恐怖の宇宙エロぐま・地球来襲⑤
地球を狙うタコスターの計画をぶっつぶせ!

前回までの話はこちら➡恐怖の宇宙エロぐま・地球来襲① ② ③ ④
『自分たちは宇宙警察だ』と名乗ったブルーのクマとグリーンのクマは、ゆりあんとひろゆきから離れて、パーティ会場のあっちの方と前の方に散って行った。
「我々のことはくれぐれも秘密にしてください」
とだけ言い残して。
ひろゆきは、不安そうな複雑な表情をしていた。
「ひろゆきさん」
ゆりあんはひろゆきに声をかけてから、力強く頷いてみせた。
(希望を持ちましょう!)
宇宙警察というのはどういう組織なんだろうか?
宇宙全体の平和を守る組織なのか?
タコスターの宇宙船に乗り込んで何かを調べているんだろうか?
ブルーのクマとグリーンのクマは日本語もペラペラだったし、タコスター人より知能が高く、かつ格上なんだろうか?
ゆりあんは、元気づけるためにひろゆきにカレーをよそってやった。
停電が無事修復されたので、そのときピンキーがまたゆりあんのそばによってきた。
「ゆりあんさん。
お部屋に先に案内しましょうか?」
とピンキーは言った。
ひろゆきは、カレーを食べる手を止めた。
「いえ、私はここには宿泊するつもりはないので、お部屋は結構です」
とゆりあんはキッパリ答えた。
(部屋なんかに行くもんですか。
何されるかわかったものじゃない)
とゆりあんは思った。
「でも、地球からの移動でお疲れでしょう?
お花を飾ったステキなお部屋を用意したんですよ。
ぜひ見ていただきたいわ。
それに、この会場での次の余興が始まるのは夜の部、あと2時間後なんですよ。
お酒が提供されるのもその時間になってからだし。
シャワーでも浴びて、一息されたらいかがですか?」
と、ピンキーは喰い下がってきた。
ひろゆきが何か言おうと口をひらきかけたとき、リボン博士がやってきた。
「ひろゆきさん!約束の時間ですよ。
この宇宙ステーションで働く者たちに日本語教室をやってくれるって言ってたでしょ?」
そう言うと、リボン博士は、ひろゆきを連れて行ってしまった。
ゆりあんとひろゆきは、また引き離されてしまった。
ゆりあんは、ピンキーに従わないといけないのだろうか?
ゆりあんは次にどういう行動をとろうか迷った。

ピンキーは、
「ちょっと待ってくださいね」
とゆりあんに言ったあと、数メートル向こうにいたクマちゃんに大きな声で呼びかけた。
「クマちゃあん!
”ブルーサファイア”を呼んで来てちょうだい!
ゆりあんさんをお部屋にお連れするのよ!」
「イエス!」
と言ったあとクマちゃんは、会場の向こうの方に歩いていった。
「ゆりあんさん。
あなたのお部屋の世話係を今連れてくるので、少し待ってくださいね。
私がご案内できなくて申し訳ないのですが。
ブルーサファイアは、見かけはいかつい女性なんですが、忠誠心はあるし、気立てはいいんで、家政婦として雇いました。
話す日本語もまだいまいち下手なんですけど、ヒヤリングの方はバッチリできますので何でも命じてください」
とピンキーは言った。
ゆりあんは一瞬、
(は?
”ブルーサファイア”だあ?
また宝石関連かよっ?
このクマども、地球の女がみんな宝石に弱いと思ってるな。
バカにしやがって)
と思った直後に、
(いや!ちょっと待てよ?
ブルー?
ブルー?)
と気づいた。
そうだった。
クマちゃんが連れて来た”ブルーサファイヤ”という家政婦は、さっきの”潜入警察管”のブルーのクマだった!
顔の表情は冷静に保つ努力をしつつも、ゆりあんは心の中で喜びの声をあげた。
(宇宙警察、有能やないか~ッ!!)
宇宙警察のブルーのクマは、ここに潜入し、うまいことお客さんの世話係になっていたのか?
でもゆりあんは、
(女性だったの?!)
と軽く驚いた。
ブルーの宇宙警察は、ごつくって体格がよくって、男みたいに見えたからだった。

ゆりあんは、ブルーのクマ・ブルーサファイヤと二人だけで、銀色の長い廊下を歩き、用意された部屋に入った。
部屋に入るまでは、二人とも、おしゃべりはいっさいしなかった。
ブルーサファイヤは、黙ってニコニコとゆりあんを誘導した。
ゆりあんは、廊下をキョロキョロと品定めするような、偉そうな顔つきで長い廊下を歩いた。
しかし、個室に入った途端にゆりあんは思わず言ってしまった。
「あなた、やりおるのう!」
するとブルーサファイヤは、ニコニコしながら、津軽弁で注意をしてきた。
「関西弁は、あのふとたぢわがるはんで使わねでけ」(関西弁は、あの人たちはわかるので、使わないでください)
ゆりあんは驚いた。
(宇宙警察、有能すぎる。
関西弁も津軽弁もできるのか)
そして、津軽弁で、
「わー入念にこのお部屋お掃除すたどぎは、見づげらぃねがったんばって、ばって、もすかすたっきゃ『ふとの話盗み聞ぎする機械』があるがもすれね。
当だり障りのね話するどぎは標準語でかまわね。いや、むすろそうすてけ。
やばぇ話するどぎには、津軽弁でお願いすます」
(私が入念にこのお部屋をお掃除したときは、見つけられなかったんですが、でも、もしかしたら盗聴器があるかもしれない。
当たり障りのない話をするときは標準語で、かまいません。いや、むしろそうしてください。
やばい話をするときには、津軽弁でお願いします)
と言った。
そして、ブルーサファイヤは恐ろしいことを言った。
『もしもゆりあんが変な行動をとったらねじ伏せて拘束しろ』と命じられていると言った。
なるほど、だから、このいかつい女性はここで雇われることができたのか。

