわれ続けたのだった。
******
しかし、結局、惑星Cの女のエロの要望が、微妙かつ複雑すぎて、D星の男には対処できないことがわかってきた。
D星の超すすんだAIでも解析が無理だった。
日に日に覇気がなくなり、つまらなそうになってゆく惑星Cの女の姿を見て、D星の男たちは、彼女たちを開放することに決めた。
*****
行方不明になっていた惑星Cの女たちは、惑星Cの各地に返された。
ローラたちも、あのホテルの庭園に返された。
惑星Cの男たちは泣きながら、詫びながら女たちを迎えた。
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