囚われて②
口で愛撫させて

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N川は、菜摘と二人だけで夜を過ごすようになった。
部屋のすぐ外には相変わらず、護衛の者が一人だけついていたが。
N川は行為が終わると、そのまま菜摘のベッドで寝ることもあった。
ドアの外の護衛は、いつまでたっても、N川が部屋を出てこないと「今日もこの部屋に朝までいるつもりか。あの女は本当に信頼していいのだろうか」と少し不安になったが。
菜摘はN川に一度、笑顔を見せてから、以後はまたあまり感情を表に出さなかったが、セックスのときに、菜摘が喜びを体中で表しているだけで、N川は満足だった。
また、N川が用事などで夜、菜摘の部屋にいけなかった日の翌日に、少しだけ怒ったようなすねたような顔をして、N川を迎える菜摘の顔をみるだけで満足だった。
菜摘のほうは、N川が自分を抱きかかえたまま朝を迎えるたびに
「この男は自分にかなり気を許し始めている」
と感じていた。
ある夜、セックスのあと菜摘がN川にきいた。
「なぜ、私に口で愛撫させないの?」
「別に理由はない」
「私を信頼してないの?」
珍しく自分の意見を言ってくる菜摘がN川には嬉しかった。
「じゃ今度してもらうよ。
でも・・・オレの女になれって言った返事きいてないぞ。お前こそ、まだオレを信頼してないだろ?」
「だって・・・」
と菜摘は言った。
「もうあなたの女になったも同然じゃないの?わざわざ返事しなくてもいいと思ってた」
昼間は、菜摘は料理人の手伝いをすることも多くなった。
あるときから、それを許されることになった。
菜摘のレシピで、菜摘が主導で献立を作ることもあった。
こんな生活の中で、仕事があることは菜摘の生きがいにもなるだろうとN川が思って、許したのだ。
たまには外出も許可され、見張りの者と一緒に、買い物などにも行くこともあった。
ある夜、菜摘はN川に
「あなたのものを口で愛撫させて」と言った。
部屋のドアの外の護衛は嫌な予感がした。
実は、護衛は部屋の中の音声を盗聴器により常に聞いていたのだった。
部屋の音声を盗聴する目的は、城の主を守るためではあるが、ときどき護衛はたまらなくなった。
仕事のあと、二人の会話や菜摘のあえぎ声を思い出し、反芻し、二人が部屋の中でおこなっているであろう出来事を想像して、自分を慰めることも多かった。
そんな毎日だったが、今回は護衛は、今までにない嫌な予感を感じた。
護衛が聞き耳をたてると、音声が急に聞こえなくなった。
部屋の中では、菜摘が盗聴器を、N川の前に突き出していた。
「何これ?」
N川は何も答えなかった。
「なんで答えないの?じゃ、これいらないわね?」
菜摘は盗聴器を窓の外に投げた。
窓も、菜摘がここにきて、しばらくの間は開閉できないようになっていたが、このところ菜摘の自由に開けることができるようになっていた。
窓から盗聴器を投げ捨てると、菜摘は振り返り、優しい顔になっていた。
N川に近づくと身を低くして、ゆっくりN川のものを口に含んだ。
ドアの外の護衛は、音声が聞こえなくなって、しばらくそのまま立ち尽くしていた。
どうすべきか考えた。自分の勘にたよろう。護衛は決意した。
護衛はドアを開けて、部屋の中に踏み込んだ。
そこには、菜摘に自分のものを愛撫され、快感によいしれている主がいた。
「なんだ!おまえは!」
主は怒鳴った。
「危険です!そんな無防備なマネをしないでください。」
護衛は自分の勘を信じて叫んだ。
「何を言ってるんだ!この馬鹿野郎!今すぐ出て行かないと殺すぞ!」
護衛は立ちすくんだ。
「でてけ!」
と主は言った。
「申し訳ありません」
護衛はドアの外に出た。
菜摘はN川のものから口を離した。
「気分が壊れちゃったわ」
「気にするな。続けて」
「もうそんな気持ちじゃなくなった」
N川は菜摘を抱き寄せた。
「大体、あなたが盗聴器みたいなものつけているのが悪いのよ」
N川は菜摘に口づけをした。
「悪かった」
「もう。今夜はいや」
N川はそっぽをむく菜摘を抱きしめた。
「あの人、変な人だと思ってたのよ」
菜摘は続けた。
「何がだ?」
N川はきいた。
「私のこと誘ってきたんだもん」
「・・・・・・」
「昼間、あなたがいないとき。何度も誘われたわ。たまには他の男に抱かれてみたいだろ?って」
N川は菜摘の言葉をにわかに信じられなかった。
この女が嘘を言っているのか?そうは思いたくない。
しかし、信頼している部下の護衛が、本当にそんなことを言うとは思えない。
でも信頼しているというのは仕事の上のことだけである。
女関係において、あいつがどんな人間であるか、どんな性癖があるかは何も知らないと、N川は考えた。
N川は護衛には内緒で、他のものにあらたに盗聴器を用意させて、昼間の菜摘の部屋に仕掛けさせた。
昼間の部屋の様子を録音して、あとできいてみた。
護衛と菜摘の何かききとれない会話のあと、
「いくらあなたに誘われても、私はあの人以外の男に抱かれる気はないわよ!」
という菜摘のはっきりした声が聞こえた。
菜摘の言う通りだった。
N川はすぐに護衛を国外に追放した。
はじめは処刑にしようとしたのだが、菜摘に止められて、菜摘に免じて許してやった。
菜摘の部屋はだんだん様変わりしていった。
