生き残った三軍選手たち⑨

作戦決行!警備カメラの偽装が失敗?


黒の裸エプロンでお尻を突き出している


前回までの話➡生き残った三軍選手たち①              


国の北西部の山、南東部の山、南部の山が噴火し、人工物と混じわった。
その結果、有毒ガスが生成されて、なぜか、国民の中の①トップレベルのスポーツマン、②トップレベルの美人、③トップレベルの美声の持ち主たちが亡くなってしまった。

世間のネット民の中の一部には、火山のそばにある研究所が毒ガス生成に関わっているんじゃないかと噂する人もいた。

北西部の火山のそばの研究所で警備のバイトをしていた売れない漫画家オズボーンと、システム系女子は、研究職の桜田さんから、「この会社の不正をあばくのを手伝ってほしい」と頼まれた。

************

研究所の正門のところにある一番大きい警備室には、モニター画面がたくさん並んでいた。
研究所の敷地のあちこちに設置した監視カメラの映像を見るためだ。

ここには真夜中でも常にいつでも、警備員が少なくとも二人は駐在していた。
時々一人が巡回に出たり机に向かっているときでも、もう一人は必ずモニターを見ていた。

警備員が二人一緒にモニターを見ている時間帯もある。
時間によってはもっと大勢が、この部屋にいることもある。

システム系のドウリョウさんの働きにより、その夜の警備モニターはPM9時に切り替えられた。

オズボーンは、この日のシフトに入っている警備員たちとちょうど同じメンバーが働いていた過去の日を調べた。
そして、その過去の監視カメラの録画映像をドウリョウさんに渡していた。
ドウリョウさんは、午後9時から、この過去の何事もなかった日のカメラの映像をモニターにうつしだすことにしたのだった。

オズボーンは、普段は主に建物の外の敷地内をグルグルと監視する仕事をしていた。
この日も、警備室のモニター画面が、ドウリョウさんの仕掛けた画像に変わる瞬間を見届けたあと、警備室を出た。

オズボーンは、急いで研究棟に向かった。
そこには桜田さんが待っていた。

桜田さんは研究棟にオズボーンを招き入れた。

研究室の前室みたいな部屋には、台車や長靴やヘルメットが並んでいた。
「へえー」
とオズボーンは言った。

そして桜田さんは研究室の中を案内してくれた。
ひとつ目の部屋は、大きな机がいくつかあり、パソコンや書類などがある部屋だった。

部屋にあるものは普通のオフィスとそんなに変わらないけど、(机の大きさがなんか違うなあ、研究室っぽいなあ)とオズボーンは感心した。

二つ目の部屋は、実験に使うのか?なんかの解析に使うのか、やはり大きな机の上や、窓のそばに電子機器がたくさんならんでいた。

その隣の部屋には、ビーカーやフラスコのようなものが並んでいて、水道がいくつもあった。

「わあ!
面白いなあ。
見せてもらってよかった。
リアリティのある研究室の絵が描けそうだなあ」
オズボーンはカシャカシャと写真を撮って回った。

「これであなたの希望はかなえたわね」
と桜田さんは言った。

「じゃ、次は本題」


黒い裸エプロンでガッツポーズみたいな恰好をして立っている


桜田さんは、部屋を出るとオズボーンに長靴を履かせ、ヘルメットをかぶらせた。
そして、自分も長靴とヘルメットを身につけ、台車を持ってついてくるようにオズボーンに言った。

部屋を出て廊下を歩き、オズボーンをもうひとつの研究室に連れて行った。

そこは、大きなタンクみたいな設備があり、天井が高く、かつ大きな空間のある部屋だった。
床は、水で洗った後のように濡れていた。

(へえ、まるでなんかの工場みたいだ)とオズボーンは思った。

設備が、ブワーン、ブワーンという音を立てていた。

ブワーンブワーン。
謎の大きな機器が音を立てる。

オズボーンは興奮した。
「もしかして、ここで毒ガスを生成する液体でも作っていたのですか?」

ブワーンブワーン

音がうるさくて、桜田さんにはオズボーンの声が聞こえなかったみたいだった。

桜田さんは、
「え?何?」
と言った。

そのとき部屋の壁の上方に監視カメラがあるのをオズボーンは見つけた。
「うわ!」
とオズボーンは、叫んだ。
そして桜田さんの腕を引っ張り、カメラから逃れるようによけた。

