恐怖の宇宙エロぐま・地球来襲④
ひろゆきを救え!

前回までの話はこちら➡恐怖の宇宙エロぐま・地球来襲① ② ③
喫煙室に入ったゆりあんとひろゆき。
しかし喫煙室はガラス張りで、外からピンクのクマ型宇宙人のピンキーが二人を見ている。
二人は無理やり笑顔を作り、談笑しているフリをしながら津軽弁で話した。
「あいづらは地球のっとるべどすてら」(あいつらは地球をのっとろうとしている)
とひろゆきは言った。
「ええっ?!」
ゆりあんは、必死でウソの満面の笑顔を作りながらも驚きの声をあげてしまった。
ひろゆきは、
「あいづら本当の姿はぐまでね」(あいつら本当の姿はクマではない)
とも言った。
「えええええ?」
ひろゆきが説明したことはこういうことだった。
宇宙人=タコスター人たちは今、地球の女性を集めようとしている。
だから人間の女子が好きそうな可愛いクマのぬいぐるみみたいな姿をあえてしているそうだ。
油断させるために。
名前も可愛い名前を語っているそうだ。
タコスター人は、少し前は地球の男を集めていたそうだが、そのときは、ひろゆきいわく、
「わー捕まったどぎは、あいづら、セクスー女性の恰好すてあった」(僕が捕まったときは、あいつら、セクシー女性の恰好をしていた)
だそうだ。
ゆりあんは、目を白黒させながら、笑顔をひきつらせた。
そこまで話したら、一本煙草が終わってしまった。
ひろゆきがもう一本煙草を出そうとすると、ピンキーが喫煙室のドアを開けた。
「煙草の吸いすぎは身体に悪いですよ。
そろそろ戻りましょう?」

ゆりあんの腸は煮えくり返った。
宇宙人はどこまで舐めたマネするんだ。
ゆりあんの気を引くために銀座で買った宝石を出して来たり、イケメン男性をだしてきたり、クマの恰好したり?くら寿司買って来たり?
(こちとらガキじゃねえんだよ!舐めるな!)
おそらくひろゆきも騙されて連れてこられたんだろう。
今、ひろゆきはそれを後悔している。
でも、ひろゆきは逆らえずに、表面上は宇宙人に迎合している。
ゆりあんは、ひろゆきにもっと詳しい話をきいて今後どうすればいいのか相談したかった。
そしてクマたちに話している内容がバレないとはいえ、津軽弁はゆりあんにとっても難解すぎる。
解読に時間がかかる。
どこかでちゃんと普通にひろゆきと話がしたかった。
ピンキーにせきたてられて、ゆりあんとひろゆきがパーティ会場に戻ると、大型スクリーンの前に立ったクマちゃんが、マイクで何かを語っていた。会場のクマたちは、さっきより多くなっていた。
それはタコスターの言語らしくゆりあんには意味がわからなかったが、スクリーンには地球のあちこちの風景が映し出されていた。
クマちゃんは、ゆりあんとひろゆきが会場に戻ったことに気が付くと、話している言語を日本語に戻した。
「地球は美しいですねッ。
僕らは地球人とお友達になりたいですねッ」
***************
地球の美しい海や湖や森林が映し出されると、タコスター人たちは歓声を上げた。
ゆりあんはハンバーガーを食べながら地球の映像を見ながら考えた。
(どうしたらいいか。
私はまだ比較的自由の身だけど、ひろゆきさんはもう動きがとれないらしい。
タコスターにいるさっきのイケメンたちだって、本当はもしかしたら逃げ出したいのかもしれないし。
どういう状況なのか、とにかく詳しい状況を知りたいわ。
ひろゆきさんとじっくり話したいわ、津軽弁じゃなくて)
ゆりあんがひろゆきの方を見ると、カラフルなクマ型宇宙人たちに囲まれていた。
「Where is that beautiful lake?」(あの美しい湖はどこにあるの?)
「Can you catch a lot of fish on the earth?」(地球ではお魚はたくさん取れるのですか?)
英語の勉強は終わっているらしき宇宙人たちが、地球の映像についてひろゆきを質問攻めにしていた。
会場の人数は、かなり増えていた。
この宇宙ステーション船で働くクマたちは入れ替わり立ち代わり、このホールにやって来た。
ゆりあんのそばにはぴったりとピンキーが張り付いていて、他のクマたちにゆりあんを紹介しはじめた。
ゆりあんはひろゆきのそばにはもう近づくことができなくなってしまった。

