苦手女子 攻略中①

デーハーな女子 苦手


脚を組む
いつも『桃ちゃん』と呼ぶのに、M次郎はセックスのときだけ『桃子』と呼び捨てにした。

初めてM次郎とセックスしたときに、桃子の上で動きながらM次郎はとぎれとぎれに「桃子・・・」と言った。


桃子が「あ、今後は呼び捨てになるのかな?」と思ったら違った。
行為が終わったあと、M次郎は「ももちゃん、何か飲む?」ときいてきた。


でも2回目に桃子が抱かれたときも、やはりM次郎は「桃子。後ろむいてごらん」と呼び捨てにした。

で、終わるとまた「桃ちゃん」に戻っていた。

どういう心理なのかなと桃子は思った。



M次郎としては特に何も考えていないのだが、通常は、気をつかっているわけでもないのだけど、どうも立場が桃子のほうが上のような気がして、また、桃子のかわいい顔を見るとつい"ちゃん付け"で呼んでしまうのだった。

でもセックスのときはこの女を支配したい、支配しているという気持ちが沸き起こって、つい「ももこ」と呼んでしまう。



M次郎は警察官だった。

遊び人の桃子とは随分、住む世界が違う。

桃子がM次郎と知り合ったのは、桃子の弟が問題を起こしたときだった。


桃子の弟が居酒屋で見知らぬ酔っ払い客と喧嘩になり、喧嘩の勢いでお店の物を壊したということでお店に通報されたのだった。


お店が被害届を取り下げる下げないで、ずいぶん、桃子は気をもんだが、M次郎がうまく取り持ってくれたのかどうかはよくわからないが、弟はなんとかおとがめなしになった。


そのときに何度も、警察に足を運んだ桃子はM次郎と知り合いになったのだった。


M次郎は桃子にすぐ夢中になってしまった。


最初、桃子を見たときに、茶色というよりもオレンジ色に近いようなど派手な髪の毛、谷間が見える胸元が大きく開いた服、脚を丸出しにしたミニスカートに「あちゃー」とM次郎はまず思った。


M次郎はすごい苦手なタイプの人、来ちゃったなと思った。


男の荒くれ物や不良は大丈夫だが、デーハーな女性は苦手だった。


実は、嫌いではないのだがそういう女性とうまくしゃべるのが苦手だった。どうもこういうタイプには学生時代から馬鹿にされたり、冷たくされがちでM次郎は苦手だった。彼女らはどうも、堅物で真面目なM次郎のような男をからかったり、いじったりしたかと思うと急に冷たくしたりする傾向があるとM次郎は思っていた。またすぐ正義感をふりかざすところも、ダサい、うざいとよく陰口を言われたものだ。


しかし、弟のことをとても心配している愛情あふれる姉の姿、真摯に自分の弟の罪を謝罪する姿を見て、M次郎は桃子のことが好きになってしまった。


見かけはあれだけど、ちゃんとした人だとM次郎は思った。


そして何より、桃子のセクシーさに惚れてしまったともいえる。



弟の件がきちんとすべて片付いたあとに、お礼にきた桃子が警察署から帰るときに、M次郎は桃子を見送りに外までついてきた。


「あら、ショップの店員さんじゃないのに、外までお見送りしてくださるの?」と桃子は笑った。


警察の敷地を出たところで、M次郎は勇気を出して
「今度、食事でも一緒にしてくれませんか。今度の件とはまったく無関係で」と桃子を誘おうと思っていた。セリフはよく吟味して考えた。

しかしM次郎が
「今度・・・」と言いかけると、桃子が

「今度、こういうことと関係なしに明るくぱーっとやりたいわね」
とM次郎に言った。



桃子は今まで、自分に冷たくしたデーハーなパッパラパーの女子ではないとM次郎は思っていた。


その後プライベートで会うと、確かに桃子には、奔放で不良っぽいな部分もおおいにあった。

風俗とまではいかないが、それに近いようなアルバイトをしたこともあることが会話でなんとなくわかった。
今まできっとたくさん男とつきあってきただろうこともうかがえた。