もともと、広い部屋ではあったが、家具はベッドとドレッサーくらいしかない殺風景な部屋だった。
しかし、今はゴージャスな絨毯に、立派な家具が部屋の中にところ狭しと並んでいた。
あっさりしていた木のベッドもいつの間にか、真っ白い天蓋付きのベッドに代わっていた。
菜摘とN川の関係性も変わっていた。
セックスの最中、菜摘を夢中で突きながら、N川は思わず、久しぶりにN山のことを口にしてしまった。
「N山とオレとどっちがいい?」
菜摘は答えずに、あえぎつづけていた。
「どっちがいい?」
N山がもう一度、問うと、
「最初、乱暴にされたときから、こんなの初めてって思っていたわ。N山よりあなたの方がすてきよ」
菜摘は答えた。
その日、1回目のセックスのあと、菜摘はN川のものを愛撫した。
菜摘は、男性器の先端をぺろぺろ舐めた後、棒の部分を下から上まで舐めあげた。
それを繰り返したあと、菜摘はN川のものを手にもち、自分の口の奥に入れた。
そして、菜摘は上下に顔を動かし、N川のものを自分のやわらかい口でこすった。
菜摘のその姿を見ながら、たまらない愛おしさがわいてくるのを感じながらN川は
「フェラチオ中に噛み切られるかもしれないなんて、疑っていた自分も護衛も馬鹿だった」
と思った。
N川はここのところ悩んでいた問題にも決着をつけることにした。
N川は、菜摘の母国のN山に対し、菜摘を返す条件として、領土の一部をゆずるように求めていた。
それが、そもそも菜摘をさらってきた理由だった。
その領土は軍事的にも大事な拠点で、N山側とずっと交渉が続いていたが、つい数日前にとうとうN山陣営から、領土をゆずることを了承したとの連絡があったところだった。
しかしN川は
「この交渉はなかったことにしてくれ」
とN山側に伝えることにした。
N川は菜摘を失いたくなくなったのだった。
その後、しばらくはN川にとって平和な落ち着いた日々が過ぎた。
あるとき、景観が美しいことで有名な山にピクニックに行きたいと菜摘が言い出した。
「私もこの国の人間になったんですから、この国を代表する名所であるあの山に一度のぼりたい」
私がお弁当を作るから、N川も一緒にと菜摘は言ったが、N川は忙しかった。
一人で行っておいでと言った。
菜摘はとても不満そうにすねていたので、ピクニックの前夜、N川は菜摘をいつもよりたっぷり愛した。
N川は菜摘を裸にすると、寝かせて首から腹から太ももから、全身にキスをした。
菜摘は、嬉しそうに幸せそうにN川のされるままになっていた。
N川は菜摘を座らせると、背中にキスをしながら、菜摘の前に腕を回して、乳房をもみ、もう片手で菜摘の女性器を撫でまわした。
菜摘はのけぞって喜びの声をあげていた。
そしてやがて、仰向けになった菜摘の上にN川が重なった。
N川の男性器は、菜摘の膣の奥から入口のほうまで動きながら、菜摘の女性器の外側の突起の部分もこすった。
それを数回繰り返したら、菜摘は絶頂に達してしまった。
次にN川は菜摘を自分の上に乗せた。菜摘はN川の上で腰を動かした。
N川は菜摘の腰を両手で支えながら
「菜摘、うまくなったな」
と言い、自分も菜摘を突きあげた。
その日、菜摘はN川に何回もいかされた。
行為のあと、
「何度も抱いて、あなたは私にあきないの?」
と菜摘はN川にきいた。
「あきないよ」
とN川は菜摘を抱き寄せて言った。
翌日、N川は護衛を5人つけて菜摘をピクニックに送りだした。
いつもより護衛が多かったのは、その山は、名所でありながら、K国という国との国境になっていて、危険な地域でもあったからだ。
しかし、5人の護衛も役に立たずに、その日、菜摘は山の頂上でK国に誘拐されてしまうことになった。
何者かが、匿名でK国側に「○月●日、山にN川の女がゆく」という情報を入れていた。
K国にピクニックの一行が襲われたのは、山の頂上に到着したあと、菜摘が上機嫌で、自分の作った弁当を護衛たちにふるまった直後だったという。
護衛たちは謎の腹痛、嘔吐にみまわれ、何もできないまま、菜摘がさらわれていったという。
****
遠い、とある町の酒場で、いつかN川に追放された護衛が飲んでいた。
酒場の亭主が話しかけた。
「あんた N国のあの城で働いてたんだってな。給料も相当よかったろうになんでやめてしまったんだ?
それで国も追い出されたってきいてるぞ」
「自分でやめたんじゃない。ある日、突然、解雇されたんだ。理由はわからない。ただただ、城の主が怒っていてオレの話を何もきいてくれなかった」
「へえ心あたりはないんだ」
「あとで思うと、何か勘違いをされたんだと思う。」
元護衛は続ける。
「城の主の女が 、何を勘違いしているのか、よく『あんたに抱かれるつもりはない』とオレに向かって大声でぬかしてた。
俺にはそんな気はまるでないと言ったのに。
おれが自分のことを狙っていると、女は勘違いしているみたいだった。
自意識過剰なのかなんなのか?
女があまりにもオレの顔をみるたび、そのことを言うから、もうほっといたんだが。
きっと女が主に何か言いつけたんだと思う。」
「へー。それは気の毒に・・・。」と亭主は言った。
・・・・・・・・・終わり・・・・・・・・・
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