理想の誘拐・監禁事件③〜エロフィクションサスペンス~
おかしな誘拐犯たち

理想の誘拐・監禁事件③
前回までの話→
理想の誘拐・監禁事件①
理想の誘拐・監禁事件②
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キノコを持って、太助と一緒にログハウスの隠れ家に戻ると、おばさんが洗濯機を回していた。
そこに、今日の朝食の席にもいなかった中年のおじさん・・・あ、アトムさんだっけ?・・・が、バケツを持って帰ってきていた。
そのバケツには水と、細い魚が少しだけ泳いでいた。
「ほら見てください」
そう言って、アトムは、おばさんにバケツを見せた。
「すごいですね」
とおばさんは言った。
アトムは、この山奥のどこかの川かなんかで、魚を取ってきたようだった。
朝からずっと魚捕りに行っていたのか。
他、背中にしょっていたリュックサックからアトムは、”すもも”みたいなやつを4つ出して、おばさんに渡していた。
どうも、ここの暮らし、電気と水道とガスはちゃんと通っている感じだ。
食糧の調達だけ、ケチっている?感じだ。
食糧は、長持ちする保存品みたいな物はたくさんあるようだが、フレッシュなものは、自給自足しているようだ。
まあ、毎日どこかに買い物に行ったりしたら、そこの防犯カメラに映ったり、目撃情報から足がつくこともあるかもしれないからなあ。
昨日の夕食は、私を誘拐するという目的のために、久しぶりに全員で都会に行ったので、ついでに美味しい食材も買ったのかもしれない。
しかし、すももをおばさんに渡しているアトムの姿を見て私は思った。
(どこかで見たことがある顔だ?)
どこだろう?
昼食はアトムの釣った細い魚と、私と太助の取ってきたキノコだけの入ったスパゲティを食べた。
しかしデザートは豪華だった。
”すもも”みたいな果物&シャレオツなスイーツだった。
なるほど。このスイーツは、A子ちゃんが都会から今朝持って来たものね?と私は推理した。
昼食の席で、おばさんは細い魚を食べながら、小さな声で嬉しそうに言った。
「美味しい。
私、川魚って大好きなんですよ」
最初会ったときに弱々しいと思ったおばさんは、口調は相変わらず弱々しいが、なんだかここではリラックスして楽しそうだった。
アトムは下を向いたまま、スパゲティを食べながら言った。
「このパスタも美味しいですよ」
太助はスパゲティをフォークでたぐる手を止め、会話するおばさんとおじさんを見ていた。
そして黙って一度ニッコリ笑ったあと、またスパゲティを手繰りだした。
その仕草は、なんだか可愛らしかった。
さっきまでは、山では憎々しかった太助。
私は、弟を思い出してしまった。
10年前に父と母と一緒に事故で死んだ弟。
アトムは太助にたずねた。
「森にはキノコ、まだまだ生えてるかい?」
「まだあります。
他に実はベリーみたいなやつもあっちの方で見つけまして。
今度採りに行こうと思います」
と太助は答えた。
その言葉におばさんは、顔色を変えて言った。
「あっちの方ってどっちですよ?!
まさか熊の出る方じゃないですよね?!」
「大丈夫ですよ。大丈夫。
そんなに遠くじゃないです」
と太助は言った。
アトムおじさんは、おばさんに言った。
「そのベリーを採るときは、私も一緒に行きますから。
安心してください」
そしてアトムは太助に言った。
「太助君、一人で行ってはだめだぞ。
ベリーを採りに行くときは私に声をかけてくださいね」
はあ?
なんだ?これ?

