鳴かぬならどうすりゃいいの?ホトトギス①

どうしてセックスさせてくれないの


股の間を下から撮影している
「それ。ほとんど裸じゃないか?」
L下が言った。



リコとL下は、二人で海に遊びに来た。

リコのきわどいビキニを見て、L下が文句を言っているところだった。


リコとL下とは、付き合っているような付き合っていないような関係だった。

ずっと、ただの仕事の関係だった。



リコはL下のことが好きだったが、L下はリコのことを全然、女性として扱ってくれていなかった。

仕事をする関係としてはそれが実に正しかった。

また、その仕事にかかわる先輩としてL下はリコに正直に遠慮なく厳しいこともよく言った。

人生の先輩としてそれも全く正しい。

しかし、いつまでもL下が甘い感じで接してくれないのがリコには不満だった。




少し前に、酔った勢いで、L下がリコにキスをした。

それ以来、二人は、時々、遊びに行ったり、キスをするようになった。

二人の関係は少し進展したかのようだった。
でも、リコは思っていた。
「L下さんは、好きだとも付き合おうとも1回も言ってくれない。」



「なのにこの前、エッチをしようと言われた。信じられないわ」
リコもL下とセックスをしたかったけど、でも好きだとか愛しているとか付き合おうなどの言葉を言ってくれるまでは嫌だと思った。

L下にセックスしようと言われたときにリコは、ダメと言って断った。

それ以上は何も言わなかった。

「好きって言ってくれたらいいわ」とリコは言えなかった。




L下はその後も、リコとキスしたあとに、時々セックスを迫ってきた。

山に夜景を見に行ったときも、誰もいない道に車を止めて、助手席のシートを押し倒された。
助手席で、身動きがとれずに、L下に覆いかぶされ、服の上から胸を触られた。

でも、L下が服を脱がそうとしかけたときに、「ダメ」とリコは言った。

もっと優しくして甘く扱ってくれないと。そしてちゃんと好きって言ってくれないとダメとリコは思っていた。




今日は海に遊びに来たのだが、リコの布面積の少ないビキニにL下は不満だった。

(なんで、俺にはキスしかさせないくせに、よその奴らには裸同然の恰好を見せるんだよ)とL下は思っていた。

「L下さんに見せたくてこれにしたのよ」
とリコは言った。

「じゃ、もっと間近で見せろよ」
L下はそう言った。

リコはL下の前で、自分の体を1回転させてみた。

特に後ろ向きではゆっくり止まって、ほとんど丸出しのお尻はじっくり見せた。

リコはL下のほうを再び向くと
「どーお?」
ときいた。かわいいとか、きれいとか、セクシーだとか言われることに期待を込めて。



しかしL下は顔をしかめていた。
「着替えてこい。そんな恰好でうろうろするな」

そして
「みっともない。」
と言った。

リコはムカっとした。

その言葉に本当に頭に来た。

なんでこの人は人をほめたり、好きって言ったりできないのかしらと、リコは思った。



リコはL下の前を通り過ぎて、海辺のほうに一人で歩き出した。

「どこに行くんだよ。おい!」
リコはL下を無視してそこを離れた。
「更衣室あっちだろ!」
L下が叫んだが、
リコはすぐそばを歩いていた、見知らぬ青年に突然、声をかけた。
「ねえお兄さんひとり?」

「私も一人なの。一緒に今日一日遊ばない?」
青年がちょっとびっくりしている。


L下はリコに追いついた。
そしてL下はリコの腕をつかんだ。

「やだ、離してよ。」

「帰るぞ」

青年はおどろいて、去っていった。



「離して!」
リコは言った。
「私、帰らないから!何もしてくれないくせに彼氏づらしないで!」


「彼氏づら?
何もしてくれない?」
L下はリコの言葉にショックを受けた。こんなにあちこちに連れてってやっているのにセックスもさせないくせに!とL下は思った。


「そうよ。全然、ほめてくれないし、尊重してくれないし」

リコは続けた。
「あなたが私にあるのは性欲だけでしょ?」


「性欲だけ?」
L下はまたしてもガーンとなった。
無理やり、エッチしてしまうチャンスは何回もあったのにリコの気持ちを尊重して、あんなに我慢してやったのに、なんだって?とL下は思った。