まずゆりあんは、自分が連れてこられた状況を簡単に説明した。
「逃げでと独り言しゃべったっきゃ、船さ吸い込まぃで、自分だぢのどごに逃げで来いどしゃべらぃだ。
でもウソのプレゼントをもらったんで、頭さ来だはんで文句しゃべりに、今日はきた」
(逃げたいと独り言を言ったら、船に吸い込まれて、自分たちのとこに逃げて来いと言われました。
でもウソのプレゼントをもらったので、頭に来たので文句を言いに、今日はこのパーティにきました)
そのあと、ブルーサファイヤは、バスルームのバスタブにお湯を貼ったり、ベッドメイクを直したリ、窓のカーテンを開けたり、部屋に用意してあったティーセットでお茶を入れたり、冷蔵庫を片付けたり、ニコニコ家政婦さんみたいな作業をしながらも、ずっと津軽弁でゆりあんに話かけた。
ゆりあんは、ベッドにゆったり座って会話をした。
万が一タコスター人に盗撮や盗聴されていてもいいように、ゆったりとくつろぎながら、ときどき、
「ああ、お願い。
お風呂はあまり熱くしないでね」
とか、
「美味しいお茶ねえ。
原料はなに?
どうやって作るの?」
など、ちゃんとした標準語で、客らしい言葉を混ぜながら。
宇宙警察のブルーサファイヤが教えてくれたタコスターについての話は以下のようなことだった。
(作者注・すまん。津軽弁書くのめんどくさくなってきた)
今、宇宙警察はタコスターのことを調査している。
その昔、タコスターはひどいことを繰り返してきた歴史がある。
美しいが弱い小さな星を見つけては、のっとったり荒らしたリしてきた。
近年は他の星たちの反発を受けて、タコスターは大人しくしている。
他のもっと力を持った星たちを前に『二度と小さな星をいじめたり侵略しない』と合意書を書いたそうだ。
しかし、最近、また彼らが地球に頻繁に出入りしている情報が入ったので、宇宙警察はタコスターを訪問して確認をした。
タコスター側の主張は、
『地球をどうこうしようと思っているわけではない。
地球を離れたいという希望を持った地球人だけ、同意のもとで、タコスターに移民させてあげているだけだ』
ということだったそうだ。
大きな力を持った人権派の星は、
『それなら構わない』
と、タコスターのやっていることを認めたそうだ。
でも、星間の垣根を超えた、超党派の環境団体からはこんな訴えがあるという。
『自然のままの美しい地球に、文明の手を入れてはならない。
あそこで暮らす野生の人々に介入してはならない。
地球の人間たちは、自然のままありのままで残しておくべきだ』

ここまで話をきいて、ゆりあんはショックを受けた。
「え?地球って自然のまま、野生のまま、って思われてるの?
私たち地球人って、もっと高度な宇宙人たちから見たら、文明人じゃないのお?!」
ブルーサファイヤは、
「失礼なごどしゃべってかにな。
そった考えの団体がいるごどによって、なんどの星は侵略さぃずに保だぃでらんだよどいうごどしゃべりだがっただげだ」
(失礼なことを言ってすいません。
そういう考えの団体がいることによって、あなたたちの星は侵略されずに保たれてるんですよということを言いたかっただけです)
と答えた。
まあ、とにかく宇宙警察は、タコスターが何か地球に悪さをしていないかを秘密裏に調査しているということだ。
さっきの、パーティホールの停電ももちろん、他の潜入宇宙警察官が仕掛けたことだそうだ。
そして、本当は、ゆりあんじゃなくひろゆきに詳しく話をききたいという。
警察としては、実際にタコスターで何年も暮らしているひろゆきの声がききたいという。
宇宙警察がタコスターに直接おとずれても、いつもごまかされてしまうそうだ。
いくら警察とはいえ、何の証拠もなく無理やり他の星の内部にまで踏み込むことはできないそうだ。
それで今回、タコスターがまた地球のそばに来るとの情報を得て、この宇宙ステーションに乗り込んで来た。
宇宙警察が、より詳しく話をききたかったのはひろゆきの方だったのか。
「地球から連れられてきた男性たちが、タコスターでとてもひどいことをされているという噂があるんです。
ちょっと言葉にすることがはばかられるような」
というようなことを津軽弁でブルーサファイヤは言った。
ひろゆきはそのころ、宇宙ステーションの片隅の部屋で、語学教室を開いていた。
ひろゆきは簡単な英語も出来たので、宇宙ステーションで働く人たちの中の希望者を対象にした2時間だけの、”楽しい地球語教室”というイベントだった。
次回に続く
➡恐怖の宇宙エロぐま・地球来襲⑥ ⑦
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