なんだ?これ?
疑似ファミリー?
犯罪者連中のくせに!!
しかも、お互い、敬語を使い合って、弱冠よそよそしいくせに!
なんで、父ちゃんと母ちゃんと息子みたいな感じになってるのよ!!
こいつら!マジ気持ち悪い!!
この人たちは、私を誘拐して、どっかの組織から身代金を取り、どっかの組織にその金を流す。
自分たちは、一銭も受け取らない。
でも、さっき太助が言ったことが本当なら、鏡月は死ぬんだろう。
鏡月からのお金が、報酬としてこの人たちに渡されることになっているんだろうか?
テーブルを囲んで、対面に座っているアトムの顔をよくよく見ているうちに、私はさっきからの疑問に確信を持った。
(本当にこのおじさん。どこかで会ったことがある)
私は思い切って口にしてみた。
「アトムさん。
私、どこかでお目にかかったことありませんか?」
一瞬、座が固まった。
アトムは厳しい顔で無言になった。
太助はハッとした顔で、再びフォークの手を止めた。
おばさんは、心配そうにアトムと私の顔に交互に目を泳がせた。
その様子を見て、私は畳みかけた。
「ねえ!そうですよねえ。
絶対に会ったことありますよねえ!」
アトムがいつまでも何も答えないので、太助が言った。
「会ったことはないと思いますよ。
どこかで見たことがあるんでしょうよ。
僕も最初にアトムさんに会ったとき、知り合いかと思いましたもん」
え?
おばさんも言った。
「う・・・ん。
そう。
アトムさん・・・その・・・ほんの少しだけ有名な人だから」
アトムがやっと口を開いた。
「地方ですが、議員をやっていたことがあるので、少し顔が売れているかもしれません」
あ!
わかった!
私はやっと思い出した。
アトムは、少し前に、なんかせこい贈収賄が問題になって辞めた地方議員だった。
それほど大きなニュースにならなかったから、あまり印象になかったけど。
しかも、議員時代とちがって、今のアトムは
(やだ〜。議員を辞めて何をしているのかと思えば、犯罪集団に入っていたんだ)
と私は思った。
私は、デザートを食べ終わったので、3人に言った。
「午後は少し眠りたいわ。
私は具合が悪いんです。
二階の部屋でゆっくり一人で寝かせてください。
そうでないと、ここでの生活が耐えられそうもありません」

私は、早く二階の本棚の書物で調べて、この隠れ家が、日本のどこの地域なのかを知りたかった。
推理したかった。
残念ながら、自分のスマホも取り上げられたし、この家にはパソコンもないので書物で調べるしかなかった。
この家では、誘拐犯たちもスマホを持っていないようだった。
古そうなガラケーを全員共有で一本だけ持っているだけのようだった。
それで鏡月やA子ちゃんと連絡を取るようだった。
さて、さっき、森では太助にきいた『クマ情報』によって混乱していたが、さすがに北海道はないだろう?
眠らせた私を自動車に乗せて、半日で東京から北海道にはさすがに連れてこれないだろう?
東京から一番近くて、熊の出る場所。
それを探そう。
うろ覚えだが、確か新潟県や群馬県でさえも、熊の目撃情報のニュースは、なくはなかったと思う。
あとアトム議員の選挙区はどこだったかしら?
東北か北陸か、日本の東側で、東京よりそれほど遠くはない、どっかそこらへんだったような気もしないでもないのよね。
でも思い出せない。
よし、それは明日にでも、何気なくそれとなく話の流れっぽく本人にきいてみよう。
あとさっき、アトムの取ってきた”細い魚”と”すもも”みたいなやつもヒントになるわ。
そして私が取ったキノコ。
太助の言ったベリーっぽいみたいなもの。
これらが、今の季節に生息している場所。
それが、日本のどこの場所か探そう。
そしてもう一つのヒント。
A子ちゃんが、昨日の夜に恐らく鏡月から電話を受けて、それから東京からこっちに向かって今朝8時に来れる場所。
私を誘拐したときは、鏡月とアトムと太助が、交代で半日続けて運転できたとしても、A子ちゃんが夜中ぶっとおしで一人で車の運転を出来るとは思えない。
恐らく、A子ちゃんは公共交通機関も使っていたはずだ。
それを合わせて考えると、やはり、ここは、新潟や長野や群馬あたりなのではないか?と私は推測する。