リコは言いすぎたかもしれないけど、さっきの『みっともない』は絶対に許せない、聞き捨てならない言葉だと、思った。



「帰りたいなら一人で帰って。私、帰らないから」
リコはプイと横を向いた。


「そんな恰好で一人でウロウロしていたら危ないだろ?」

「ほっといて。あなたと二人でいるときのほうがよっぽど危ないわ」
そのリコの言葉に、またしてもL下はガーンとショックを受けた。

そんな風に思われていたんだ。とL下は思った。
そしてショックとともに頭にきた。
「もうわかったよ!好きにしろ!わかったから、とにかく誰かにフラフラついてくのだけはやめろよ」
L下は浜辺にシートを敷きながら言った。

「俺はここにいるから、ひと泳ぎして気がすんだら戻ってこいよ。必ず戻ってこいよ。俺の車の中にお前のパーカーおいてあるの忘れるなよ」

L下はシートに座った。


リコは一人で海に入った。

「わー気持ちいい」

(言いたいこと言ったらすっきりしたわ。でもちょっとひどかったかなあ。
傷ついたかしら?怒ったかしら?)
とリコは考えながら泳いだ。

(でもどんなにムカついてもああやってちゃんと待っててくれているところがさすがね。
てっきり一人で帰っちゃうと思ったわ。
パーカーなんて別にいつでもいいんだし。)

リコは沖のほうから、L下を見た。

(あまりいじめちゃかわいそうだからすぐ戻ってあげよう)
そうリコが思って、浜辺の方に向かって、再び泳ぎだしたとき
「彼女!待って!」とという声が後ろからした。

一人の男性が泳ぎながら、リコについてきていたようだった。
リコは泳ぐのをやめ、その場に立ち止まった。

「誰と来たの?」
とその男性はリコにたずねた。
「友達と二人で・・」

「俺たちも男二人なんだ。一緒に遊ばない?」


浜辺の方からリコを見ていたL下は一人で声を出してしまった。
「あ、あいつ!」


「えっと・・・・でも、友達と喧嘩して、友達、帰っちゃったの」とリコは適当なことを男性に言った。

「えーそうなの?じゃあ一人なんじゃん?じゃ俺も単独行動するよ。俺と遊ぼう」
とその男性は言った。

リコと男性は、浜辺に向かって泳いだ。

「すっごいかわいいね」と男性はリコに言った。


一方、浜辺でL下は
(あいつ。何、長々しゃべってんだ?)と気をもんでいた。


海から上がると男性はリコの全身を見て
「わ、すごい水着!」と言った。

「そう?」
「かわいい。セクシー。ナイスバディ」
男性はリコをほめたたえた。


その様子を無言で見ているL下だった。
「・・・・・」


「なんか喉かわいちゃった」
とリコが言うと男性は
「行こう。買ってあげるよ」と言った。


(あいつ~俺が見ているの知っててナンパされやがって)
L下は思った。
(ばかか、相手がその気になっちゃったらどーすんだよ!)


少しすると、飲み物の缶を持って、男性とリコは戻ってきた。

浜辺はとても混んでいる。シートやパラソルであふれている。


リコは
「ね、そこらへん座ろう」と、L下のすぐそばを指さした。

「うん」と男性は言った。


(おもしろい。へえー。わざと俺のそばに座って会話をきかせるわけね。なかなかいい根性してるよな~)
L下の心はメラメラした。


「今日はラッキーだ。こんなかわいい子と出会えて神様に感謝。」
と男性は言った。

(何がラッキーだ。何が神様に感謝だ。よくそういうことが言えるよな)とL下は舌打ちした。

男性とリコは会話を続ける。
「リコちゃん。なんで、ジュース2本も買ったの?」
「喉がすごい乾いているの」
「へえーすごーい」

(すげえバカみたいな会話・・・)と、L下は思った。

リコちゃんはいくつなの?とか
ほんとに、彼氏いないの?とか、男性はリコに話しかけていた。リコはあいまいに適当なことを言っている。

そのうちに、男性が
「俺、友達んとこ行ってシートとってくる。ちょっと待ってて。リコちゃん絶対にここにいてよ。絶対どっかいっちゃだめだよ。」
と言い出した。

「わかった。待ってる」とリコは男性に向かって言った。


男性がいなくなると、L下はその場に座ったまま、リコに大きな声で話かけた。
「おい!どーすんだよ?」


「まくなら今だと思うぞ。じゃないと付きまとわれるぞ」


「はいこれあげるわ。喉かわいたでしょ?」
リコはL下のほうに、缶ジュースを一本、放り投げた。


---------続く-----------------
★続きのお話 はこちら → ★鳴かぬならどうすりゃいいの?ホトトギス②


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1Comments

ダンディー  

これからの 展開が 楽しみやわあ♪

2016/12/20 (Tue) 20:53 | EDIT | REPLY |   

コメント