エッチな孤島リゾート⑧
嵐に襲われた孤島は混乱

★前回までの話はこちら➡エッチな孤島リゾート① エッチな孤島リゾート② エッチな孤島リゾート③ エッチな孤島リゾート④ エッチな孤島リゾート⑤ エッチな孤島リゾート⑥ エッチな孤島リゾート⑦
元・セックス婚活の会の社長が、新たな商売のために買った孤島には、大きな嵐が襲いかかりつつあった。
屋敷では、今出来うる、考えうる”嵐対策”は、ほぼ終わりかけていた。
お客さんの助けをかなり借りて、屋敷の各窓ガラスには板が打ち付けられ、建物一階の周辺には土嚢が敷き詰められた。
水道や電気が止まってしまう前に、客はみんなお風呂にも入ったし、洗濯も終わりかけていた。
一階から三階までの各部屋のバスタブにも水が張られた。
日没近くに、手すきになった人から順に、食堂で食事をした。
お客さんたちが、入れ代わり立ち代わり食堂に来た。
今回は、ダイエット客たちにも貧相な食事は出されなかった。
今日午前中に、Cさんのために社長の奥さんがたくさん作ってしまった各国のがっつり料理や、生のフルーツや、刺身、焼き魚、ホタテ貝を焼いたの、あさりのソテー、牛乳などが提供された。
いつもダイエットに厳しいコーチ(社長の息子嫁)は、ダイエット客たちに向かって言った。
「腐りやすいものなど、なるべく今のうちにたくさん食べちゃってください」
もう一人の厳しいコーチ(社長の娘婿)も言った。
「今はもう太ることなど気にせず、たくさんたくさん食べて体力をつけて嵐を乗り切るんだ!」
ダイエット客たちは大喜びで、出された物を食べまくった。
テント客も、久しぶりにちゃんとしたテーブルで食べることのできる料理を喜んで食べた。
そして社長の奥さんが食堂に来て、客たちに言った。
「おにぎりを大量に厨房に置いておきますので、このあと、夜にもしもお腹が空いた場合、各自、自由に召し上がってください。
煮物の鍋も大量にありますので、自由に食べてください」
今やすっかり、ここのリゾートのスタッフだと思われていたR男夫婦が食堂で食事をしていると、一人の客が近寄って来た。
二階の一番端の部屋に泊まっているダイエット客のD子さんだった。
D子さんは、顔自体はとても美人だが、体がまるで球体に近いようなまん丸だった。
D子さんは、R男夫婦に向かって言った。
「他の皆さんのお部屋には、キャンプ客の男性が来たのに、なぜ私の部屋には誰も来ないんですか?
私だけ、どうして一人なんですか?」
(ああ。今夜、ずっと外にいると言い張っている山口さんが泊まる予定だったお部屋の人か?)
と、R男さんの奥さんは思った。
R男さんは説明した。
「えーっと。
あなた様のお部屋に同居する予定の方は、まだ、屋外にいまして・・・・・・」
そこに社長がやってきた。
社長は、D子さんに向かって一礼した。
「お客様、お話中、誠に失礼します。
今、緊急事態なもので」
と断ったあと、社長はR男夫婦の方を向いた。
「R男様。奥様。
申し訳ない。
娘が、山口様を説得に行ったのですが、娘の言うことはきいてくださらないらしい。
どうしても、今夜は屋外で嵐と戦いたいと言い張っているそうです。
あなたたちが行っていただけませんか?
本当に申し訳ない。
なにせ息子とAは、今、三階のシステムにかかりきりで手が離せません」
(三階のシステム)

