最終回・マリーアントワネットなサバイバル⑨~エロエロ詐欺師のサバイバル・ミステリ~
これからも生き残ってゆく

昨年8月よりエロイ話が書けなくなった、現在エロリハビリ中で、実質エロエロ詐欺師のhuugetuです。
本日も、エロくない話です。
(2020年5月12日〜20日に記)
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マリーアントワネットなサバイバル
最終回・第九話
<前回までのあらすじ>
観光地のストロベリー島に、日本から家族と一緒にバカンスに来たマリーとアン。
しかしある朝遅くにホテルで二人が目覚めると、家族も含め、全ての人間が島から消えてしまっていた。
電気などのインフラが止まった島で、過酷ながらも贅沢?なマリーとアンの二人きりのサバイバル生活が始まった。
三日目には、地元民トワとネットとも出会い、四人で助け合って生き残ることにした。
しかし、七日目に救出がきたときにわかった。
ストロベリー島には、敵国から放射能ミサイルに爆撃されるという情報があったそうだ。
四人以外のストロベリー島の住人や観光客は、急ぎ、隣のニンジャ島に移されたようだった。
しかし、結局、ストロベリー島には爆撃はなかった。
ニンジャ島の方が爆撃された。
ニンジャ島に逃げた人の多くは死んでしまったそうだった。
マリーの夫も、アンの姉も。
********
ともあれ、マリー、アン、トワ、ネットの四人は、民間のジェット機により、ストロベリー島の属する国、ドイぺチーノ本土に到着した。
本土の大きな飛行場に着いたときに四人は驚いた。
ものすごい報道陣の数だったのだ。
そこから、ドイぺチーノ共和国政府が用意してくれた病院に、四人は向かった。
身体に問題はないかどうか、明日から数週間、検査入院するという。
豪華な四人部屋の病室だった。
大きな心地よさそうなベッドが四つ。
四人でゆっくりご飯を食べられそうなテーブルと椅子もあった。
冷蔵庫もバスルームもある。
パソコンの乗った机も、大きなテレビもある。
大きなテレビの前には大きなソファが置いてあった。
アンは、ずうっとただただシクシク泣いていたので、病室に入ると疲れてすぐに眠ってしまった。
マリーは、再び、精神的な取り乱し方が激しくなってきたので、看護師さんに鎮静剤だか睡眠薬を打たれて、これも早めに眠ってしまった。
その夜、病室でネットは、テレビのニュースを小さな音量にして見ていた。
トワはパソコンで、インターネット情報を見ていた。
トワは、ネットに言った。
「あたしたちは、住民票がなかったから、国に助けてもらえなかった」
ネットもテレビを見ながら答えた。
「でも、結果的にそのことで私たちはニンジャ島に移されずに、生きながらえたのね」
「それにしても・・・」
ネットは言った。
「ドイぺチーノ共和国が、国民でも島民でもない海外旅行者全てをチェックするのは無理だったとしても、どうしてマリーの旦那さんやアンのお姉さんは、二人を起こさなかったのかしら?
ご家族は、なぜマリーとアンを助けようとしなかったのかしら?
旅行者は、そんな確認の暇もなく、急いで適当に強制的に退去させられたのかしら?」
トワも言った。
「最初からあたしも言ってたけどさあ。
大体、日数のズレが気になるんだよ。
あたしがマリーとアンのホテルを見に行ったときには、もうそこらへんに人は誰もいなかったんだよ。
でも、あの二人の話では、その日は二人はまだディナーを食べたり、ビーチで遊んでたってことだけど」
もしかして?
もしかして?
トワの疑問に対して、ネットはハッキリ言った。
「マリーとアンは、家族によって1日、眠らされていたんじゃないの?」
トワはハッとして、マリーとアンのベッドの方を見た。
二人はグッスリ眠っていた。
そして、ネットは残酷なことを言った。
「マリーとアンは、もしかして、何らかの理由で家族に見捨てられたんじゃないの?
他の荷物はあったのに、二人のスマートフォンだけがなくなっていたことや、旦那さんのアナログラジオがなくなっていたことも、私は不思議に思っていたのよね」
トワの顔は真っ青になっていった。
ネットは続けた。
「二人は外界から情報を得る手段を持っていたのにも関わらず、あえて、家族によって、シャットアウトされたのよ。
元々スマホをやらない私や、スマホ代金を払えないから買わないあなたとは違って」
「しーっ!!
二人が起きちゃう!
やめてよ!」
と、トワは泣きそうになりながら言った。

