恐怖の宇宙エロぐま・地球来襲⑥
グリーンの宇宙警察

前回までの話はこちら➡恐怖の宇宙エロぐま・地球来襲① ② ③ ④ ⑤
ひろゆきは、タコスター人の宇宙ステーション船の中の一室で『楽しい地球語教室』を開いていた。
「さあ、2カ月に一度のパーティ恒例の語学教室です。
今日は、私、ひろゆきが講師で、”地球語”をお教えします。
この前の地球語教室は、アルミホイル星の付近にステーション船が停泊していたときでしたね。
今日は、ここ、地球のそばの月が舞台ということで、盛り上がりますね。
私の回にいつもご参加のベアーさん、プーさん、シロクマさん・・・
あ、今日は初めてのお顔もいますね。
皆さんが地球語に関心を持っていただいて大変嬉しく思います」
ひろゆきは、タコスターの言葉でそう言った。
この宇宙ステーション船で働くクマ型宇宙人(本当はクマの恰好をしているだけ)の中で、地球語を覚えたいと思っている10名ほどの生徒が学校形式に並んだ机に座っていた。
その中には、もちろん、有能な宇宙警察・グリーンのクマもしのびこんでいた。
グリーンの宇宙警察官は、ここでは”エメラルド”と名乗っていた。
全員で1時間ほど授業をしたあと、ひろゆき先生は、
「じゃあ今からプリントを配るので、できた人から私のところに持って来てください。
一人一人、どこがわかってないかの確認をします」
と言った。
そして、ひろゆきは教室のすぐ脇にある補助室に自分の椅子を持って行って座った。
生徒たちは教室で下を向いて無言でプリントと格闘した。
10分ほどで一人が声をあげた。
「できた!」
プーさんというタコスター人だった。
プーさんは自分の席を立つと、トコトコと補助室のひろゆきのところまで歩いて行った。
補助室のドアは開けっぱなしだった。
ひろゆきとプーさんは、まだプリントを頑張っている他の生徒を邪魔しないように小声で会話をした。
「ほぼいいいんですけどねね。プーさん。
ここだけ、勘違いしてませんか?」
「え?え?
あ、ホントだあ」
10分ほどでプーさんは補助室から出て来た。
そして他の生徒に、
「みなさん。
合格もらった人から順次パーティに戻っていいって」
と声をかけると、嬉しそうに教室を出て行った。
生徒たちが3人ほどクリアし、他2人がもう一度やり直しで教室に戻されたあと、エメラルド(宇宙警察管)は、補助室に入っていった。
有能な宇宙警察のエメラルドは地球語は完璧だったが、ところどころわざと間違えて、タコスター人のフリをしてプリンを仕上げるという芸の細かいことをしていた。
しかし補助室に入ると、ひろゆきとエメラルドは、もちろん地球語の話などしなかった。

小さな声でエメラルドは言った。
「あまりゆっくり話すと怪しまれる。
まずは、こちらの考えていることをあなたにお話をします。
そのあと、私を試験・不合格にして教室に戻してください。
あとで、最後の居残り生徒二人いくらいになったら、私はもう一度来ます。
そのときにあなたのことを教えてください。
タコスターであなたが置かれている状況を話してください」
ひろゆきは、戸惑いながらも、
「わ、わかりました」
と頷いた。
エメラルドは、
「私たちが恐れているのは、タコスターが地球を自分たちの支配下におこうとしているのではないかということです。
地球人を集めているのは、その準備なのではないかと考えています。
こちらとしてはその証拠を集めています。
タコスターであなたたち地球人がどんな目にあっているか証言を得たい」
と早口で言った。
ひろゆきは、心配顔で、
「調査だけ?
証拠をつかむだけ?
あなたたちは、私とゆりあんを救い出してくださらないのですか?
あなたたちは二人だけなのですか?」
とたずねた。
「複数で潜入しています。
もちろんあなたたちを救い出します」
エメラルドは、そう小さな声で答えたあと、急に声を大きくした。
「ええーっ!僕の答案、そんなにダメでした?」
慌ててひろゆきも大きな声で言った。
「テキストを見ながらでいいのでやりなおしてらっしゃい」
エメラルドは頭をかきながら補助室を出て行った。
教室のタコスター人たちはクスクスと笑った。
エメラルドが二度めに補助室に来たときに、ひろゆきは、エメラルドの出して来たごく小さな録音機に向かって、短く自分の状況を話した。
騙されてタコスターに連れて行かれた。
一週間だけの約束が、二度と地球に帰してもらえなくなった。
今は奴隷のように働かされている。