しかし、桃子はあけすけで、正直で、気持ちのよい女子だった。
そして、何よりM次郎にはいつも敬意を示してくれたのが嬉しかった。


弟のことももちろん感謝してくれたし、お仕事大変そうとか、お仕事かっこいいとか、ため口ではあるが、M次郎のことをいつも尊敬してくれていたのがわかった。


最初は恐る恐るさぐるように付き合っていたがだんだんM次郎は安心してきて、桃子といることがとてもここちよくなった。

桃子は今までつきあったことのないタイプの女子だが、自分たちは絶対に相性がいいとM次郎は思った。



M次郎と桃子が何度か食事をしたあと、

「エッチしたいな」と桃子が言った。

「警察官のエッチってすごく興味ある。」


M次郎は「そういう興味でしたがられてもやだな」と言った。


「すごく真面目な堅実なセックスしそう!・・・・それとも、あはは手錠とかで拘束したりとか~」などと桃子がふざけて言う。


M次郎はこういうあけすけな桃子の言葉に赤面しながらも、でも、もちろん欲望を抑えられなかった。



二人はそういう仲になった。

はじめて、桃子を抱いたときM次郎は天にも昇る気持ちだった。
ちゃんと桃子をイかせることもできた。


M次郎は、桃子自身のことも大好きになっていたし、また、長年、苦手だったタイプの女子を攻略したということも嬉しくてしかたなかった。


M次郎はちょっと得意になっていた。

セックスのときは「桃子」と呼びすてにするし、セックスのときは桃子は、何でも自分の言うとおりにしてくれた。


図にのったM次郎はあるとき、つい桃子の服装に注意をしてしまった。

いつにもまして、ど派手で露出の高い服を桃子が着てきたときに、つい

「もうちょっとおとなしくしたら?年相応にさ」と言ってしまった。

やばい、怒るかな?と一瞬、M次郎は思ったが桃子は怒らなかった。


M次郎がすぐに
「他の男に桃ちゃんの肌を見られるのやだからさ~」と言ったからかもしれない。


桃子は別に不機嫌にならずに「そーね。もう大人だしね。もうちょっと考えるかな」と桃子は言った。


桃子は女子がよくやるような拗ねるような言動をとらないタイプだった。

いつかも一緒に見た映画かなんかの感想をのべあっているときに、何かのはずみで、M次郎が自分が純粋で清楚な女の子代表と言われている、とある女性芸能人の大ファンだと言ったときも、桃子は別にやきもちを焼いたり、怒ったりしなかった。
「私もあのコ好きよ」と桃子は言っていた。




そんなある日、3回目のセックスをしたあとくらいのときに、休日に桃子とM次郎は繁華街で、手をつなぎながらぶらぶらウィンドウショッピングをしていた。


そのとき、M次郎が雑踏の向こうから歩いてくる人を見て急に


「あっ!●●さんだ~!!」と大きな声を出した。


M次郎の同僚だった。


「まずい!桃ちゃん!ちょっと離れてて!」



M次郎は急に乱暴に桃子の手を振りほどいて、桃子から離れた。



そして桃子をそこに置き去りにして、知り合いに近づいて行った。

しばらく、その人と話をして、その人が完全に立ちさったのを見届けるとM次郎は桃子の元に戻った。



桃子は、腕を組んで足を少し広げて立っていた。
少しムっとしているように見えた。


「ごめんごめん。お待たせ。」とM次郎が桃子に言うと、


「あのさ~」と桃子は言った。



「M次郎は私と付き合っていること、隠したいの?」
と桃子は言った。

「や、そんな・・・」とM次郎は言った。



「私と付き合っているの、恥ずかしいと思ってるの?」



「え・・・」とM次郎。


「私と一緒にいるところを知り合いに見られたら恥ずかしいの?」
と桃子。



「そりゃ恥ずかしいよ」
とM次郎は答えた。


次の瞬間、M次郎は桃子に平手打ちをされた。


M次郎はあっけにとられた。




「その恥ずかしい相手にさんざん、恥ずかしいことしてるのは誰よ?!」


「もーいいわ。じゃ、もうM次郎とは会ってあげない」

桃子はくるっと後ろを向くと早足で歩きだした。


待ってくれよ!

M次郎が恥ずかしいと言ったのは、事件でかかわりがあった人間と付き合うということが、なんとも恥ずかしかったのだけれど、桃子は何か勘違いしたようだった。



そういえば桃子はいつか言ってた。

冗談みたいに明るく笑いながら言っていた。
「M次郎はさ。自分が映画や漫画やなんかの主役だと思ってるのよね」


「こんな真面目な品行方正なおれが、やんちゃな女とつきあってるのが、いいって思ってるのよね。そいういう人にも好かれる自分って、人間として度量が深いとか、まさに警察官の鏡とか思っているでしょう?」
と桃子は言った。


そんなことないよと、M次郎は言ったけど、桃子のいうニュアンスとは、異なるが、自分はかっこいいと思い始めているという部分は当たっていた。


というのは自分の苦手女子をものにしたことで、自分ができる男だと思いはじめていたからだ。いい気になっていたからだ。




M次郎は桃子を追いかけようとしたが、早足で、込み合う雑踏の中に消えてしまった。



M次郎は、そのときも、すぐに桃子に電話して謝ったし、次の日からも会いたいと何度も電話をした。


でも、桃子は怒っているわけではないが、もうなんだか真剣にM次郎の話をきいてくれなかった。


「その日は無理」とか何かと理屈をつけて桃子は会ってくれなくなった。




・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・


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