「あははは。
カメラは止めたんでしょ?」
と桜田さんは笑った。

しかし、
「違う!
このカメラは僕の管轄じゃない!
警備管轄じゃない!
ドウリョウさんにも細工してもらってない!」
とオズボーンは叫んだ。

「隠れて!!」
ブワーンブワーンの音がうるさいのでオズボーンは大声を出した。

その言葉に桜田さんもとっさに身を低くした。
「このカメラで映す映像は、うちのコントロール室でも見られる映像だけど?
やだ!!
警備室ではこのカメラ見てないの?
警備員さん管轄ではないの?!」

オズボーンは思った。
(この会社は研究所の肝の大事な部分については、警備会社にも見られたくなかったんじゃないのか?
自社の社員にしか見張らせていないんじゃ?)

「どうしましょう?」


裸エプロンでフラフラしている感じ


2、3秒考えた後、桜田さんは、壁にかかっている社内電話器に手をかけた。

桜田さんは、社内電話器のボタンを押しながらオズボーンに言った。
「コントロール室に電話するわ」

オズボーンがドキドキするなか、桜田さんはコントロール室とやらに電話をかけた。

「はい。
コントロール室です」

「もしもし桜田です」

「桜田さん?
こんな時間に電話なんて珍しいな?
どうしました?」
と、コントロール室とやらにいる人は言った。

「今、タンクルームに置かせてもらっていた、古い書類の箱を片付けるために警備員さんと一緒にいるんだけど。
手伝ってくれないかしら?
ここ広いスペースがあるからって、歴代のうちの部署の人が古い書類の段ボールをこの奥に放置してたの。
たくさんあるのよ。
それを引き上げたいのよ」

そう桜田さんは言って、監視カメラに向かってにこやかに手を振った。
桜田さんのその行動にオズボーンはびびった。

コントロール室の人は、
「え?
桜田さん、今、タンクルームにいるんですか?」
と言ったあと、
「あは、ホントだ。
桜田さん、モニターに映ってる。
警備員さんも映ってるう」
と言った。

桜田さんはカメラに向かって、手を振り続けながら、
「ね、ね。あなたにも書類の片付け手伝ってほしいのよ」
と言った。

「無理ですよう。
知ってるでしょう?
今の時間、コントロール室に僕一人なんですから。
僕の仕事は、そこの部屋だけ見守ってるだけじゃないんですよ。
ここを離れるわけにはいかない。
書類の片付けは、来週早番のときに、仕事の前に手伝ってあげますよ。
今日は無理」
と、コントロール室の人は言った。

「わかったわよう!ケチ!
もういいもん!」
と桜田さんは言って電話を切った。

オズボーンは、桜田さんの電話をオロオロしながらきいていた。

でも桜田さんはニッコリ笑って言った。
「こういう風に言っておけば、今から私たちがすることを彼に疑われないですむから!」

桜田さんは、大きな機器の横の隙間をすり抜け、台車を持ったオズボーンを部屋の奥の方に誘導して行った。

大きな設備の陰になる部分だ。
そこは、少し床が高くて地面は乾いていた。
何もないスペースには、急にメカとは全く無縁そうな、ゴミみたいな汚いダンボールの箱がいくつか積まれていた。

桜田さんはオズボーンに向かって言った。
「これよ!
私が疑っているわが社の不正の証拠の品は!」

何だかよくわからないが、段ボール箱を台車に乗せてオズボーンは桜田さんについて、この部屋を出た。

そして、二人は研究所の西側の駐車場まで歩いていき、システム系女子の赤い小さな車にダンボールを積みこんだ。

今日は、監視のカメラが止まっているから、研究所内のどこを動きまわろうが自由だ。
研究室からダンボールを運び出したことも、オズボーンが警備の仕事をさぼっていることも誰にもバレない。


