生き残った三軍選手たち⑯
ドウリョウさんは敵なのか?味方なのか?

前回までの話➡生き残った三軍選手たち① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮
国の北西部の山、南東部の山、南部の山が噴火し、人工物と混じわった。
その結果、有毒ガスが生成されて、なぜか、国民の中の①トップレベルのスポーツマン、②トップレベルの美人、③トップレベルの美声の持ち主たちが亡くなってしまった。
世間のネット民の中の一部には、火山のそばにある企業の研究所が毒ガス生成に関わっているんじゃないかと噂する人もいたし、北西部の火山のそばの研究所で働く人たちが、一瞬、火山ガスと研究所の関係を暴こうとしたが、なんかそれは違ったらしい。
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桜田さんや秘書さんの到着を待つ休日の居酒屋の個室。
システム女子に向かって、フリーライターは詳しい話をした。
本当は最初にこの話をするつもりだったのに、システム女子が急にあちこちに電話をかけ出したので、話しそびれていた。
「私の友人は、あなたたちの会社のライバル会社の社員です。
システムの統括を担当してますが、ここ数年、どうもおかしいことが続いたそうなのです。
そして気づきました。
会社で持っている情報が、外部に洩れているようだということに。
最初は社員を疑ったそうなのです、調べているうちに何者かが会社のシステムに侵入しているようだと」
システム女子は、ウンウンと頷いた。
フリーライターは、
「私の友人は、システムの解析など、そっちの方面から探ってドウリョウさんにたどり着きました。
ドウリョウさんを怪しいと思っているというか、ほぼ間違いないと思っているそうです。
しかし、いまいち証明することができないそうなんです。
それで僕は、コンピュータやネットのことはわからないので、違うアプローチでドウリョウさんを調べることにしました。
直接、人間としてのドウリョウさんに近づいてね。
そして、もし友人が決め手の証拠を見つけることが出来なかった場合でも、僕が記事を書こうと思ってまして。
法律的に解決することが無理だったとしても、ペンの力でひと泡吹かせてやりたいと思いまして」
と言った。
システム女子は、
「いやあ、素晴らしいことですね。
ペンは剣よりも強し。
つうか、ペンはハッカーより強しですわ。
きっと、私の恋人のオズボーンも協力できますわよ。
あのね、オズボーンは漫画家なんです」
と、興奮気味に言った。
「でもシステム女子さん。
もしかしたら、あなたの勤める会社の不利益になることですよ?
よくご協力していただける気持ちになっていただけました。
ありがとうございます」
と、フリーライターは言った。
「いいえ。
悪いことは悪いこと。
当然のことですわ」
と、さっきからなぜか、興奮しつつ、『ですわ』口調になっているシステム女子は言った。
「最近はドウリョウさんを全然見かけなくなってしまったので、私は思い切ってもう一度あなたにアプローチしようと思ったのですが、ドウリョウさんは一体どうしたんですか?」
システム女子は説明した。
「別件の仕事でちょっとミスをしたので、会社から研修合宿所に行くことを命じられて、遠くの地で一か月ほど軟禁?されているんです。
実は私の彼氏のオズボーンとともに」
ライターの眉はピクリとした。
「それって何なんだろ?」
「え?」
「あなたの会社がドウリョウさんを遠くに追いやった理由ですよ?」
「え?」
「あなたの会社は、もしかしてトカゲの尻尾切りを始めた?」
システム女子はゾクゾクした。

