生き残った三軍選手たち⑲

整形美人オールスターズ


白い下着の上下

前回までの話➡生き残った三軍選手たち①                                   


国の北西部の山、南東部の山、南部の山が噴火し、人工物と混じわった。
その結果、有毒ガスが生成されて、なぜか、国民の中の①トップレベルのスポーツマン、②トップレベルの美人、③トップレベルの美声の持ち主たちが亡くなってしまった。


*******

芸能事務所の社長は、毒ガスについてのテレビの報道番組を見ていた。

『動物としてきわめて優秀な強じんな肉体を持った人々は、毒ガスに過剰な反応をしてしまった。
美しい顔、美しい声を持った人も、肉体が優秀だといえるので同様に』
という、これまでにもうわかっている情報についての説明が再度あった。

「つまり、この方たちは、外敵から自らの身を守るために、自分の身体に武器をたくさん持っていた人たちなんですね。
しかし今回、その武器を乱発してしまったために、自分自身のことも攻撃してしまったんですね」
とサブ・キャスターが言った。

「しかし自然界にそんな事象は、あまりないわけでしょう?
今回は火山ガスが人工物と混ざったことが問題だったわけなんですね?」
「そこなんです」
メインキャスターは、言った。

メインキャスターはボードを出して来た。

ボードには、
『火山ガス×車の排気ガス
火山ガス×産業廃棄物
火山ガス×・・・・・・』
などと書かれていた。

「●●大学と◇×大学、△×社など企業と国との協力で、今、どういった組み合わせが、この恐ろしい毒ガスを生成してしまったのか実験・研究をおこなっています。
そして産業廃棄物の中のいくつかの実験においては、今回発生した毒ガスに近い物が生成されることが確認できたということです」

社長はテレビを消した。

たくさんのメイン女優やメイン歌手を失った社長の会社は苦しかった。

亡くなったスターたちの残してくれた映像や音源の売上や、整形美人のA子ちゃん、元CD歌手の元お歌の先生、ダミ声の新人奥様歌手、他イマイチスター候補生たちで頑張ってはいたが。

半分に減らしてしまった従業員たちだが、それでもまだまだたくさんいた。
彼らを喰わせてゆくには、もっと頑張らないとやっていけない。

そんな中、整形美人のA子ちゃんの発案の企画が、少し当たってきた。
『整形美人オールスターズ』だ。

A子ちゃんは、社長とマネジャーを前に語った。
「自然界の火山ガスと人間が作ったものとの融合で恐ろしい毒ガスができたのであれば、ここで人類はもう一回、挑戦しましょうよ!」

社長とマネジャーは、最初はA子ちゃんが一体何を言っているのかわからなかった。

A子ちゃんは言った。
「元々の素材を生かしながらも、人類の英知を集めた技で更に美しくなった『整形美人』。
これですよ!!」


他の芸能事務所にも、火山ガスでやられなかった生き残った整形美人は、少なからずいた。

『整形美人オールスターズ』は、他の数々の芸能事務所に声をかけて、各社の生き残った整形美人たち寄せ集めたユニットだった。

A子ちゃんのマネージャーが、懇意にしていたテレビのプロデューサーにこのアイディアを持ちかけると、彼は乗ってくれた。
他の芸能事務所が、著名な演出家の協力も取りつけてくれた。

あるテレビ番組で『整形美人オールスターズ』のダンスと歌のパフォーマンスステージが放映されると、彼女たちはホントに美しいし、何より開き直りと思い切りがよいと、世間に大いににウケた。

『整形美人オールスターズ』は、急きょCDの発売をすることが決まった。


白いPL


(場面変わって)

オズボーン達は、研究者の桜田さんが、研究所と火山ガスの関係のことを調べているのかと思っていた。
だからみんなは、桜田さんに協力していた。
しかし桜田さんは、『社内のゴルフ賭博』という、しょーもないことを調べていたのだった。

せっかく手に入れた研究所所長の部屋にあった資料や、タンクルームにあった段ボールや、社長や所長のメールなどは、桜田さん以外の人は、一回も中身を見ていなかった。
オズボーンはそれらを調べるべきだと言い、みんなに招集をかけた。

システム女子は、赤い小さな車を飛ばして桜田さんの家に着いた。

桜田さんは、リビングルームに段ボールやパソコンなどを用意している途中だった。
桜田さんの旦那さんが、それらの物を桜田さんの部屋から運ぶのを手伝ってくれているところだった。

「ねえ、一体、何なの?
何を調べるの?」
と桜田さんがシステム女子にたずねると、女子は、
「秘書さんが来たら説明します」
と言った。

でも秘書はなかなか来なかった。

システム女子は、以前に段ボールを運ぶために桜田さんの家に来たことがあるからすぐに道がわかった。
桜田さんの旦那さんは、
「うちって狭い道がちょっと複雑だから秘書さん迷っているかね?」
と言った。

