セフレになっちゃおかな①
エッチな彼

絵里はE本が好きだったが、いまひとつE本の気持ちがわからなかった。
E本は絵里に好意を持っているように見えるときもあれば、絵里をからかったり、あるいは、よくいやらしいことを言ってきた。
酔っぱらったときなど、「おっぱい見せろ」とか「絵里がセフレになったら楽しいだろうなあ」などと言ったりもした。
好きな人にだったら絶対そんなこと言わないんじゃないかと絵里は思った。
男性が好きな女性にするように、悩み事などを熱心にきいたりするような態度はE本にはあまり見られなかった。
絵里が何か、まじめなことを話しかけてもあまり真剣にきいてくれなかった。
「大丈夫。大丈夫。あんまり気にすんな」で済まされた。
そのくせ、E本は、自分のほうが何かエッチなことを思いつくと絵里によってきてからかったりした。
そう。E本はあからさまに、絵里のことを軽く扱っていると絵里は思っていた。
多分、絵里がE本のことを好きなことは見抜かれている。
でもE本は、時々、この女、俺に惚れてるからやっちゃおうかなあ・・と思っているんではないかと絵里には思えた。
絵里も時々、もうそれでもいいかしらと思うこともあった。
E本さんのエッチの対象だけの女性になってしまってもいいかしらと。
E本と一緒に時間を過ごしたい、優しくされたい、だからそれでもいいかしらと。絵里は思った。
でも、もちろん本当はちゃんと愛されたい。
どうしようかと絵里は思っていた。
あるとき、絵里はE本他、仕事仲間と、4泊5日の泊りがけの仕事でとある観光地にでかけた。
仕事をする現場のそばのホテルに宿をとって、そこから朝になると仕事先に出かけ、夜になるとまた宿に戻るというような生活を滞在中は繰り返すのだ。
仕事先からホテルまでの道のりに、一部、街灯がポツリポツリとしかないとても暗い道があった。
初日の夜、複数人で仕事先からホテルに戻る途中で、E本のそばに絵里は走り寄った。
絵里は
「ここ、真っ暗で怖い! 腕につかまってもいい?」とE本にきいた。
「だめ」とE本は答えた。
絵里は
「ケチ!」と言って不機嫌になった。
でも絵里はE本のそばを離れずになんだかんだ話しかけて、宿までのE本との時間を楽しんだ。
次の日の夜、やはり複数人で仕事先から宿であるホテルに向かって歩いて帰った。
E本はエレナという女性と並んで歩いていた。
絵里はその後ろを歩いていた。
エレナが何かE本に言った。
エレナがE本の腕に自分の腕をからめるのが絵里には見えた。
「なに、楽しそうなことしてるんですか。」
と仲間の一人がE本とエレナに声をかけた。
「だってこの道、怖いんだもん。E本さんにちょっとつかまらせてもらってるの」
とエレナが答えた。
絵里は頭にカーッと血が上った。
次の日、夕方、休憩時間に仕事先のそばにあった公園で絵里がベンチに座って休んでいると、E本が近づいてきて隣に座った。
そこで、E本はペットボトルを飲みながら、一言、二言、絵里に話しかけたが、絵里はつんけんした態度をとった。
E本は言った。
「なに怒ってるんだ?」
「私が腕につかまらせてって言ったら断ったくせに、エレナさんにはつかまらせてあげてた。・・・・・E本さんは、私にだけ、いつもいつも意地悪するから嫌い。」
と絵里は言った。
少し考えてからE本は言った。
「絵里に腕なんかにしがみつかれたら欲情しちゃうから断ったんだよ」
「じゃあどうしてエレナさんにはOKしたの?」
「エレナさんにはしがみつかれても欲情しないからだよ」
絵里はE本に近づくと、目をつぶって、E本にしがみついてみた。
両手をE本の体に手を回して抱きついてみた。
背の高さがずいぶん違うので、絵里はE本の胸の下あたりにしがみついた感じだった。
「欲情する?」しがみついて目を閉じたまま絵里はきいた。
E本は、しばらくじっとした後、
「こういうものはタイミングや雰囲気にも左右されるからね。今は・・・ちょっと・・・・」
と言った。