社長は、続けた。
「私の妻や娘婿にも、多分山口様の説得は無理です。
本来は私が行くべきなのですが、私は今、全体を統括せねばならないので、屋敷を離れることはできません。
あなた方を見込んでお願いします。
あなた方ご夫婦なら、山口さんの説得が出来ると思います。
特に奥様は、人の心を動かせる方だ!
どうか、山口さんを屋敷に連れてきてくださいませんか?」
社長は、”セックスの婚活の会”が潰れてしまったとき、R男さんの奥さんの手紙によって立ち直った男だった。
R男さんの奥さんは目を白黒させた。
(この嵐の中、招待客のはずの私たちにそんな危険な大事な仕事をふるの?
私たちは他にも今日、結構たくさん仕事したのにィ!!)
しかし、R男さんは社長の力になりたかった。
どうしようか、引き受けようか?とR男さんが考えていると、まん丸の女性客D子さんが口を挟んできた。
「まるほど。
私の部屋に来るはずの予定だった人が、その山口さんという人なのね?」
「ああ、そうなんです」
とR男さんが言いかけた時に、社長の携帯が鳴った。
「あ、娘からです」
社長は、娘の電話に出ると、
「え?山口さんはとても強情すぎて、無理だって?
え?え?
今、何て言った?おまえ。
おまえ、そんな無茶なこと・・・・・・」
などと言っていた。
「洞窟の外で電話してるから大丈夫だって?
山口さんにはきかれていないって?
いや、そういう問題じゃないだろ?」
社長は電話を切ると、R男夫婦に言った。
「山口さんは、誰が来ても屋敷に来るつもりはないので、娘にも引き上げてくれと言っているそうです。
誰も来るなと。
それで、娘は、睡眠薬と飲み物を持って来てくれと。
それと台車も。
北側の海の波がすごいらしい。
このままだと、娘は自分も危険だし、手っ取り早く山口さんをだまして眠らせて、早急に連れて帰るのがいいと」

一応、山口さんにはあまり乱暴なことはせずに、説得する方向で・・・。
でも、念のために台車と睡眠薬と飲み物を持って、R男夫婦は屋敷を出た。
風と雨はますます強くなっていた。
激しい雨と風がR男夫婦を襲った。
加えて雷がものすごくなっていた。
昨日は穏やかな満点の星空だったのに、孤島の上空は今や真っ暗で、ピカピカ雷が光り、ゴロゴロと大きな音を立てていた。
R男夫婦はキャンパーに借りた、素晴らしい性能のレインコートを着ていたが、歩くのも大変で、怖くて怖くてしょうがなかった。
R男さんの奥さんは、雨風と雷におびやかされながら、涙目になりながら歩いていた。
「ひどいわ。
うう・・・。
なんで私たちが、こんなことを・・・」
台車を引っ張って歩くR男さんが、妻に何か励ましの言葉をかけようとしたとき、屋敷の方からピンクのレインコートを来たまん丸の物体が、バシャバシャと水たまりの中を走って来るのが見えた。
「待ってえ!私もゆくわあ!」
R男さんは驚いた。
「えええ?!
あれもしかして、ダイエット客のD子さんじゃないかあ?」
そのD子さんの後ろを遅れて、レインコートを半分着かけながら、社長が追いかけて来ていた。
「お客さまあ!危険ですう!
待ってください―ッ!!
お戻りくださああい!」
R男妻は、思わずつぶやいた。
「危険ですって?
お客様ですって?
お客であるはずの私たちには、危険なことさせてるくせに」
R男夫婦に追いつくと、D子さんは水を頭から滴らせながら、息を切らしながら言った。
「山口さんって、私の部屋に来る予定だった人でしょ?
じゃあ、私が説得する。
大丈夫よ。
自信があるの!」
D子さんがどうしても山口さんのところに行くと言うので、追いついた社長も仕方なく同行することとなった。
4人は台車を引っ張ったり押したりしながら、島の北西部の斜面にある横穴を目指した。
R男夫婦と社長は、嵐の中、無言だった。
みんな、目を明けるのもやっとのような雨の混じった向かい風を受けながら、雷の光に照らされながら、地面に貯まって来た水をかきわけながら必死で歩いた。
D子さんだけは、ハイテンションでペラペラ喋っていた。
「あのね。
私、男性を説得するの上手なのよね。
説得ってか、男性におねだりすることもね」
D子さんいわく。
「今はこんなに太ってしまったけど、数年前まで痩せているときには、私はどんな男に対してでも、なんでも言うことをきかせられたものよ。
そして、今回のこの2,3日の辛いダイエット生活で、なんだか元通りにシュッとして来たみたいだし」
社長は、頭から雨を滴らせながら、お客様に向かって曖昧に愛想笑いをした。
「きっと山口さんとやらには、私が、『あなたは、今夜は私のお部屋に泊まれるのよ』って言いさえすれば、喜んで屋敷に来てくれると思うのよね」
D子さんは、この合宿(?)で自信を取り戻した自分の”女力”を試したくなってきたみたいだった。

