生き残った三軍選手たち③
三流漫画家・始動

前回までの話➡生き残った三軍選手たち① ②
●●●●年、国の北西部と、南東部と、南の首都のそばにあった3つの火山が爆発した。
3つの火山の噴火ガスと、人工物が混じわったことにより発生した有毒ガスは、一部の国民に被害を与えた。
この不思議なガスは、国民の中のトップクラスの①強じんな肉体を持った身体能力の高い人②美人③美声の持ち主たちを殺戮した。
トップクラスが亡くなってしまったので、スポーツ界、美人界、歌手界では、残された人たちがトップのポジションを目指して頑張っていた。
********
プロ野球のアナコンダズの山村投手は、三軍から昇格し一軍の練習に参加していた。
アナコンダズは、明後日から北に遠征し、北の方のチームたちとオープン戦を何戦か戦う。
遠征の後半には、山村も試しにどこかで一回くらい投げさせてもらえる予定だという。
遠征の前に、山村は自分の彼女のビビちゃんのマンションに行った。
この前ちょっと喧嘩してから二人はギクシャクしていた。
山村が突然来たので、ビビちゃんは嬉しかったけど、また少し意地悪を言った。
山村のために冷凍庫にいつもストックしてあるアサリやムール貝や冷凍ブロッコリや冷凍アスパラガスを出して来て、ビビちゃんはスパゲティを作った。
山村に好物のスパゲティを作って出してやりながら、ビビちゃんは意地悪を言った。
「遠征先で、北の方の女と遊ぶんじゃないわよ」
山村はムカッとした。
「何っ?」
ビビちゃんは、ダイニングテーブルの山村の前に座りながら言った。
「今、そういう場合じゃないってわかってるわよね?」
山村は、スパゲティを頬張りながら小さな声で言った。
「うるさいな」
ビビちゃんはテーブルをバンッ!!と叩いた。
ビビちゃんは、言った。
「オープン戦ではなく、きちんとペナントレースで登板して、そこでいい結果出してから、新しいオンナを作るんだよ!
今は遊んでる場合じゃないぞっ!
ちゃんと一軍の試合で、本当によい結果残してから、遊べ!」
それから、ビビちゃんは少し涙ぐみながら言った。
「立派な一軍投手になって、それにふさわしい立派な女性と付き合うことができるようになったら、私は全然、かまわないから。
それまでは遊ぶのは我慢するのよ」
******
その夜、山村は正常位で身体と身体をからませたあと、ビビを四つん這いにさせた。
「バックがしたい」
山村はビビの腰を片手で持ち、自分のモノを片手で持った。
そしてゆっくりとビビの穴の中に挿入して行った。
もうグジュグジュのそこは、山村のモノを吸いこんでいった。
山村はビビの腰を両手で持つと、腰を動かし始めた。

山村のモノが後ろからビビの穴に出たり入ったりするたびに、ビビの身体はゆさゆさ揺れた。
下に垂れさがったビビの乳房もユサユサ揺れた。
「ああっ!アンッ!」
山村は片手を伸ばし、ビビの乳房をつかんだ。
もう片手でビビの腰を抑え、腰を動かし続けた。
「ああ!ああ!」
そのうちにビビの穴が痙攣して、山村のモノを締めつけて来た。
「あう〜ん!!」
山村はひときわ激しく動いた。
ビタンビタンと、ビビの尻に自分の身体を打ち付けた。
ビタン!ビタン!
じゅぽっ!じゅぽっ!
「アッ!あ!あん!あん!」
「あああん!いっちゃうう!」
ガクンとビビが自分の上半身を崩したとき、山村は、ビビの穴から自分のモノを抜き去った。
急いでビビのまあるいお尻の上に自分のモノを置くと、山村は白い液体を放出した。