エメラルドは、
「ありがとう。
あとはこちらからのアクションを待ってください。
パーティ会場では、普段通りにふるまっていてください」
と言った。
ひろゆきは、
「えええ?
大丈夫ですか?」
と不安げな表情になった。
エメラルドは少し考えてから、
「そうだな。
もし、何か急な危険が迫ったときはこうしてください。
僕は、厨房で料理を作っているので呼んでください。
僕の料理を食べて、
『シェフを呼んで』
って言ってくだされば、僕はパーティ会場に出ていける。
僕の料理というのは、説明しますと、そうだな?地球でいうところの体育の授業で使う野球のホームベースみたいな料理と、人生ゲームの駒みたいな形状をした料理です。
それのどちらかをゆりあんさんに食べさせて、『美味しいわね。シェフを呼んでくださいな』って言わせてください。
あなたが言うのは違和感があるので、ゆりあんさんにそう言わせてください。
私はすぐにそちらに行きます」
******
夜のパーティは、簡易に作られた舞台で、可愛いクマたちのダンスが繰り広げられた。
クマたちは、キラキラと宝石に囲まれて踊った。
そして驚いたことに、さっき昼の部でスクリーンに出ていた1人のイケメンの人間の男性が舞台に登場したのだった。
宇宙ステーション船に乗っていたのか?
「ツイ先ほど到着しましたああ!」
イケメンはそう言った。
そしてそのあと、クマたちと一緒に腰をくねらせ、セクシーなダンスを舞った。
ゆりあんの方を見つめながら、イケメンは踊り続けた。
*******
舞台が終わって、会場でパーティ参加者たちの歓談が続いても、何も起きなかった。
宇宙警察は動こうとしなかった。
やがて、クマちゃんが前に立ってマイクで、
「さあ皆さん。
宴もたけなわですが、パーティーはあと15分でお開きですよ!
まだ残っている料理、食べちゃって、飲んじゃって」
と言った。

タコスター側が動き出した。
ピンキーがゆりあんに近づいて来た。
「もうすぐ宴は終わりです。
ゆりあんさん、お部屋はお気に入りまして?」
ゆりあんは、こう答えてやった。
「あんまり!
申し訳ないけどああいう部屋あんまり好きじゃないわ。
あなたがたとは趣味が合わないみたい」
ピンキーの眉が少しピクッとなった。
恐ろしくなったゆりあんは、慌てて、
「あ、お部屋にあったお茶は美味しかったけど」
と付け足した。
ピンキーは、すました顔に戻り、
「気に入っていただけなくって申し訳ないんですけど。
でも今夜はあの部屋で我慢していただかないといけません」
と言った。
「我慢しないわ。
私は宿泊しませんから。
帰りますから!」
そうゆりあんが言うと、ピンキーは、
「それが・・・。
小型宇宙船が故障してしまって、今日はあなたを地球にお送りできないのです。
明日になれば直ると思うのですが」
と言うではないか。
二人の後ろにいたひろゆきは、ゆりあんとピンキーの会話をきいていた。
そして慌てた。
自分のときと同じパターンだった。
最初は、なんのかんの理屈をつけて優しく引き止める。
「そんなあ!」
ゆりあんは叫んだ。
「やだ!地球に帰してよ!
明日、早朝に見たいテレビがあるんだからあ!
今夜中に帰して!」
心の中は恐怖でいっぱいだったけど、わざと少しとぼけた余裕をかましながらも、ゆりあんはそう言った。
ピンキーはニッコリして、
「問題ないです。
地球の日本のテレビなら、多分、ここでも見られるんじゃないかな?
少し遅れてになりますし、少し画質が悪かったり、雑音が入りますが」
と言った。
ゆりあんは、
「いえ、テレビの他にも用事があって。帰らなきゃいけないんです!」
と抵抗したが、ピンキーは、
「大丈夫ですよ。
明日の午前中にはすごいスピードで地球にお送りしてさしあげますよ」
と言った。
そして、ピンキーは謎の飲み物をゆりあんに勧めてきた。
「さ、最後に乾杯しておやすみしましょう」
飲み物のグラスを受け取ったゆりあんは、グラスをじっと見つめた。