4人の身体は、健康的にも、放射能的にも、特に何の問題もなかった。
ただ、精神的にマリーとアンがおかしくなってしまって、入院3日目から精神科のお医者さんが、4人の病室を訪れるようになった。
入院5日目に、少しマリーとアンが落ち着いてきたきたころに、日本政府のチャーター機が、やってきた。
日本政府の役人が病院にやってきた。
ここでの入院生活を予定より早めに切り上げて、マリーとアンを日本に連れ帰るということだ。
マリーは、日本政府の役人にたずねた。
「私の子供は?
ストロベリー島の隣の隣のメロン島の病院に今、生き残っている私の子供は?」
「そちらは、日本のそれ専用の政府のチャーター機が、明日か明後日に迎えに行く予定です」
「それ専用とは?」
「放射能で被爆している可能性のある方のためのジェット機です」
身体的にも放射能的にも問題のないマリーとアンは、急いで日本に連れ帰られることになった。
突然訪れた別れの時。
マリーとアンは、トワとネットと手をとりあった。
「短いお付き合いだったけど、あなたたちと出会えたことは素晴らしいことだったわ」
と、アンは自分も混乱している中で、一生懸命、二人に言葉を伝えた。
マリーは地元民の二人にきいた。
「あなたたちはこれからどうするの?」
そうマリーが訊ねると、いつもおしゃべりのネットより先にトワが言った。
「あたしね、自分が生き残れただけでも、とっても幸せだと思わないといけないと思うんです!」
力強くトワが言った。
マリーとアンは、トワの顔を見つめた。
トワは言った。
「本土で、あたしみたいなものがやっていけるかどうかわからないけど、でもあたし死ぬ気で何でもやります。
何としてでも、頑張って生きて行きます」
トワは決意の目を厳しく光らせていた。
不良男子顔のトワの顔は、闘いに挑む若武者のような目つき、顔つきだった。
マリーとアンは、圧倒された。

何も言わないネットに向かって、
「ネットさんは?」
とアンがきくと、ネットはノロノロと答えた。
「さあね。
そうね。
本土のどこかに住むのでしょうよ。
でも、新しいサイドカー付きバイクを買わないとね」
そこで、トワが口を挟んだ。
「あははは。
本土であんなサイドカーに乗った黒いつなぎのおばあさんがいたら、きっと名物になっちゃうよ」
ネットは怒った。
「私のことを、おばあさんって言うなって言ったでしょうがッ?!」
マリーとアンがよく見て来た、トワとネットのやり取りだった。
しかし次に、ネットは今まで見せなかった表情を見せた。
急に悲しそうにネットは首をうなだれた。
「そもそも、もう無理よ。
こんな老いぼれ。
サイドカーみたいな高価なものはもう死ぬまで買えないわよ。
私、お金は全て現金で持ってたの。
銀行に預けてなかったの。
ストロベリー島に全て残して来てしまったんだから・・・。
ニンジャ島からの放射能で、いつ汚染されてしまうかわからないあの島にはもう戻れないんでしょう?
私は、全財産を失ったのよ。
サイドカーどころか、この病院を出たら、明日からの生活だってどうなるか」
うなだれるネットを見て、マリーとアンは自分たちのことをしばし忘れて、ネットに同情した。
しかし、トワが元気に言った。
ガタイのいい不良顔の女の子のトワが力強く言った。
「じゃあさ、これから一緒に住もうよ!
大体、あたし戸籍ないんだもん。
ネットの住所に一緒に暮らさせてほしい。
住民票があったら、あたしもっとちゃんとしたとこで働ける。
身体には自信あるんだ。朝から晩まで働くよ。
あたしが、これからサイドカー買うお金くらいバリバリ稼ぐよ。
これウィンウィンの関係っていうんじゃないの?」
ネットは驚いた顔をしてトワの顔を見た。
ネットは目をウルウルさせたあと、プイっと向こうを向いて言った。
「冗談じゃないわよ。
私は、あなたみたいな子供なんかには頼りませんよ!」

ドイぺチーノ本土の病院に迎えに来た日本の政府の役人と一緒に、マリーとアンは外に出た。
明るい陽射しだった。
この国の自慢のフルーツの木が病院の敷地の中にも茂っていた。
マリーとアンはそれを眺めた。
「ねえストロベリー島の木になってたフルーツの方がなんか美味しそうだったよね」
とマリーは言った。
そのとき、病院の出入り口から、トワとネットが走り出てきた。
看護師さんに止められながら出てきた。
トワとネットは、自分たちの動きを静止した。
それ以上二人は、マリーとアンには近づいて来なかった。
トワとネットは、ただただ、マリーとアンに向かって、黙って手を振った。
マリーとアンは、日本政府の人に車に早く乗るようにうながされながらも、トワとネットに無言で思い切り手を振った。
この国のギラギラした太陽の陽射しが4人を照らしていた。
********
日本に戻って、半年。
マリーとアンには、大体の色々なことがわかってきた。
このストロベリー島への旅行の前から、家族同士で交流のあったマリーとアンの二家族。
いつの間にか、マリーの夫とアンの姉は”出来ていた”ようだった。
不倫関係にあったようだ。
ストロベリー島に、放射能を積んだミサイルが打たれるという情報が流れた時。
国は・・・ドイぺチーノ共和国は、ストロベリー島にいる国民はなるべく誰ひとり取り残しがないように、急いで計画して一番近い隣のニンジャ島に避難させたようだった。
ストロベリー島民については住民票住所を全てチェックして避難させた。
共和国の本土からカーフェリーなどで訪れていた客については、フェリーの顧客名簿を入念にチェックして、もれなく避難させた。
しかしあまり時間がなく、海外の観光客に対しては、きちんと全員を管理することまで手が回らなかったようだ。
海外観光客のストロベリー島からの脱出計画は、その家族の”言い値”、”自己申告制”のままで、ザルのように行われたようだった。
”絶賛不倫中”だったマリーの夫とアンの姉は、これを好機ととらえた。
マリーの夫とアンの姉にとっては、自分たちの恋にとって邪魔なマリーを葬るチャンスだった。
そして、そのためには、マリーと仲のよいアンにも死んでもらう必要があった。
マリーの夫とアンの姉二人は、マリーとアンを、何らかの方法で、丸1日眠らせることに成功した。
二人を睡眠薬か何かは不明だが、長時間寝かせて置いて、そのスキに逃げ出した。
ストロベリー島を脱出させてもらうときに、この国の役人に向かってマリーの夫は、自分の子と、アンの姉を連れ、
「これで私達の家族は全てです。
この3人だけです」
と言ったのだった。

