彼の奥さんにロックオンされた話

読者のフリをして近づいてきた奥さん


黒い靴を履いた脚だけアップ

彼は私の上に乗って、ぴったりと身体を重ねていた。
私の肌と彼の肌が吸いつくように求め合っている。

私は自分のフカフカの身体と彼の硬い筋肉質の身体がこすれ合うのを楽しんだ。

身体を擦りつけながら、彼は私の唇や首、肩甲骨にキスをしてくる。

嬉しい。セックスの導入部分として大好きな時間帯だ。
私は身体をクネクネさせて、自分の身体のアチコチで彼の口づけを受ける。

乳房に触られ始める頃には、乳首も硬くなってしまっているし、下半身ももうクチュクチュ。

そして彼が私の脚の方に移動して真ん中をいじり出したら、液体を垂れながし、体をそらして悶える私なの。

我慢できなくて、彼のアレを私の中に入れて欲しくなってしまって口にしてしまう。
「入れて・・・」

「まだ、だめだよ」
「入れてえ!」
「まだだよ」
「お願い。入れてえ!お願い!」

彼は私の敏感な突起部分をいじりながら、
「入れて、入れて・・」
と懇願する私の顔を見ながら、ニヤニヤしている。

そして散々じらしてから、彼はやっと、私の中に入ってくる。

グチュグチュの私の穴をこじあけながら、彼が入ってくる。

「あああん!」
彼を受け入れるときの幸せ。

そのあとは、彼が激しく私の中で動き回す。

彼の硬いモノが、私の穴の中の壁の側面を擦り、私の奥の方を突きまわす。

私は
「もっと!・・・もっと!」
としか言えない。
口を半開きにして、髪を振りみだし、泣きそうになりながら私は乱れる。

そして彼の激しい攻撃が続くと、
「出して!出して!」
と言ってしまう。

*******

セックスが終ると、帰り支度をしながら彼は言った。
「そうだ。見たよ。
君のブログ」
「あは。恥ずかしい。ご感想はどう?」

「へえ、こんなこと考えているんだ〜?って感じ。
おもしろかったよ。
結構、何ページも読んじゃった。
今も通勤のときにひと記事ずつ見てるよ」

私はブログを書いていた。
ファッションや、恋愛観、好きなミュージシャンについてなどを書いていた。

でも知り合いにはブログを書いていることは内緒にしていた。
ブログのことを話したのは彼が初めてだ。
私は彼にだったら何を見せても恥ずかしくないと思っていた。

翌日、そのブログに読者の方からコメントをいただいていたことに気づいた。

『しろねこさん。こんばんは。
いつもブログ、楽しく拝見しています。
千葉県在住の主婦、茶猫です。
私は、しろねこさんの記事では、”木綿素材”の話が一番好きです。
あと、恋愛の話も大好きです。』

”しろねこ”とは私のペンネームだ。
私は応援コメントを嬉しく思った。
『ありがとうございます、茶猫さん。嬉しいです。
千葉ですか?ご近所ですね。私、千葉寄りの東京なんですよ。』
とコメントの返事を書き込んだ。

その後も千葉の”茶猫”さんは何度かコメントをくれた。

あるときはミュージシャンの記事に書いてくれた。
『しろねこさん。
驚いた!ミュージシャンの”ジミー大田原”が好きなんですか?
実は私も大好きなんです!趣味が一緒ですね!
どおりで、しろねこさんとは話が合うと思ってました!』


次に茶猫さんは、ブログに備え付けられている事務用の『お問い合わせ』というメールの方にメールをしてきた。

こちらはコメントとは異なり、公開されるものではない。ブログの管理人にだけ見られるメッセージだ。

『しろねこさん。
茶猫です。
もしよかったら、しろねこさんとメールのやり取りしたいです。
私のメアドはこれです。どうぞよろしくお願いします。
●△□◎・・・ne.jp』