プロ野球が開幕した。
お父さんとタケシ君は、アナコンダズの開幕戦の観戦に行った。
二人は球場のショップで、応援グッズを眺めた。
いつもグッズを買わせてくれないお父さんだが、今日は好きなものを買えと言ってくれた。
タケシ君は、火山ガスで亡くなったエース、犬田選手の写真集を見つけた。
「これ少し高いんだけどいい?」
「それもいいけど、応援グッズも買えよ。
球場で新しい選手たちの応援もしてやらないと」
とお父さんは言いながら、自分用に、二軍から昇格して、オープン戦でバリバリ活躍していたバッターのレプリカユニホームを手にしていた。
「お父さんはこれ着て応援しよう。
こいつは今日、きっと打つぞ」
タケシ君は、犬田の写真集を抱えたまま、
「う〜ん?」
と売り場をキョロキョロした。
「早く決めろ。
練習も見たいし、食べ物も買わなくちゃいけないし」
お父さんにせかされて、タケシ君はそこらへんにあった適当なタオルを手にした。
それは、山村のタオルだった。
新しい選手たちの中でよく知っていたのは、小さいころに高校野球で見た山村だけだったからだ。
タケシ君とお父さんは、それから売店でホットドッグや焼き鳥や飲み物を買ってから席についた。
お父さんの今”いちオシ”のバッターは、見事な活躍をした。
一巡目は三振だったが、二巡目にチャンスが回って来たときに、ヒットを打ってランナーを返した。
レプリカユニを着こんだお父さんは大喜びで、おおはしゃぎだった。
(後でスポーツニュースを見た時に、お父さんのはしゃぐ様子は、テレビカメラに抜かれていたことがわかった)
二軍から上がって来た野手の活躍にひと通りはしゃいだあと、落ち着いてから、お父さんはタケシ君に向かって父親らしいことを言った。
「いいか?タケシ。
お前も心しとけ」
「何?」
「人生は、打席に立てないことも多い。
ずうっと頑張っていても打席に立てないことも多い」
「うん?」
「でも常に準備しとけ。
試合に出られなくても、常に素振りをしておけ」
「うん?」
「いつ、バッターボックスに立てるかわからないんだよ」
「うん?」
「突然、バッターボックスに立つチャンスが巡って来るかもしれないんだよ。
しかし、準備をしていなかったら、せっかく巡ってきたチャンスのそのときに、チャンスをいかすことができないんだよ。
そしてもしかしたらチャンスは一回しかないかもしれない。
やっとチャンスが来たときに、そのときにきちんと力を発揮できるように準備しておかないといけない」
タケシ君は言った。
「でも僕、野球部員じゃないよ?
ラグビー部員だよ?
バッターボックスになんて今後も一生立たないよ」
お父さんは言った。
「そういうことを言っているんじゃないんだよ。
お父さんは、人生においての例え話をしてるんだよ」

芸能事務所の社長は、生き残った整形美人アイドルのK子ちゃんと、知名度ゼロのアリスちゃん二人を売り出すのに一生懸命だった。
そこそこ知名度のあったK子ちゃんは、若い人たちやタケシ君のお母さん世代には、整形していたことが、ばれてしまった。
意地悪なことを言う人もいた。
『整形がばれたね。
だってホントの美人たちは死んでしまったのに、K子は生き残ってるもの』
しかし、こういう人もいた。
『整形してたってしてなくたって、そんなのどうでもよくない?
結果、今、綺麗なんだもん。
それでいいじゃん』
今まで、アイドルなどに見向きもしなかったもっとご年配のご婦人方は、K子ちゃんのファンになっていた人も少なからずいた。
タケシ君のおばあさんは、亡くなってしまったマキマキ子が司会をしていたレギュラー番組に代わって出演するようになったK子ちゃんのファンになりかけていた。
若いのに色々なことを知っているし、おしゃべりも達者なK子ちゃんだった。
アイドル歌手だったK子ちゃんは、最近下手くそな歌を控えて、話術や、演技力や知識を磨いていた。
芸能事務所の社長は決断したのだった。
社長は考えたのだった。
「K子はもしかしたら歌は四流だ。
一流の人がいなくなったところで、その空いた椅子には座れない。
一方、顔は、整形により一応トップクラスの美しさを持っている。
そして、タレント性ということにおいては、今までだって輝くものがあった。
一流の人たちがいなくなった今、おいつけるのはここだ」
K子ちゃんのテレビを見ながら、おばあさんはタケシ君に言った。
「あのね。
”役”が、”人”を作るのよね」
「ん?」
タケシ君は不思議そうにおばあさんの顔を見た。
おばあさんは言った。
「人はね、ちゃあんと役割を与えてもらったら、その役割通りの行動をとるようになるのよ。
若い人でもね」
「ふーん?」
タケシ君はわかったようなわからないような感じだった。
(お父さんが球場で言っていたことに似ているのかな?
いつバッターボックスが回って来るかわからないから、いつでも準備をしておけって?)
でも、タケシ君は、
「僕はK子さんより、このアシスタントの女の子の方が好きだな。
今までテレビで見たことなかったけど」
と言った。
それはアリスちゃんだった。
アリスちゃんは一言もしゃべらずに、番組のアシスタント的なことをしていた。
お母さんが口を挟んで来た。
「その子は、K子のバーターで出てるのよ」
「バーターって?」
とタケシ君はたずねた。
「アリスは、K子と同じ事務所だからテレビに出してもらってるのよ。
そして元々、K子だって、マキマキ子が稼いできた力で・・・・・・」
とお母さんはそう言いかけて、それ以上言うのをやめた。
K子ちゃんのファンになりかけているおばあさんに対して、何となく失礼だと思ったからだった。