しかしいつまで待っても桜田さんと秘書さんはやって来なかった。
2時間後に、LINEが来た。
『ごめんなさい。今日は無理そうだわ。
またにして。
家の車を旦那が使っていて、帰って来るかと待ってたんだけど、帰って来なくって。
資料を運ぶのは無理。
また日を改めてね』
と桜田さんから来た。
「タクシーに乗ってでも来いやっ!!」
と叫んでから、システム女子は、すぐさま電話をした。
でも桜田さんは電話に出なかった。
秘書さんからは、
『お腹が痛くなっちゃって今日は行けないわ。
でも心配しないで。
休み明けに色々教えてあげるわよん』
というメールが来た。
システム女子は秘書さんにも電話したが、何回かけても彼女も電話にでなかった。
「も~ッ!!」
とシステム女子は叫んだ。
仕方ないのでシステム女子とフリーライターは、スマホの連絡先を交換して、その日は一旦解散することにした。
別れ際にライターは言った。
「ちなみにドウリョウさんが閉じ込められている合宿所ってどこにあるんですか?」
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(場面変わって芸能事務所)
火山の毒ガスで、多くのスターたちを失った芸能事務所の社長。
若手の有望株のアリスちゃんは根を上げて芸能界から去って行った。
愛する長女・真紀も、社長の元を去って遠くの事務所に入ってしまった。
生き残った整形美人のA子ちゃんと、引退していた元CD歌手や、いまいちだったスター志望の人たちと一緒に社長は頑張っていた。
赤字が続いたのでスタッフは半分解雇した。
社長は苦しんでいた。
そんな日、元CD歌手の元お歌の先生は、社長にある提案をした。
「社長。実はですね。
悪声なんだけど、とっても不思議な魅力のある人が生徒さんにいたんですよ。
あの人の歌を一回社長にきいてもらいたいわ」
社長は、半信半疑で先生にたずねた。
「ほう。
でも、あなたのやっていた歌のお教室の生徒さんって、有閑マダムの集まりでしょ?
カラオケで上手く歌いたいだけの小金を持った奥様たちの集まりなんでしょ?」
「そうなんだけど。
その人も本気で歌手を目指したことなんて過去にも今でも一度もないんだろうと思います。
なんたって、だみ声ですので。
でも歌自体は上手いんですよ。
『ガ―ガ―しててこの声は嫌だな』って引っかかる人は引っかかると思うんですけど、それを不思議な魅力だととらえる人もあるんじゃないかなと私は思ってます」
と先生は答えた。
社長は、考えた。
(そう言えば、うちの事務所の真正・澄んだ声の美声の歌手たちは亡くなってしまったが、他の事務所の個性的な声のスター歌手たちは、生き残っているな。
火山ガスはホントに美声の人だけを殺したんだな?)
社長は、その生徒さんに会わせてもらうことにした。
先生の後任が引き継いだという、主婦向きのお歌の教室に社長は出向いた。
新しい先生は、
「B山さんの歌が聴きたいんですか?
一体なぜ?」
と驚いた。
B山さん。専業主婦のその人は、30代でポッチャリしていた。
痩せれば綺麗になれるだろうに、ワガママに太っていた。
しかし、屈託がなく笑ったり、ダミ声で先生と快活にお喋りをする姿は魅力的だと、社長は思った。
そして新しい先生のピアノの演奏の元、B山さんの歌を聴かせてもらった。
社長はその迫力のあるダミ声に圧倒された。
そして力強く、かつ実に自由そうに、かつ楽しそうな表情で歌う姿に魅了された。
社長は心の中で叫んだ。
(これだ!!!)