気持ちは嬉しいけど、どうしようかと私は思った。
返事しようかどうしようかと迷ったまま、そのままにしていた。

****

彼が私の家に来て、またセックスをしようとしていたときだった。

ピンポン、ピンポン!ドンドンドン!
夜中というのに、チャイムを鳴らして、ドアをたたく音。

抱きしめあっていた私たちは動作を止めた。
不安な顔をする彼。
でも、誰が来たのか私にはわかってた。

「あーっ!もうーっ?またなのお〜っ?!」
きっと私の弟だ。

「いい加減にしてよ!!」

都下の方に一人暮らししている弟が、東京の繁華街に遊びに来て、終電を逃したときにいつも私の家に来るのだ。
連絡もせずに、急に泊りに来るのだ。

「ごめんなさい」
と私は彼に言った。

「いいよ」
と彼は言った。

私は弟を家に入れた。

彼を見ると弟は驚いて
「あ!すいません!すいません!すいません!」
と言った。

「じゃ、今日のとこは帰るよ。またね」
と彼は言った。

「すいません!すいません!あのその・・・」
と弟は彼の背中に向かって言った。

彼は振り向かずに、片手を上げて振りながら去って行った。

「”貸しいち”だからね!!」
と私は弟を睨み付けて言った。

彼が帰ったあと、自分のブログを開くと、また、茶猫さんからコメントがついていた。

”不倫”に対しての私の意見を書いた記事に対してだった。
不倫を推奨するわけではないけど、擁護するようなことを私は書いていた。

『しろねこさん。
その考え方、どうかと思います。
不倫を許すようなその意見、おかしいと思います』

まずい。読者の人に嫌われてしまった。

『茶猫さん。
ご気分悪くしたら、ごめんなさい
おもしろいと思って書いちゃいました。
このブログは、そんなに真面目なものではなく、ただのおもしろエンターテイメントなんですよ。
お許しください。』
お返事コメントとして、謝罪とも言い訳ともつかないことを私は書いた。

*****

次の日、驚いた。

私のブログを異常に多くの人が読みに来ていたのだ。いつもの10倍くらいの閲覧者が来ていた。

私はどこから読者が来ているのか確認した。

”8ちゃんねる”という大きな無料掲示板から人が来ていることがわかった。

8ちゃんねるを見に行くと、なんと、私のブログのURLがさらされていた。

『人の夫を寝取るのが趣味なクソアマのブログがこちらです。』
『しろねこっていう、泥棒猫のヤリ●ンのブログがこれです』
という案内文とともにだ。

こんなひどいこと書くの誰?

誰の仕業?

茶猫さん?

****

その後、数週間は何ごともなかったけど、また茶猫さんから『事務的連絡メール』の方にメールが来た。
『しろねこさんと会ってお話したい。
どんなおもしろい人なのか興味しんしんなんです。
私たち家、近そうですよね。
どこかで会えませんか?
お返事待ってます。
私のメールアドレスは・・・』

この人、情緒不安定?

この人は私のファンなんだろうか。

アンチなんだろうか。

ただの友達かメル友が欲しいだけなのだろうか?

会うのはどうかと思ったし、メアドに直接連絡するのもためらわれた。

黒いメイド服で片方の靴を脱ぎかけている

『しろねこさん。こんにちは。
なんと”ジミー大田原”のコンサートチケットが2枚、手に入ったのです。
でも私、用事ができて行けなくなっちゃいました。
無駄にするのも何だし、私の周りに”大田原”ファンいないし。
しろねこさんにタダで譲りますので、送ります。
住所教えてください。
私のメアドは・・・』

そんなメールが茶猫さんからまた来た。

ええ?大田原のコンサート?
嬉しい!行きたい!でも・・・。
住所を教えるのは無理だ。

この人、私とどうしても連絡を取ろうとしているみたいだ。
怒らせるのも怖いし。

私は勇気を出して、茶猫さんの個人メールに初めてメールをした。
『茶猫さん。
ありがとうございます。
本当にうれしいです!
でも、すいません。
その日、仕事があって行けないのです。
本当にお気持ちありがとうございます。
感謝します』

****

その次の日、彼から電話があった。

「知り合いに”ジミー大田原”のコンサートのチケットをもらったんだ。
君、確か好きだったよね。行かない?」

お、おかしい!!

