下品な情事①
大事な彼女には言えないこと

「一週間会えないからね。たっぷりしておこうね」
M波はそう言って、自分よりも10才も若い真澄の体を抱いた。
張りのある肌をすみずみまで愛撫してから、M波は真澄に挿入した。
最近、やっと、膣で絶頂を感じるようになった真澄だった。
M波の手ほどきで、フェラチオもなんとかできるようになった。
真澄は自分の家もあったが、ここ最近は週の半分くらいはM波の部屋にいることが多く、二人の暮らしぶりは半同棲のような感じになっていた。
今回、真澄が仕事で、関西のほうへ1週間ほどゆく。
その前に二人はたっぷり愛を確かめ合ったのだった。
さて、真澄が出張に旅立って5日目。
M波は会社で、取引先の魔子にばったり会った。
「まだ、出入り禁止になっていなかったのか」とM波は言った。
「誰の権限でそんなことが?」と魔子は言った。
魔子は昨年、M波の同僚と問題を起こしていた。
魔子が、配偶者のいる同僚と情事を繰り返していたことが、妻に発覚した。
魔子は冷静で、しかし一歩も引かずに、自分の立場を主張してきた。
それに怒り狂った同僚の妻が大騒ぎして、もう少しで大事になるところだった。
そのときに、会社の知るところにならないように、M波がいろいろ気をつかいながら、夫婦を元の関係に戻すことに力をつくしたのだった。
そのときに一緒に力を貸してくれた親が弁護士である後輩がいたのだが、その後輩からも後にM波はとんでもない告白をきいた。
「実は僕も魔子には騙されたことがあるんです。」
どういうことかとM波がきくと、仕事を通じて、魔子と知り合いになった後輩は、魔子に誘惑されてすこしの期間、つきあったのだがある日、あっさり捨てられたという。
そんなことがあって、M波の中では魔子はタチの悪い要注意人物と認定されていた。
「実はあなたもそのタチの悪い女に騙されてみたいんじゃないの?」
と魔子はM波に言ったことがあった。
魔子の悪事は双方の会社にはばれていないために、今だに、魔子とは仕事で顔を合わせることがあった。
そんなときに関係者のパーティーで魔子が近づいてきて、そんなことをM波に言ってきたことがあった。
魔子は確かに魅力的な女性だったが、M波は自分は大丈夫だと思っていた。
自分はしっかりしているし、かわいい真澄という大事な彼女もいるし、魔子に騙されることはない。
あるとしたら逆に自分が遊んで泣かせてやるくらいだと思っていた。
「1,2回だったら相手にしてやってもいいけどな。それ以上は勘弁だけどな」と少し酔っていたM波は言った。
「いいわよ。1、2回でも」と思わぬ答えを魔子が言った。
「やっぱり駄目だ」
すぐにM波は言った。
「俺の彼女、若くってさ。でも、もうこっちは中年だし、俺、ほかで無駄打ちしている余裕なし」
M波はこの女にはどんな下品な失礼なことを言ってもかまわないと思っていた。
「無駄打ちって・・・・」と魔子は言った。
「失礼ね」と言って、でもおかしそうに笑った。
そんなことが1か月ほど前にあった。
魔子の会社との窓口は、今はM波の会社では、先輩の担当になっていた。
今日は、部署のすぐ隣にある小さな会議室で魔子と先輩は打ちあわせをしていたようだった。
昼休みになっても先輩も魔子も出てこない。
午前中はときどき、会議室から、先輩のダメだしの大きな声がきこえたり、
時々いらつきながら先輩が資料を取りにデスクに戻ってきたり、廊下にある喫煙所でたばこを吸いながら神経質そうに頭をかかえて休憩している魔子の姿をM波は見かけたが。
昼休みが終わって、M波がオフィスに戻ってくると、会議室から二人は出てきた。
魔子が何か懇願するように先輩に話しかけていた。
魔子の「もう一度チャンスをください。」という言葉だけがM波には聞こえた。
「はいはい、またね」
先輩はいらいらしながら、魔子をあしらっていた。
魔子が失礼しますと、廊下に出て行ったのを見て、M波も廊下に出てみた。
エレベーター前で魔子は大きな資料の入ったカバンを強く抱きしめるように抱えて立っていた。
カバンを抱きしめながら魔子はだんだんとうつむいていった。
しかし、急にキッと顔をあげると、魔子は上等そうなスーツのそででぐいっと目のあたりをぬぐった。
そして大きく、うなづいた。
「意外な一面。」
と、M波は魔子に声をかけた。
魔子は驚いて、M波のほうを見た。
「クールぶってるけど、本当は結構、熱血なんじゃないの?」
とM波は言った。
「熱血う?」と魔子は言った。その顔が目が真ん丸で、アホみたいな無防備な驚いたような顔だった。
顔に涙の流れたあとがあった。
「かわいい顔もするんだな」とM波は言った。
「かわいい?あまり言われたことないわ」と魔子は言って、恥ずかしそうな怒ったような顔をした。
「そういうとこが」とM波は言った。
「かわいい」とM波は続けた。
「やばい。本当に一回、寝てみたくなってきた」
その夜、二人で居酒屋で飲んだあと、店を出ると魔子はM波に言った。
「で、結局、どうするの?無駄打ちしてみるの?してみないの?」
「実は彼女が一週間いないんだ」
とM波は言った。
「そりゃ一人で出すより女性相手に出したいな。同じ無駄打ちであっても」
「あなたってほんっとに失礼ね。そして下品ね」と魔子は言って大笑いした。
「ひとの男に手を出したり、20歳そこそこの若い男を弄んだりして、下品なのはお互い様だろ」とM波は言った。
「下品な者同士で下品なセックスしようぜ」とM波は言った。
M波が、家に魔子を連れて帰ると、
「お帰りなさい」と言って、真澄が出てきた。
「お客さん?」
M波は心臓が破れるかと思った。
「真澄!どーしたんだ?大阪に行ってたんじゃ?」
「急病人が出て、急にこっちの仕事が大変なことになって、呼び戻されたの。
でもすっごく忙しくて、一日中、ドタバタしてて連絡できなかった」
と真澄はいう。
「お客様?」といぶかしげに真澄がもう一度きいた。
M波はあわてて言った。
「仕事でちょっとどうしても今夜中に打ちあわせしなくちゃならなくなって」
真澄は少し考えていた。考えた結果、そんなバカなことがあるかと思った。
真澄は半分怒ったような、半分泣きそうなような顔して家の奥にドタバタと走っていった。
「 失礼するわね・・」と魔子は言って帰ろうとした。
「待ってくれよ。話会わせてくれないか」とM波は言った。
「いくらなんでも無理でしょう」と魔子。
「いや実際、俺の仕事、いつかも同僚に夜遅くにうちにきてもらって仕事したことあるし。あいつもそのとき、ここにいて見てたし。」
とM波は言う。
「頼む!悪いけど、話会わせて!」
「んん~できるかなあ?」と魔子は言った。
「頼む!そうだ。名刺だして!君のところも、知らない人はいない大手企業だし、俺の会社と取引あることあいつ知っているし」
「うーーん」と言いながら魔子は名刺入れを取り出した。
「いいから。話あわせて!」とM波は言った。
やがて、自分の荷物を持った真澄が怒りに満ちた鬼のような顔をしてドタドタと玄関に出てきた。
---------続く--------------------------------
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