そのとき秘書から桜田さんの家電に電話がかかって来た。

「ねえ~。虎猫通りってどこ?
国道を出たあとからの道がよくわからないのよ」
と、秘書は言った。

桜田さんは、家までの道のりを説明した。

「あ~ん。
そんなこと言われてもわかんないわ」
と秘書は言った。

「もーう!
私じゃ理解できないわ~。
ちょっと電話変わるわね」

桜田さんは、驚いた。
秘書に変わって電話に出て来たのは、総務部長だったからだ。

「そ、総務部長?!何やってんですか?!」

「僕が車を運転してそっちにに向かっているところなんだ」
と総務部長は言った。

「もういちど、道について詳しく話してくれる?」

桜田さんは、
「なんで総務部長が秘書さんと一緒なんですか~っ?!」
と叫んだ。

「まあまあそれはいいから。
道について説明してくれないか」

桜田さんは、頭がハテナマークでいっぱいになりながらも、国道を出てからの自分の家までの道のりについて、総務部長に説明した。

その後、再び、秘書が電話に出た。
「ごめんね~。
さっきまで一緒だったんもんで。
で、どうしても私を送ってゆくって言い張っちゃって。
大丈夫よ。
桜田さんの家に着いたら、帰ってもらうから。
総務部長は桜田さんの家にはあがらないから、気にしないでちょうだい」

桜田さんは電話を切ると、
「どーゆうこと?
総務部長が運転する車で、秘書さんはこっちに向かってるわ??」
と、システム女子にたずねた。

システム女子は嬉しそうに言った。
「まあ!
なによ。
若い男の子が好きって言ってたくせに、秘書さんたら、なんだかんだ、エッチが上手な総務部長と今でも付き合いが続いてるんだあ。
よかったわあ!」

桜田さんは、
「なんだかわからないけど、総務部長はアッシー君みたいよ。
うちまで秘書さんを送り届けたら、すぐに帰すって言ってた」
と言った。


白いブラと白いパンツ姿


システム女子は、念のためにオズボーンに報告した。
オズボーンはまだ列車の中だった。

オズボーンは、システム女子の話を聞いて、
「総務部長?」
と言うと、少し思案したあと、
「いや、同席してもらおう。
彼にも仲間に加わってもらうようにしよう。
力になってくれる強い味方を増やしたい」
と言った。

オズボーンは、
「僕がそっちに行くまでに、君は今までの経緯をみんなに説明してほしい。
でも、社長や所長のメールを盗んだことは総務部長にはまだ内緒にしておいて。
あれは君の罪になる。
資料を調べるのも僕がそっちに到着してからにしてほしい」
とシステム女子に指示した。

システム女子は電話を切ると桜田さんにオズボーンの話を伝えた。

桜田さんは嬉しそうに、
「え?総務部長も仲間にするの?
やった!
ゴルフ賭博の話が出来るわ!」
と言った。

システム女子は、
「ちょ!ちょっと待ってください。
それは後にしてください。
その話は、今の問題が片付いてから、いくらでもお好きだけゆっくりと総務部長に言いつけてください。
今はやめてください。
いいですね?」
と注意した。


やがて、秘書と総務部長が、桜田さんの家に到着した。

桜田さんの家の玄関で、
「あらやだ~オズボーンちゃんはまだなの?
あのコに会えると思ったから、私、わざわざ来たのに~」
と、秘書は言った。

システム女子は、総務部長の顔をチラッと見た。
総務部長は、一瞬少し苦い顔をしたが、彼はすぐに大人の男らしい余裕の笑顔を作った。

「総務部長、じゃあね~さよなら~。
送ってくれてありがとうね~」
と秘書さんは、総務部長を両手で押して、玄関のドアから追い出そうとした。

「待ってください!
総務部長もいてください!」
とシステム女子は止めた。

総務部長は嬉しそうな顔で、秘書の顔をチラッと見た。


桜田さんは、秘書と総務部長をリビングルームに案内した。
「オズボーンさんが来るのは、6時半か7時ころになっちゃうんですって」

秘書はケーキを大量に手土産に持って来てくれていた。
総務部長が、道の途中で気をきかせて(?)買ってくれたやつだった。

桜田さんの旦那さんが入れてくれた紅茶とケーキを食べながら、システム女子は皆(旦那さんも総務部長も含め)に向かって話をした。

自分が会ったフリーライターを名乗る男が言っていたことや、ドウリョウさんが研修合宿から突然いなくなったことなどを、説明した。

総務部長は、フリーライターの話のくだりを『ばかばかしい!』という感じで、呆れながらきいていたが、ドウリョウさんがいなくなったことには強く反応を示した。
「うそっ!
僕があんなにかばってやったのに!!
クビにならないようにお膳立てしてやったのに!
ドウリョウ君は、研修合宿をエスケープしたのかっ?!」