しかし、その十分後だった。
この宇宙ステーション船のパーティ会場にはちょっとしたアクシデントが起こった。
急にホールが停電になったのだ。
大型スクリーンの映像が消えたかと思うと、天井のライトが全部消えた。
会場は一瞬シーンとなり、数秒後、ぼそぼそと話す人たちの声が聞こえた。
遠いところから地球に来るような高度な文明を持った星の宇宙ステーションで働くような人たちは、さすが冷静なので、停電くらいでキャーキャー騒ぎはしないが、不安そうな声がぼそぼそと部屋のあちこちから起きた。
ゆりあんは暗闇に怯えた。
(私、よく考えてなかったけど、宇宙に飛び出して来て馬鹿だったんじゃないか?
別にタコスターにさらわれなくとも、この宇宙空間で事故で死んでしまうこともあるんじゃないか?)
ゆりあんは急に恐ろしくなった。
しかし、ホールのドアを誰かが開けたとき、すぐ外の廊下には灯りが煌々とついているのが見えた。
(あ!この宇宙船自体が停電したわけではないのね?
この部屋だけが停電しただけなんだ)
そう思ってゆりあんは、少し安心した。
ゆりあんのそばにいたピンキーは、懐中電灯のようなものを取り出し、灯したあと、大型スクリーンの前の方に走って行った。
ピンキーがゆりあんのそばを離れた瞬間、一人のクマ型宇宙人がゆりあんに近づいた来た。
小さな懐中電灯を持った、体格のごついクマだった。
小さな小さな懐中電灯だったが、その小さな光で、そのごついクマの色はブルーだということがゆりあんにはわかった。
懐中電灯を持ったブルーのクマはゆりあんの手を取ると、ささやいた。
「騒がないで。静かにして
ちょっとこちらに来てください」
ゆりあんはブルーのクマに腕を引っ張られて、ホールの片隅に連れて行かれた。
ブルーのクマは小さな懐中電灯をたよりに、真っ暗な中、人をかきわけてゆりあんを部屋の片隅に連れて行った。
そして、
「私はあなたの味方です。安心して」
と言った。
ゆりあんは何が起きているのか理解できなかった。
その数秒後、暗闇の中、二人の人陰がゆりあんの前に走り込んで来た。
ブルーのクマが小さな懐中電灯でチラッと照らすと、ひろゆきの手を握った細身のグリーンのクマがいた。
ひろゆきもあっけにとられた顔をしていた。
部屋の片隅で、ゆりあんとブルーのクマ、ひろゆきとグリーンのクマは小さな懐中電灯の光の中で顔を見合わせた。

細身のグリーンのクマは言った。
「大丈夫。しばらくは電気はつかないだろう」
真っ暗な会場は、小さくざわついていた。
おおむね皆大人しくしていたが、ときどき大き目な声を出す人もいた。
「早く電気をつけろ!」
とでも言っているのだろうか。
真っ暗な会場の片隅で、ガタイのいいブルーのクマはゆりあんとひろゆきに向かって言った。
「宇宙警察のものです」
「ええっ?!」
ゆりあんとひろゆきは驚きの声をあげた。
「しっ!
静かにして、
時間がないので、手短に話します」
グリーンのクマは、
「お二人はご自分の意志でこの宇宙船に?」
とたずねてきた。
ゆりあんは、とまどいながらも、
「ま、まあそうなんですけど。
ちょ、ちょっと色々騙されて頭に来てますが」
と答えた。
ゆりあんは、ブルーのクマが小さな灯りで照らすひろゆきの顔を見た。
ひろゆきは、ゆっくりと大きくひとつ息をついたあと、急にまくしたてるように言った。
「僕は、逆らえない身なんです。
自分の星に帰りたいのですが、帰れないのです。
助けてください。
多分、ゆりあんさんもそうなる。
地球に近づいている今がチャンスなんです。
助けてください!」
ひろゆきはそう言った。
ゆりあんは震えた。
そのとき、拡声器のようなキーンという音がした。
小学校とかで使う、手で持つタイプの拡声器の音のようだった。
拡声器からクマちゃんの声がした。
「あーあー、あーあーテステス」
クマちゃんは、会場の皆に向かってタコスター語で何か言ったあと、日本語で、
「もうすぐ電気はつきますので、少々お待ちください。
地球からのお客様にはお恥ずかしいところを見せてしまって申し訳ありません」
と言った。
会場からは安堵したような笑い声が起きていた。
ブルーのクマは、
「もうすぐ電気がつくな。
いったん戻りましょう」
と言った。
グリーンのクマは、
「話の続きはあとで」
と言った。
ひろゆきは、すがるような目で二人のクマを見た。
「ささ、とりあえず、いったん戻りましょう。
大丈夫。
安心して」
4人が、皆のいる大テーブルの方に戻ったときに、ちょうど会場の灯りはついた。
次回に続く
➡恐怖の宇宙エロぐま・地球来襲⑤ ⑥ ⑦
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