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栃木に向かう東京の象の群れ ~後半~

huugetu

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避暑地に向かうゾウさんたち


花のついたヒモパンで腰をくねらせて立っている

これまでのお話➡ゾウさんたちの旅の行方


川口インター付近の公園の池のほとりで休憩中の”ふうげつ象”の群れ。
(注・ふうげつ象=秋田犬くらいの大きさの日本の各地に生息する象)

群れの若きリーダー・ボス象の目的は、東北自動車道を使って栃木までゆくことでした。
日本の真夏を涼しい高原で過ごすのです。

象さんたちが川口インターに出現したことは、人間界のニュースで取り上げられたこともあり、この公園には大勢の人々が食べ物を持って訪れてくれました。
インター近くということで、トラックで大量の食べ物を運んで来てくれるドライバーもいました。

象達は、みんなお腹いっぱいで幸せになりました。

ボスの弟象は、喜びました。
「兄さん。ここもいいところだね」

ボスの奥さん象と、妊婦シンシアは子象たちとともに、公園の池の中ではしゃぎました。
「楽しーい!涼し〜い!」

ボスも考えました。
(埼玉県の川口か。もしかしたら、ここもいいところかもしれない。
東北自動車道で、たくさんの食べ物が運ばれて来るし)

しかし、栃木出身の年配象はボスに提言したのでした。

「埼玉は、夏は関東付近の中では、なかなか高温になるところだ。
楽しいのは今のうちだけだ。
早く栃木の高原に行かないといけない」

確かにボス象も耳にしたことがありました。
埼玉の熊谷というところはものすごく高温になるらしい。
しかし、熊谷とここ川口とは随分離れているのではないか?

でも東北自動車道を使うのも賭けでした。
下の道を使うよりも、栃木にはより早くつけると思うのですが、あんな車の多い道路を一週間もかけてみんなで歩けるのでしょうか?

年配象は言いました。
「大丈夫だ。
東北自動車道を走るドライバーさんたちがきっと支援してくれる」


川口の公園に滞在して二日目の午後。

池のほとりで、お腹いっぱいで幸せそうにお昼寝をする仲間たちを眺めながら、ボス象は迷っていました。
明日、この心地よい場所を出発するか?ボス象は迷っていました。

そこに、突然、一羽のカラスが舞い降りて来ました。

隅田川の河川敷にいたときも、ボス象にはカラスの友達は何人もいましたが、このカラスは初対面でした。

カラスはボス象の前に舞い降りると、息を切らしながら言いました。

「伝言です!」

ボス象が驚いていると、カラスは続けました。

「墨田区、荒川区、足立区、北区などのカラスリレーで、川口の僕のところまでに伝言が来ました!」


花と草のついたマイクロビキニでひまわりをバックに立っている


川口市のカラスの話はこうでした。

墨田区のボス象の友だちのカラスは、人間のテレビをよく見ていたそうです。
近所には、遊びに行くといつもおうちに入れてくれる人間の家庭があったそうです。
墨田区のこのカラスは、人間の家庭でいつも好きなだけ時間を過ごし、好きな時に帰るんだということは、ボス象も聞いていました。

そして、墨田ガラスは、昨日今日と、人間のご家庭に入り浸ってテレビのニュースを見まくった結果、ボス象に伝えなければいけないことがあると思いたったそうなのです。

川口市のカラスは言いました。
「墨田区のカラス君は、様々な人間のニュースを見たそうです。
それらを総合すると、人間は、あなたたちの群れの捕獲を考えている部分も、少しあるそうです。
しかし、もし東北自動車道に入らずに、ここの公園で大人しくしているのであれば、放置しておこうという流れだそうです」

ボス象は、軽くショックを受けました。
(やはり、東北自動車道に入るのは危険なんだ?)