システム女子は、
「総務部長。まあ落ち着いて、話の続きをきいてください」
と言った。

「フリーライターの言うことが本当だとしたら、ドウリョウさんは社長や所長の命令で、ライバル社のシステムに潜入していたことになります。
私たちが集めた資料の中にそのことを示す証拠があるかどうか?
それを調べたいと私は思ってたんです。
でも、オズボーンはそうだとは思っていないんです。
それとは違う何かが、資料の中にあるんではないかと思っているんです」

そこで総務部長は口を挟んだ。
「資料?
資料って何?」

システム女子は、慌てて言った。
「研究所のタンクルームに置き去りになっていた段ボールの資料です」

桜田さんは誇らしげに言った。
「このダンボールの中には、ゴルフ賭博の秘密などが隠されていたんですよ!」

総務部長が、
「え?ゴルフ賭博ってなに?なに?」
と興味を示すと、秘書は、
「もう!!ややこしくなるから、ゴルフ賭博の話は後にして!!」
と、遮った。

システム女子は続けた。
「オズボーンは、ドウリョウさんは、フリーライターに連れ去られたと思っているようなんです。
つまりフリーライターは、ドウリョウさんの居所を突き止めるために、嘘を言って私に近づいてきたと」

ポカーンとする桜田さんと秘書と総務部長を差し置いて、桜田さんの旦那さんが口を開いた。
「つまり、オズボーンさんの考えでは、フリーライターが怪しいと。
ドウリョウさんの行方不明の理由が、この資料の中にあるのではないかというわけですね?」

システム女子は、強く頷いた。

皆が二個目のケーキを食べ初め、旦那さんが二杯目の紅茶の準備をしているころに、やっとオズボーンは到着した。


白いフワフワの下着でポーズして立っている


(場面変わって、ドウリョウさん)

ドウリョウさんは、コンプライアンス研修合宿所のわりと近くにいた。

合宿所のそばのビジネスホテルの一室に閉じ込められていた。

合宿所には、明け方、ドウリョウさん宛ての電話がかかってきた。

電話の主は、合宿所の管理人の娘さんには、『ドウリョウの会社の上司だ』と名乗っていたが、ドウリョウさんが電話に出ると、こう言った。
「私は、システム女子の兄です。
この地方に住んでおります。
妹から、ドウリョウさんが今こちらにいらっしゃると聞いたんです。
それで私、ぜひドウリョウさんに一目お会いしたいと思ったのです」

ドウリョウさんは心臓が飛び出そうになった。
隠し撮りをするほど、密かに憧れていたシステム女子のお兄さんがなぜ?突然?自分に会いに?

兄を名乗る人物は言った。
「妹が見染めた人物がどんな人か、私は知りたかったんです」

(システム女子ちゃんが、僕を見染めてたって?
ええっ???)

「妹はいつもいつも、『会社のドウリョウさんって人がね、ドウリョウさんがね、今日はこうしたのよ、ああしたのよ』って電話で話してて。
夢中なんです。
ちょうど今、ドウリョウさんがこちらに研修に来てるときいて、私、ぜひお顔を拝見したくって」

ドウリョウさんは、もう何も考えられなかった。
なんで、システム女子のお兄さんがこんな早朝にそんなことを言い出すかとか、普通に考えればおかしなことなのに、そんなこともう考えられなかった。

「すぐ行きます!!
お兄さん、門の前で待っててください」

ドウリョウさんは顔を洗って着替えると、スマホも持たずに合宿所のグラウンドの門に向かって走った。

そして、門の向こうのシステム女子のお兄さんと名乗る人の「もっと近くでお話ししたい」と言う言葉に誘われ、5メートルの高さの門を乗り越えた。

オズボーンは4メートルの壁をクリアしたが、運動神経の弱いドウリョウさんは、張り切って5メートルの門を越えるときに少し足を痛めてしまった。

「いててて。
てへへ、お恥ずかしい」
と、ドウリョウさんが足を擦りながら照れ笑いをしているときだった。

突然、複数の男たちと車が現れてドウリョウさんは拉致られた。



次回に続く
生き残った三軍選手たち⑳        




***********


最新ページに行く

〈索引ページに行く〉

〈女性の特徴別検索に行く〉


↓見てほしい全記事の題名!(しかし・・・注意・ちょっと開くまで時間がかかります!!)
全記事リスト





関連記事

2Comments

ダンディー?  

No title

プチ整形みたいなのしてないひとを見つける方が難しいかも😢今回はビビさんでてこなかったね😵

2021/05/08 (Sat) 15:49 | EDIT | REPLY |   
huugetu

huugetu  

Re: No title

ビビさんと山村、毎回出したいんだけど、他に書くことが多くて出せなかった

2021/05/08 (Sat) 18:36 | EDIT | REPLY |   

コメント