裸エプロンでお尻を突き出してポーズしている


この後、桜田さんとオズボーンは、システム系の部署に行く予定だった。
そこで、社長や重役や研究所所長のメールを盗み見る予定だった。
その後は、オズボーンのセックスフレンドの秘書と落ち合って、研究所所長の部屋に入れてもらう予定だ。

システム部署にはシステム女子ちゃんとドウリョウさんが待っていた。
だが、彼らの部署の社員さんたちの残業時間はハンパなかった。
深夜まで帰らない社員がたくさんいることも、ままあった。

システム女子の赤い車の前で、オズボーンは彼女に電話した。
「まだ誰か社員さんいる?」

「ええ、まだ数人いるわ。
終電までは居残りそうな勢いよ」
「そっか」

社員さんたちが退社するまでは、オズボーンたちはシステム系の部屋には入れない。
桜田さんとオズボーンは、とりあえず先に段ボール箱を桜田さんの家に運ぶことに決めた。

「システム女子ちゃん、今、駐車場に出てこられる?」

*********

システム女子は、研究室から運び出した段ボール箱を乗せた自分の車で、研究所の西門を出た。

この門にも警備室があり警備員はいたが、彼女はいつもここを利用していたのでなんなくパスできた。

桜田さんは、自動車の後部座席の下方に隠れていた。
桜田さんは段ボール箱に押しつぶされそうになって隠れていた。

オズボーンは研究所に残り、少し敷地内をウロウロしてから、正門の警備室に戻った。
そろそろ自分が警備室に戻らないといけない時間だったからだ。


システム系女子は赤い小さな車の窓を全開にして、車を走らせた。

「飛ばして!急いで!
12時までには研究所に戻りたいわ」
そう言いながら、助手席に座りなおしていた桜田さんは、ビュービューと風に吹かれてご機嫌だった。

システム女子は桜田さんにたずねた。
「段ボールの中に入っているのは証拠品ですか?」

「そうよ。
無駄にスペースのあるところに、まるでゴミみたいに置かれてたんだけど、ある日、ちらっと中を見てから私は疑いを持ったわ」

道がすいてきた。

「もっと飛ばしてえ」

システム女子はますます車を飛ばした。
窓から入る風の勢いは、ますますすごくなった。

車を走らせながら、システム女子は少し不安になった。
「段ボールには、毒ガスを生成する設計図みたいのが入っているんですか?
それともまさか、毒ガスの素みたいな危険なものが入ってるんですか?
こんなに揺らして大丈夫でしょうか?」

ゴぉ~、ゴ~ォー!
風の音は、すごかった。
桜田さんにはシステム女子の質問はよく聞こえなかった。

良く聞こえなかったので桜田さんはただ、運転するシステム女子に向かってニッコリ笑って頷いた。

*****

その頃、正門の警備室にいたオズボーンはあせっていた。

モニター画面に自分が映っていたのだ。

研究所の敷地の東の方にある食堂の外に設置した監視カメラの映像にオズボーンがウロウロしている姿が映っているのだ。

やっべええ!!!!
(今、ここにいる俺が、食堂の周りにもいるじゃんか!!)

オズボーンは焦った。
オズボーンは、警備室に一緒にいる先輩警備員の方を見た。

オズボーンの先輩の警備員は、警備室の入口付近で、やっと残業が終わって家路につこうとしているシステム部の社員と会話をしていた。

そして、先輩は話を切り上げ、オズボーンとモニターのそばに向かって歩いて来た。



次回に続く
生き残った三軍選手たち⑩                            



黒と赤の裸エプロンで変なポーズしている





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2Comments

ダンディー?  

No title

ここまでくると次へ次へと展開が変わりそうだね。続きが楽しみだ❗


2021/04/09 (Fri) 10:34 | EDIT | REPLY |   
huugetu

huugetu  

Re: No title

このメンツで、大企業の不正が暴けるのかしら?

2021/04/09 (Fri) 10:50 | EDIT | REPLY |   

コメント