午後は、うっとおしい”疑似家族・犯罪者たち”に邪魔されずに、私は二階の部屋にいることができた。
昼食後、太助とアトムが、リュクサックとナタみたいのを持って出かけるのを二階の窓から見た。
マキでも取って来るんだろうか?
おばさんは、もう、二人の手伝いをするように私には言わなかった。
三人は、もしかして、リーダーの鏡月に言われているのではないか?
私をなるべく大事に扱うように。
私は、二階の本棚にあった、植物図鑑や動物図鑑、鉄道の時刻表や、地図帳をベッドの上に並べた。
私はこれらの書物と必死で格闘した。
この隠れ家の場所を特定するために、調べまくった。
なんだか、これは楽しい作業だった。
私は没頭してしまった。
会社でも調べものをよくするが、それの”めんどくささ”とは異なり、楽しい作業だった。
しかし、作業しながらふと私は、鏡月の言ったことを思いだした。
「鏡月は犯行声明を警察に出すと言っていた。
それはおかしくないか?
どこかの組織を脅して金を手に入れるのであれば、反抗声明を出すのはその組織に向かってではないか?
普通、警察には秘密にしないのかなあ?
それとも、今の時代、誘拐は警察にすぐバレてしまうということが前提なのかなあ」
午後三時には、遠慮がちに私のベッドルームがノックされた。
おばさんが私の様子を見に来たようだ。
私はドアを開けると、おばさんに向かって怒鳴った。
「うるさいなあ!!
一人で静かに寝かせてくださいと言ったでしょう?!」
おばさんは困ったように部屋のドアの前でおろおろ立ち尽くした。
おばさんの両手には、お盆があった。
そのお盆には、紅茶とプリンが乗っていた。
プリンは手作りみたいで、少し崩れ気味だったが、美味しそうだった。
紅茶には、レモンの輪切りの乗った小皿と、ミルクの入った小さな器がついていた。
私は
「あ、ありがとう」
と言うしかなかった。

その後、私の二階の部屋には、夕方になっても誰も来なかった。
私は、日本の植物や野性動物の生息地域とか時刻表のことを調べて疲れたが、結構満足だった。
だんだん、この隠れ家の場所がしぼれてきた。
私は、この仕事にやりがいを感じた。
疲れたので、一休みして部屋についているお風呂に入った。
その後、
「そろそろ、一階に顔をだしてやろうかな?」
と思って、私は部屋のドアを開けた。
ドアが何かに当たって、コツンと音を立てた。
部屋の前の廊下には、お盆が置いてあった。
そこには、冷めたカレーライスと、何のベリーかわからないけど、たくさんのなんだかチンケな、インスタ映えしないような小粒かつ、色の汚いベリーの盛られたお皿があった。
おお。男性二人はもうベリーを手に入れたのか。
こういうの確か植物図鑑に載ってなかったかな?
あとで調べよう。
カレーの具は、今日の午前中に私と太助が採ったキノコだけだったが、美味しかった。
チンケなベリーの皿は、自分のベッドの下に隠した。後で図鑑で調べるために。
私は、カラのカレーのお皿とお盆を部屋のドアの前の廊下に出し、おばさんが来るのを待った。
私の二階の部屋は、おばさんと共有の部屋だ。
おばさんは寝るときにはこの部屋に来るだろう。
しかし、私がベッドでウトウトしたあと目を覚ましたとき、窓の外が真っ暗になっていたのに、おばさんはこのベッドルームに来ていなかった。
廊下を見ると、私が廊下に出したお盆も下げられていなかった。
お盆を持って、私は一階に降りてみた。
シーンとしていた。
リビングダイニングルームには、アトムも太助もいなかった。
自分の食べたカレーのお皿やお盆をキッチンで洗ったあと(こんなときにも優等生な私!?)、私はもう一度、リビングダイニングルームに行った。
ダイニングテーブルの上に、『夜の散歩に行ってきます 太助』とのメモが置いてあるのを見つけた。
私は、ダイニングリビングルームの壁に設置されていた懐中電灯を手にとると、家の外に出た。
野犬の”遠吠え”が聞こえた。
隠れ家のすぐそばだけ、建物の外壁についたライトにより照らされていたが、数メートル歩いたら真っ暗だった。
私は懐中電灯を手に、森に入ってみた。
森の向こうの方に、小さな小さな灯りが見える。
そこに近づいてゆくと、昼間は気づかなかったが、森の中に小さな小屋があるみたいだ。
というか、森のこっち側は来たことがなかったので、私が気づかないのも当たり前だが。
食糧庫か何かだろうか?
私は恐る恐る森の中を小屋の方に向かった。
*****
小屋の外壁にも小さなライトがついていて、それが光っていた。
小屋の扉は固くしまっていたが、中から微かな声が聞こえた。
私はドキッとした。
誰かいる?
小屋の裏手にゆっくりと回った。
地面を懐中電灯で照らしながら、ゆっくりゆっくり、音を立てないように裏に回った。
地面に落ちている小枝を踏まないように気をつけて歩いた。
小屋の裏には小窓があって、小屋の中に薄い灯りがついているのがわかった。
そして、くぐもった唸ったような声が聞こえた。
私は手に持っていた懐中電灯を消して、小屋の中をそうっと覗いた。
そこには、小さな灯りの中でうごめく肌色の物体が二つあった。
それは二人の人間だった。
最初は腕と脚がどうなっちゃってるのか、よくわからなかった。
うつ伏せになった女の上に男が覆いかぶさり、二人は脚をからめあっていた。
女の両腕が男の背中に回されていた。
男の両腕は、女の頭を抱えるように、身体をなるべく密着させるためのように抑えつけていた。
その状態のまま、男の背中が揺れる。
男の尻が上に行ったり下に行ったりする。
その動きに合わせて、
「うん・・・うん・・・」
という、女のくぐもった声が聞こえる。
二人の男女は身体をぴったりくっつけたまま、上下に動いていた。
時々、小屋の床の木が、ミシッという音を立てた。
男の動きがだんだん早くなってきた。
「あ・・・あっ・・・あっ・・・」
女の声も変わって来た。
やがて、すごい速さで男の尻が動きだした。
激しく自分の腰を女の身体にぶつける男。
「あああん!ああっ!ああっ!」
女に密着したまま、男の腰が浮いたり沈んだり、動く、動く。
「ああ!ああ!
イクッ!いっちゃうう!!」