ボス象は、カラスにお礼を言いました。
「どうもありがとう。
考えて見るよ。
皆さんによろしく」

自分の役目を果たしたカラスは、安堵の表情を浮かべて飛び去って行きました。

夜、ボスはもう一度、年配象と一緒に川口インターの入口を見に行きました。

インターにいた人間は、ボスたち見るなりに、慌てたように電話をつかみました。
急いでどこかに電話しているようです。

「まずい!」
ボスと年配象は急いで公園に戻りました。
「どうしよう?捕獲されてしまうかも?」

しかし次の朝、役所の人みたいなきちんとした身なりの人により、山ほどのバナナと林檎が公園に運ばれて来たのでした。

年配象は言いました。
「わかった。
人間は、美味しい物で釣って、なんとか私たちをこの公園にとどめるつもりなんだ」

やがて工事車のような車が、何台もやって来ました。
工事車は公園の周りでしきりと何かしていました。

そして、公園の出口という出口は、なんと、あっという間に閉鎖されてしまいました。

ふうげつ象さんの20頭の群れは、約8.9ヘクタールの公園の中に閉じ込められてしまったのでした。

それほど狭いわけではありませんが、今まで自由に暮らしていたのに、急に一か所に閉じ込められるということは、象さんたちを絶望的な気持ちにさせました。


ぞう3


千葉の”象の国”から、ボスのおじさんがやってきたのは、次の日でした。

おじさん象は、”象使い”の人間の運転する車でやって来ました。
警察の人がバリケードを開けて、おじさんと象使いを公園の中に入れました。

「おじさん!」
ボスと弟象は、おじさん象に駆け寄りました。

弟象は、泣きだしてしまいました。
「ああ!おじさん!おじさん!」

おじさんは、長い鼻で弟象の頭をなでながら、ボスに向かってねぎらうように言いました。
「大変だったな」

でも、ボスは、不安になりました。
「まさか、僕らを千葉に連れてゆくのっ?!」

おじさんは首を振りました。

そして、象使いの人間を紹介してくれました。
「この人は象の言葉がわかるんだ」

象使いの人間は、ボスに向かって、優しい顔で微笑みました。

おじさん象は言いました。
「お前たちが何をしようとしているのか、話してくれ」

象の言葉がわかる人間なんているのか?とボスは半信半疑でした。

実際、ボスがおじさんと象使いの人間に向かって、
「僕ら、東京の暑い夏に耐えられなくなったのです。
うちの群れの年配象さんの故郷の栃木の高原に、真夏の間だけでも行きたいのです」
と説明しても、象使いの人間には伝わっていないようでした。

しかし、象使いの人は、持って来た大きな鞄を開きました。
そこから、大きな日本地図を出して来ました。

象使いの人は、日本地図をボスの前に広げると、何か語り掛けてきました。

「僕らがどこに行きたがっているのかをたずねているのか?」

ボスは弟象に命じました。
「すぐに年配象を呼んで来てくれ!」


池のほとりで休んでいた年配象は、やってくると鼻の先で、日本地図の関東北部辺りをさし示しました。

しかし、地図上では正確な栃木の位置を示すことはできませんでした。

おじさん象は、年配象にたずねました。
「あなたは、以前、少しの間だけ上野動物園にいたんですよね?」

「ええ、そうですが?」
と年配象が答えると、おじさん象は、
「上野動物園の人が、あなたの出身地を正確に知っているかもしれない」
と言いました。

おじさん象は、大きなポシェットを肩にかけていました。
おじさん象は、鼻で器用に自分のポシェットを開けると、中から、色々なグッズを出して地面に並べました。

おじさんは、”象の国”に来るお客さんたちからもらったお土産やグッズの中で、気に入ったものをこのポシェットに入れていたのでした。

おじさんは、地面に並べたグッズの中から、小さなパンダのぬいぐるみを鼻でつかみました。

そして、それを象使いの人間に押し付けるように渡しました。

象使いの人間は、言いました。
「パンダ?
上野動物園の人が遊びに来てくれたときにプレゼントしてくれたやつか?
え?
この象さんたちは、上野動物園に行きたいのか?
じゃあ方向、まるでちがうじゃないか?」

おじさん象は首を振りました。

首を振り、とにかくパンダのぬいぐるみを象使いの人に押し付け、うったえました。
「上野動物園に連絡を取ってください!」


花や草のついたマイクロビキニを着で前面から全身の写真


その日の夜までに問題は解決しました。
”象の国”の象使いには、おじさん象の言いたかったことが伝わりました。

そして、駆けつけてくれた上野動物園の象の飼育員の人が、年配象を見た途端に言ってくれたのです。

「ロバートじゃないか!
これは栃木の那須高原で捕まえたロバートです!
数年前にうちの動物園から逃げ出してしまった象です!
今回ニュースになっていた象の群れの中にいたとは知らなかった!」

「那須高原?
なるほど。この象さん達が行きたかったのは那須高原なんですね」
と、象使いの人は言いました。


若きボスの率いる象さんの群れは、大きな大きなトレーラーに乗せられ、東北自動車道で、栃木の那須高原に連れて行かれました。

そして象さんの群れは、涼しい高原で快適に日本の夏を過ごしました。

妊婦象のシンシアも、この過ごしやすい土地で、8月に快適に無事に出産することができました。



10月、感染症が収まりつつあった東京。

東京の隅田川付近の住人たちは、河原に降りては寂しそうに語り合いました。
「栃木に行った象さんたちはもう戻って来ないのだろうか?」
「あっちの暮らしがすっかりよくなっちゃったんだろうか?」
「来年のお花見には、2年ぶりに象との写真を撮りたかったのになあ。
帰って来ないなあ」


しかし、完全に感染症が収束した11月の下旬の東京。

トレーラーに乗ったボスの群れは、再び、隅田川に戻って来たのでした。

秋になっても那須高原は思ったほど寒くならなかったので、居心地がよかったので戻る時期が遅くなりましたが。

またカラスの伝言リレーが、東京から埼玉、群馬を伝って、栃木までやってきてくれたのです。
「隅田川カラス君がお邪魔しているご家庭の人が、君たちがいなくなったことを悲しんでいるって。
それに今年のクリスマスは、町内会の人たちで、久しぶりに君たちのために大きなケーキを作る予定だったんだって」

と言うことで、わがままなふうげつ象たちは、再び東京に戻って来たのでした。


象さんたちには、これから久しぶりに楽しいクリスマス、お正月、お花見が待っていることでしょう。




終わり



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最終更新日2021-07-01
Posted by huugetu

Comments 2

There are no comments yet.
ななし
No title

最後は、象じゃなくて普通にかぞくの大移動みたいな感じに思えたなあ☺

huugetu
huugetu
Re: No title

我がままな象さんたちは、来年はどうするんだろう
またトレーラーで旅行かな?

しかし動物と共存する世界っていいなーと思ってて。
鹿と暮らす奈良とか憧れ。
共存ってどっちもそれなりに大変なんだろうけど。