そのころ屋敷では、社長の息子とAさんが、三階の生活インフラ設備に生じた、何かの不具合と戦っていた。
厨房では、社長の奥さんとメイドちゃんが、頑張っていた。
二人は、三階の発電機が万が一役に立たない場合に備えていた。
二人は、大きな冷凍庫にペットボトルを次々とぶちこんでいった。
「今の気温は少し涼しいくらいだけど、明日電気も止まって、もしもものすごく暑くなってしまった場合、何かに役に立つでしょう」
「奥様。
おにぎりは常温でも10時間は持つはずですから、今夜、まだ電気が通じているうちにもう少し作りましょう」
「そうね、さっき作った時刻ともう少し時間をずらしてね、作っておきましょう。
缶詰なんかの本当の非常食は、なるべく後までとっておきたいものね。
あと、昨日Aさんが買って来たフランスパンは、常温でももう2、3日は持ちそうだから、出し惜しみしましょう」
ダイエットのコーチ陣(社長の息子嫁と娘婿)は、屋敷を歩き回ってた。
客の部屋に何か問題があった場合、社長の娘婿は首から下げている笛をピピ~ッと吹いた。
「あなたがたの部屋の窓は補強が不十分だ。
はい!やりなおし!!」
息子嫁も客室のベッドのそばを点検しながら、短く笛を吹いた。
「ピッ!!
さっき渡したコンドームはどうしました?
停電したら見つけられなくなっちゃうから、ちゃんとベッド脇に置いておけと言ったでしょ?
失くしたのか?
もう使ったのか?
よし、追加を置いてゆく」

場面を屋外に戻そう。
台車を持って、山口さんと社長娘のいる北西の横穴に向かった4人。
標高の高い屋敷から島の北に向かう傾斜は、やや急だった。
ちょっと手を離したら、台車が勝手に斜面を下りそうになった。
「おっと」
台車を追いかけようとした社長はぬかるみに足を取られた。
社長を助けようとして一歩踏み出したR男さんもバランスを崩した。
「ああああっ」
台車と社長とR男さんは斜面を転がり落ちた。
「きゃあああ!」
女性二人は叫んだ。
ドロドロの斜面を泥水とともに滑り落ちた男二人は、地面にうずくまった。
「R男さあああん!!!」
R男さんの奥さんは夫の元に急ごうとして、やはり斜面で滑った。
そのとき、ピカッと稲光がした。
奥さんは、泣きながらズザザザーッと斜面をずり落ちて行った。
「やだあ~!もう〜!」
「う、う」
社長は腰を抑えて、呻いていた。
「痛たたたた」
とR男さんは言っていた。
R男妻は、どろどろになりながら泣いていた。
「みなさん、大丈夫ですかあッ?!」
そう言いながらD子さんは、慎重に斜面を降りていった。

一方、山口さんと社長娘のいた島の北西の横穴では、灯りがともされていた。
山口さんが持って来たランタンがつけられたのだ。
山口さんが横穴の中に作ったかまどでは、小さな鍋でお湯が沸かされていた。
横穴の外では、荒れ狂う雨風と雷の大きな音がしていたが、横穴の中は落ち着いていた。
横穴の入口はほんの少し高くなっていて、更にそこに山口さんが土嚢を置き、うまいこと雨水が入ってこなかった。
山口さんは社長の娘に言った。
「あなた、ホントにもう帰ってください。
僕のことは放っておいてください。
僕は、今夜一人でここで過ごすんだから」
「いいえ、もうすぐ私には、応援が来ますので。
山口様と一緒でないと私は帰りません」
山口さんは、自分の荷物の置いてある穴の奥の方に歩いて行った。
どうも、結構、この横穴の奥行きはあるようだった。
山口さんはカップ麺をたくさん持って戻ってきた。
山口さんは社長の娘の前にカップ麺を突き出した。
「どれがいいですか?」

山口さんは、油揚げの入ったうどん、社長の娘はシーフードのヌードルにした。
山口さんは、他に缶詰の卵と缶詰のあんみつを出して来た。
かまどの小鍋で沸騰させたお湯でカップ麺を作った。
「美味しい!」
と社長の娘は言った。
「これ、久しぶりに食べましたが、メチャクチャ美味しいです!」
「そうでしょ?
特にこういう状況で食べるとお腹に染みわたるんですよ」
と、山口さんは言った。
外では、ゴーゴーと嵐の音がする。
でもランタンの灯った小さ横穴の中は、とてもひっそりして、居心地がよくて落ち着いていた。
雨の音をバックミュージックに二人は、燻製卵を食べ、カップ麺をすすり、デザートに缶詰のあんみつを食べた。
社長の娘は、なんだか楽しくなっていた。
「そっか。なるほど。
知らなかった。
こういうシチュエーションも、なかなか味わいがあっていいもんですね」
次回に続く
エッチな孤島リゾート⑨
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