ひろゆきは思った。
(自分のときは、勧められた飲み物を飲んだら悪酔いしてしまって、やけに欲情してきて、そして、わけがわからなくなり、自分の部屋に忍び込んで来た『黒髪の人間の女性』に化けたタコスター人を抱いてしまった)
ゆろゆきは、それで奴らに弱みを握られてしまったのだった。
いや、すぐにはそのことでは脅されなかった。
ひろゆきが抱いた黒髪のタコスター人は、何も言わなかった。
ひろゆきは一週間だけという約束でタコスターに行って、一週間は本当に日本語を、リボン博士やくまちゃんやピンキーに教えた。
タコスターに行くと、セクシー女性の恰好をしていたタコスター人たちは皆、元来の姿の、恐ろしいエイリアンみたいな姿に戻ったことには驚いたが。
しかしともあれ、ひろゆきは一週間は約束を守って、彼らに日本語を教えた。
地球に帰るという日になって、黒髪のタコスター人が、美しい人間の美女のままの姿で現れた。
そして脅して来たのだった。
リボン博士もいる席でだった。
「ひろゆきさんに無理やり犯されました。
ひろゆきさんの奥様とお子様にこのことをうったえます」
「私は、もう妻にも子供にもとっくに縁を切られている!
それに、あれは同意じゃなかったのか?」
とひろゆきが言うと、リボン博士がパソコンのようなものを持って来た。
そのパソコンの画面には、ひろゆきの元妻と子供たちの映像が出て来た。
家族は久しぶりにレストランで集まっているようだった。
妻が下の子供にきいた。
「どう?仕事は順調?」
「うん。やっと慣れて来た」
妻は子供に言った。
「じゃあ、そろそろお父さんのこと許してあげなさい」
ひろゆきは驚いた。
「あなたが頭がよく生まれたのも、お勉強ができたのもお父さんがいろいろ面倒みてくれたお陰よ。
お母さんだけじゃ無理だったもの」
と妻は言った。
「感謝しなきゃ」
画面の中の元妻のその言葉に、ひろゆきは涙が出そうになった。
「お母さんがお父さんを許さないのは別問題よ。
でもあなたたちはお父さんを許して上げてほしいの。
お父さんがいなかったらあなたたちは存在しないのよ。
それに今は、お父さんは寂しく暮らしているみたいよ。
親戚の人にきいたんだけど、私たちと離れてから、もうすっかり人が変わってしまって、暗く大人しくなってしまって、他人ともあまり交流しなくなってしまったそうよ」
上の子が口を挟んで来た。
「・・・かわいそう」
「立派に働いているあなたの姿を見せてあげたらお父さんきっと喜ぶわ」
でも下の子は、
「うん、でももう会ってくれないかもよ。
おれ、お父さんにひどい態度とったもんね」
と言った。
上の子も言った。
「うん。私たち、ひどいことした。
たった一回の過ちを殺人犯のように攻め立てた。
あたしは、最近、やっと許せるようになった。
時々会いたくなるんだけど、もう会ってくれないかなって?」
妻は、首を振った。
「そんなことないわよ。喜んでくれるわよ」

リボン博士は、ここで、パソコンの動画を止めた。
「あなたは、このご家族に、二度と悲しい思いをさせてはいけない。
がっかりさせてはいけない。
ご家族にお手紙を書きましょう。
自分は遠いところで、責任ある仕事をしていて元気だと。
この仕事が終わったらいつか会いましょうと」
リボン博士はそう言ったあと、黒髪美女のフリをしたタコスター人に
「あなたもいいですね?
ひろゆきさんがマジメに私たちに尽くしてくれる限り、あなたもコトを荒立てませんね?」
とたずねた。
黒髪美女は、
「そうね。いいわ。
この人が機嫌よくタコスターのために働いてくれるならいいわ。
でももしもタコスターに歯向かうようなことがあったら、すぐに私は地球に飛んで行って奥さんに言いつけて、もしかしてそれでも我慢できなくて、腹いせにお子さんに・・・」
と言った。
リボン博士は、
「そんなこと言いなさんな!
謝りなさい!!」
と黒会女性を叱った。
黒髪女性は、
「すいません。そんなことしません。
申し訳ありません」
と言った。
リボン博士は、
「他の星の人を脅かすようなことをしてはダメだ!」
と黒髪女性を怒鳴り散らした。
「ひろゆきさんはご自分の意志でタコスターに残るのですから!」
リボン博士はひろゆきに微笑んだ。
「もう大丈夫。
この女性のことは私に任せて。
ひろゆきさんは、安心してタコスターで働いてください」
次回に続く
➡恐怖の宇宙エロぐま・地球来襲⑦
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