絵里は怒った顔をしてE本を見上げた。
「おっ」とE本は言った。
「おって何よ」
「オレ、お前の怒った顔好きなんだよな。ちょっと欲情した」
E本はニヤニヤと絵里を見つめた。
「やだ!」
絵里は赤くなってE本にまわした両手をひっこめた。
「恥ずかしがっている顔もしかり・・・・・」と言って
逆に今度はE本が絵里の体に両腕を回して抱いた。
「あ・・」
絵里は体を固くした。
「怯えている顔もなかなか・・・」とE本は言って、絵里を抱いた腕を強くした。
その腕の力があまりに強くて乱暴で、絵里は怖くなって泣きそうになった。
「実は泣きそうな顔がもっと欲情するかも・・・・」
とE本が言って、E本の手が絵里の体をまさぐろうとした。
絵里は本当に涙ぐんだ。
E本は絵里を解放した。
「ほ~ら。欲情するとこういうことになっちゃうでしょ?だからダメって言ったんだよ」
そしてE本は笑いながら、そこから立ち去っていった。
絵里は思った。
E本は、わざとこういうことをしてからかって楽しんでいる・・。
自分が絵里から惚れられていると知っていてこういうことしている。
絵里の反応を見て楽しんでいる。
次の日の朝、ホテルのロビーで、絵里は他の者が集合してくるのを待っていた。
E本ももう起きてきて絵里のそばに座っていた。
ホテルのロビーには、これから観光地に出かける若いカップルたちが何組かいた。
男の子が優しく女の子の手をとったり、男の子が女の子のバッグを持ってあげたりするのを眺めながら、絵里は言った。
「いいなあ。みんなあんなに楽しそうで・・・」と絵里は言った。
「男の子は彼女が好きでしょうがないって感じで、優しくして可愛がってて大事にしているみたい。いいな。みんな」
絵里は思わず言ってしまった。
「なんで私だけ違うんだろ。私は好きな人に大事にしてもらえなくって」
E本は言った。
「あれは、エッチをさせてもらえるから優しくしているんだよ」
「なんですって?」と絵里は言った。
「男があんなに彼女をチヤホヤしているのはエッチ目当てだからだよ」
とE本。
「そんな!」
と絵里は言った。
「そんな人ばっかりじゃないはずよ。エッチなんか関係なく彼女を大好きな男の子だっているわよ!」
と絵里は一生懸命、言った。
「んーまあ人によるかもしれないけどな」
とE本は言った。
「そうよ!」
「ま。ただ俺はそういう感じだっていうこと」とE本は言う。
「そういう感じ?」
絵里は聞いた。
「エッチのためなら優しくできるけど、そうじゃなかったら優しくしないってこと。俺はね」
「最低・・・」
「優しくしてほしいなら、エッチさせろっていうの?」
我慢できなくなって絵里は叫んだ。
「恋人にはしてやらないけど、セックスさせてくれるなら優しくしてやるっていうの?」
絵里はもう一回言った。
「いや。ちょっと待て。誰がそんなことを・・・」とE本が言ったとき、
「なになに、なにもめてるの?」
そこに先輩の年配の気の強いことで有名な女性が、ロビーに登場した。
先輩の女性に向かって思わず、絵里は言った。
「E本さんがエッチなことさせろっていうんです!」
「なんですって!!」
年配の先輩の女性の眼が吊り上がった。
E本は、もう少しでセクハラで訴えられるところだった。
そのあと、E本はなんとかかんとか説明して誤解をといて、年配の先輩の女性に許してもらった。
でもE本は先輩に無理やり、絵里に頭を下げさせられた。
「今後は、気をつけるのよ」と言って、先輩は他の人のところに去っていった。
先輩がいなくなると、E本は「おまえは俺をクビにでもする気か・・」と絵里に言った。
絵里はちょっと気まずそうに、でも私悪くないもんという感じで、E本を睨んだ。
「いや、すいません。もう言いません。危ない危ない。もうお前とはかかわらない。」
とE本は言って、絵里のそばを離れた。
--------続く-------
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