女が大きな声を出し始めたので、私は、小屋から素早く離れた。
急いでこの場を離れよう。
懐中電灯を再びつけると、私は山道を走りだした。
しかし、少し走ったあと・・・・・・、あっ!!
足元の木の根っこみたいのにつまずいて、私は転んだ。
思い切り、前のめりに倒れてしまった。
そして、そのはずみで、懐中電灯を放り出してしまった。
懐中電灯はどこかに転がって行った。
辺りは真っ暗になった。
遠くに隠れ家の灯りが、うっすら見えるだけだ。
野犬が狼のように”遠吠え”する声が、急に近くで聞こえるような気がしてきた。
まずい、これは危険だ。
早く、隠れ家に戻ろう。
立ち上がろうとした私は、地面の土の湿っている部分を踏んでズルッと滑った。
「きゃあ!」
今度は激しく、尻もちをついた。
どうしよう。
自信がなくなった。
この真っ暗な山道、隠れ家に無事に帰れるかしら?
そのときだった。
自動車の音がした。
バキバキ、ぺキペキと木々の枝や、地面に落ちている小枝を踏みしめながら、車が下から上がって来た。
車のライトが私を照らした。
ジープだ。
鏡月が帰って来た。
ジープを降りると、鏡月は転んでいる私に走り寄った。
そして、私の二の腕を掴むと、グイッと力強く、鏡月は私のことを起こした。
「大丈夫?!」
「だ、大丈夫!」
とっさに思わず大きな声で答えてしまう私だった。
私は鏡月に抱きかかえられるように立ち上がった。
真っ暗な森の中で、ジープのライトに照らされる鏡月の顔は何ともセクシーだった。
私はドキドキした。
鏡月は私をジープの助手席に乗せると、車を走らせ、隠れ家に戻った。
隠れ家には誰もいなかった。
そりゃそうだ。
おばさんとアトムは小屋でまぐわっている最中だ。
太助は散歩に行っている。
鏡月は、私を一階の風呂場に連れて行った。
「血が出ている。
足を洗ってから、傷口の治療しよう」
そう言うと、鏡月はシャワーの蛇口をひねった。
私は着心地の良いワンピースを着ていた。
お風呂あがりに、それに着替えていた。
「スカートの裾をめくって」
鏡月がそう言うので、私はワンピースの裾を持ち上げて、自分の脚をさらけだした。
鏡月は、泥だらけの私の脚にシャワーをかけた。
「もう少し、裾を持ち上げて」
「後ろ向いて」
などと、私に指示しながら、鏡月は私の脚の前や後ろにシャワーをジャージャーかけていった。
私は一体、何をしているんだろう?
こんな森の中の一軒屋で、脚をさらけ出して、最近知り合ったばかりの男にシャワーをかけられている。
私はなんだか、エロい気持ちになってきてしまった。

次回へ続く

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理想の誘拐・監禁事件⑤
理想の誘拐・監禁事件⑥
理想の誘拐・監禁事件⑦
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