わかった!
わかってしまった!

茶猫さんは、彼の奥さんだ!!
間違いない。

そういうことか。

察するに、奥さんは彼のスマホか何かから、彼と私とのやり取りや、私のブログを見つけたのではないか?

そして、私に何とかかんとか、接近しようとしていたのね。
読者のフリして近づいて。
そして、私を捕まえたら、きっと血祭にあげるつもりなのね。

私は、彼にこの懸念を伝えて相談するべきかどうか迷った。

ただの私の勘違いかもしれない?

でもコンサートに行ったら、そこに恐ろしい何かが待っているような予感がするし。

私はこうした。
コンサートの彼との待ち合わせ場所に弟を行かせることにしたのだ。

弟と彼は面識があるし。
弟には『貸し』がある。

彼と弟が会うのを見て、何も起こらないか確認したい。

弟には、彼との待ち合わせ場所のコンサート会場の前の広場に行ってもらった。

私は弟の後ろから少し距離を取ってついて行った。

弟と彼が会った。

彼が困惑していて、弟が一生懸命説明している様子を離れた木の陰から私は見ていた。

周りには人が大勢いて、大変、ザワザワしている。
弟の声が聞き取りにくいのか、背の高い彼が少し腰をかがめて、背の低い弟の口元に自分の耳を近づけた。

まるで、顔を寄せ合う恋人同士のようだな〜と私がアホなことをぼんやり考えていたときだった。

一人の女性が二人の男の前に飛び出してきた。

中年女性だった。茶猫さんかっ?彼の奥さんかっ?!

女性は、弟を突き飛ばした。
小柄な弟は地面に転がった。

彼が女性に向かって、何か叫んでいる。
「落ち着け!落ち着け!」
と言う口の動きだけはわかった。

次に女性は彼の胸元を掴み、そこをグイグイ締め上げ、何かわめきだした。

遠すぎて聞こえないが
「おかしいと思ったのよおお!」
とか
「あなた、昔っから男の子が・・・」
とか言う断片的な部分しか聞こえなかった。

周りの人たちは足を止めて、男女の修羅場の様子をうかがっている。

彼は必死で女性をなだめようとしつつも、すっころんでいる弟に向かって、手の甲で何度も追い払う仕草をした。

「君は帰って!帰って!早く帰って!」
とでも言っているようだ。

弟は立ち上がると、夫婦を残して、急いでその場を立ち去った。

私は弟を追いかけた。

「ひでえなあ。姉ちゃん。
何なんだよ。これ?」
「ご、ごめんね」

*****

私と彼は会うのをやめることにした。

「奥さんは大丈夫?
弟のことはなんて説明したの?」
と私がきいても彼は
「大丈夫。
あとはこっちの問題だから。
弟さんのことも大丈夫。
もういい。もういい。
とにかく、もう僕らは連絡を取り合うのはやめよう」
と言うだけだった。

私は悲しかったけど彼と別れた。

茶猫さんからはもうコメントもメールも来なかった。

8ちゃんねるに、また私のブログがさらされたのを知ったのは、その2日後くらいだった。

8ちゃんねるを見に行くと、
『女の子のフリして、ファッションや恋愛について語っている男の書いているブログはこちら』
『これ書いているのは、本当はすっごいチビでメチャクチャ不細工な男なんです!』
という言葉とともに、私のブログのURLが貼ってあった。

何も言うまい。
悪いのは私。
こんなもんで許してくださってよかったとしか言えない。
(しかし弟よ。ごめん)

----------終わり---------------

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