アナコンダズの二軍だった打者や、K子ちゃんやアリスちゃんが頑張っていたころ、売れない漫画家のオズボーンは、アルバイト先の研究所に向かっていた。
オズボーンは、父が働いている企業の研究所で警備のバイトをしていた。
というか、させてもらっていた。
オズボーンの漫画は、何度か商業誌に掲載されたことはあったが、それだけではとても食えなかったので、バイトをする必要があった。
オズボーンは、父のコネで、父の勤める企業でバイトをさせてもらっていたのだった。
「火山は、スポーツ選手や芸能人ではなく、優秀な漫画家を殺してくれればよかったのにな。
そうしたら、俺にももう少し活躍できる余地が出てきただろうにな」
オズボーンはそんな不謹慎なことを考えながら、研究所に向かうバスに乗っていた。
バスの中でオズボーンは、スマホを開いた。
自分のエゴサをしてから、いつも通り、自分も自分の作品もあまり世間では話題になっていないことを確認してガッカリしてから、オズボーンは、毒ガスを出した火山の調査のニュース記事をパラパラ見た。
毒ガス火山の話題をしているネットの無料掲示板も見てみた。
『毒ガスの発生については、国の南東部の火山のそばの企業の研究所が怪しい。
あそこが有毒ガスを生成したに違いない』
国民のほとんどが無視している、この、荒唐無稽な”毒ガス陰謀説”が今だにネットには一部あった。
その、国の南東部の火山のそばの企業こそ、オズボーンの父の勤める企業のことだった。
南東部には、企業の本社と大きな研究所があった。
「こういう陰謀論をほざくやつってホントにバカ。
こういうのって企業にとって大迷惑だろ!
営業妨害もはなはだしい。
こういうヤツって訴えられないのかね?
それとも親父の会社は、もう、うったえたのかね?」
とオズボーンは思った。
かくいうオズボーンが、今まさにバスで向かっているのは、父の企業の中では、実に小さな小さな規模の研究所だった。
その研究所は、被害のあった北西部の火山のそばにあった。
そっちはネットでは、全然、話題にされていなかったが。
「はは。俺の勤めるこの三軍の研究所は、ネットでは全然話題になってないのね?」
とオズボーンは笑った。
そこでオズボーンは、ハッとした。
「俺はこういうくだらない荒唐無稽な話は嫌いだが。
言われてみると、共通点あるじゃんか!」
オズボーンは、父の勤める企業のホームページを慌てて開いた。
父の企業のグループは支店が全国にあり、研究所は各地に10カ所もあった。
オズボーンは研究所の位置を一つ一つ確認していった。
その中で、オズボーンは、三つの研究所に着目した。
一つは、ネット民の中で小さな陰謀論がささやかれていた南東部の火山のそばの大きな研究所。
二つ目は、ネットでさえ全然話題になってない、オズボーンがバイトをしている北西部の火山のそばの小さな研究所。
もう一つは、なんと首都の隣の県に、中規模の研究所があった。
「おお!素晴らしい!
研究所が、3つの噴火火山のそばにある!」
そうオズボーンは心の中で喜びの声をあげた。
この喜びは、別に毒ガス火山の謎の究明をするための喜びではない。
荒唐無稽な陰謀論については、相変わらず信じていないオズボーンだった。
オズボーンが思ったことはただ一つ。
「親父の企業の研究所と火山をネタに面白い漫画が描けそうだ!やった!」
次回に続く
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