(場面変わって、再び研究所関連)
フリーライターとシステム女子が待つ居酒屋に、桜田さんと秘書さんが来なかった理由は、オズボーンの仕業だった。
コンプライアンス研修合宿に参加していたオズボーンは、システム女子から突然の変な電話を受けた後に、桜田さんと秘書さんに連絡をしていた。
オズボーンはまず桜田さんに電話した。
「僕にシステム女子ちゃんから、変な電話があったのですが。
これは桜田さんのプランなんですか?
え?
あなたにも意味不明な電話があったって?」
桜田さんはオズボーンに言った。
「そうなのよ。
私にも突然電話が来たわよ。
今、私が取り組んでいる問題と違う案件(ゴルフ賭博問題)で、なんか知らないけどすぐに社長のメールや、所長室のメモや、研究所タンク室の段ボールを持ってこいっていうのよ。
今、車に積んだから、これから出かけようと思うんだけどさ。
あれって何なの?」
オズボーンは桜田さんに言った。
「僕にもなんのことかわからないのです。
桜田さん、行かないでください。
彼女、今、なんか興奮して変になっている。
この先のことは、ちゃんとチーム全員で顔を見て、ちゃんと話し合ってから行動したい。
僕とドウリョウさんがそっちに戻るまで待っててほしい」
桜田さんは、
「そうね。OK。
あ、そう言えば、秘書さんはどうしたかな?」
と言った。
オズボーンは急いで秘書にも電話して、今日は居酒屋には行かないでほしいと頼んだのだった。
「じゃあ、今日は代わりにセックスしよ」
と秘書は言った。
「僕は今、遠い遠い合宿中です~。できないですう」
「できるわよ~」
秘書はオズボーンにテレホンセックスを提案してきた。
しかし合宿所は4人一部屋だったので難しかった。
オズボーンは消灯時間のあとに部屋を抜け出し、誰もいない真っ暗なお風呂場に行って秘書に電話をかけ直した。
「うふふ。オズボーンちゃんの握ってあげるわ。だ・し・て」
「う、うん」
「ほらほら。ゴシゴシしてあげるわ」
オズボーンは秘書の声を聞きながら自分のモノを握った。
「あらあらもう大きくなってきた」
「う、うん」
「お口に入れちゃおうかな。ペロペロ」
秘書は口でチュバチュバという音を立てた。
「ううう〜」
「秘書さんもお股開いてごらん」
「う〜ん♡」
「触るよ」
「アン♥」
「ああもう、お股から何か出てきてる。
液体がでてきてる」
「あ~ん♡」
「濡れてる濡れてるよ」
「待って。音聞かせてあげるわ」
秘書は自分のお股のそばに電話を持って行き、片手で自分のアソコをいじった。
オズボーンの耳には「ピチュピチュ、クチュクチュ」といういやらしい音が聞こえて来た。
オズボーンの自分のモノを擦る速度は早くなっていった。
「あああん、入れてえ」
「入れるよ」
「あう〜ん♡」
「あ~気持ちいいよ、気持ちいいよ。
秘書さんの中暖かいよう」
「あああ、私の中にいっぱいになってるうう。ああッ」
「何が?何がいっぱいになってるの?」
「オズボーンのオ●△●△~♡」
そんなことをしながら、オズボーンはお風呂場で発射した。

スッキリしたあと、部屋に帰ってオズボーンは考えた。
(システム女子ちゃんはどうしちゃったんだろうなあ。
明らかに変だ。
それとも彼女を信じて言うことに従うべきだったのだろうか?)
ちなみにオズボーンは、今でも桜田さんの計画は、火山噴火と研究所の関係のことを暴くことだと思っていた。
研究所に残っているみんなは、今もその活動をしているのかと思っていた。
そこに来て、突然のシステム女子の変な電話。
システム女子とオズボーンはもう別れるとか、自分はドウリョウさんが好きだと彼に言ってくれなど。
(システム女子ちゃんは、ドウリョウさんを何とかしようとしているのか?)
(ドウリョウさんが黒幕だというのか?火山ガスを作った側の人間だというのか?)
オズボーンはそんなわけないと思った。
オズボーンがそう思った理由は、ドウリョウさんが自分たちの計画に賛同してくれたからではない。
システム女子の隠し撮り動画を警備システムに流しちゃうようなアホな人が黒幕なわけない・・・とオズボーンは思った。
オズボーンには、システム女子が何か浮足だっているような気がした。
(俺に面白い漫画を画かせたいばかりに浮足だって、誰かに足元をすくわれているんじゃないか?)
コンプライアンス研修合宿所で、オズボーンはドウリョウさんのことを観察した。
ドウリョウさんは至って普通の男性だった。
いや、どちらかというと普通よりも”天然寄り”で、いじられ役で愛されキャラの人だったとわかった。
合宿所の食事に好物が出ると大喜びし、2時間だけのテレビ視聴を許された時間帯には大はしゃぎで、チャンネル権獲得のじゃんけん大会に参加し、負けては皆にからかわれ、朝のランニング(コンプライアンス研修なのにそんな運動部みたいなのあるんかーい!?)では、根を上げていつもギブアップしそうになって、笑われながらみんなに助けられて。
ハッカーとしては能力があるんだろうけど。
この合宿所ではパソコンを与えられていなかったので、ドウリョウさんの鋭い能力を発揮する機会がなかった。
愛されイジラレキャラだった。
とくかくオズボーンには、彼が”有毒ガス作成側”の悪い人間だとは思えなかったのだ。
(俺たちの計画を邪魔するために、わざと警備画面に女子ちゃんの動画を流したとも思えない。
だってドウリョウさんは、システム部長や総務部長や警備隊長の前では、必死で桜田さんたちを庇って、ただ自分がアホなフリをしてくれてたわけだし)(実際アホなんだけど)

次回に続く
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