しかし、敵国が、ストロベリー島を狙っていたというのは誤情報だった。
みんながストロベリー島から脱出し、避難したニンジャ島こそ、実はミサイル攻撃の対象だった。
マリーの夫と子供、アンの姉の3人はニンジャ島で爆撃にあった。
他のストロベリー島から逃げた多くの人達と一緒に。
マリーの夫と、アンの姉は即死だった。
すぐに救出された夫の子供だけが、その隣のメロン島の病院に搬送されて生き残った。
子供はしばらくそこに入院していたが、体調の回復後、日本政府からのチャーター機にて、日本に戻って来た。
これが現実だった。
***********
ストロベリー島から帰国して1年後。
マリーは、夫が残した連れ子と手をつないで、日本の大きな気持ちのよい公園をブラブラ歩いていた。
そこにアンが走ってきた。
「久しぶり~!!」
マリーはアンに言った。
「あなた、ストロベリー島での体験談で随分、稼いでるわねえ。
体験談の本やら何やら。
あなたを情報番組で見ない日はないわよ。
よくやるわよね~。
私にはそんなこと逆立ちしてもできないわ」
マリーの連れ子は、アンに向かってはしゃいだ。
「あは!
テレビのおばちゃん、こんにちは」
アンは子供に向かって、おどけながら叱った。
「こらあ!
私のことを”おばちゃん”って言っちゃダメだっていったでしょ?」
きゃははは!と子供は笑い、
「そうだったね。
おばちゃんじゃなくって、アンちゃん!
アンちゃんだよね~。
おばちゃんって言ったら怒られちゃう~」
と言った。
マリーは言った。
「アンちゃんにそんな度胸があるとは思わなかったわ~。
あの体験談を語っちゃうって、大したもんだわ。
私は、それどころじゃないよ。
色々詮索されていることが怖くって、スマホやパソコンさえ見ない毎日よ。
あなた、ホントにサバイバル精神旺盛っつうか、ガッツがあるわね」
そのとき、公園の向こうの方に可愛い犬を連れた人を見つけて、マリーの連れ子は、
「ママ!
ちょっとワンちゃん見て来るよ!」
と、嬉しそうにマリーに言うと、走って行った。
子供が自分たちのそばから離れたのを確認してから、アンはマリーに言い返した。
「マリー。
あなたこそ、仕事に復帰しつつも、自分を裏切った男の連れ子を一人でよく育てているわよね。
しかも、あの子は、あんなに健全に元気に育っているじゃないのよ。
それこそ、私だったら逆立ちしてもできないことよ。
尊敬する」
この頃は、夫と姉に裏切られたという傷から、マリーとアンの二人は随分、立ち直っていた。
実のお父さんが突然亡くなってしまったことや、自分が爆撃を受けた恐怖体験からも、マリーの連れ子も随分立ち直っていた。
その後、お花を摘んだり、鬼ごっこしたり、3人でブラブラ30分ほど公園で遊んだあと、自分のスマホを開いて、アンは叫んだ。
「ああ!
トワからメールが来てるよ!!
あなたと私宛てよ!!」
「ホント?」
マリーは、アンの差し出してきたスマホをのぞき込んだ。

トワからのメール。
『遠い日本にいるマリーとアンへ。
元気にしてますか?
あたしもネットも元気です。
政府が小さなアパートを用意してくれたのでそこに住んでます。
あたしは、あれから、地道に仕事して、お金を少しだけためました。
お金が貯まったので、ネットに流石にサイドカーは無理だけど、50CCのホンダのバイクを買ってあげようとしました。
そしたらネットが、50CCみたいなチンケなバイクはいらないっていうの。
あ、話が、前後してごめんね。
言い忘れた。
ネットが、戸籍も住民票もなかった私を養女にしてくれたんです。
そのことで、あたし、夜間だけど学校に行けるようになったんです。
で、学校に行きながら、今は昼間は働いてるの。
学費はどうしたかって?
信じられないと思うけどきいてください。
マリーさんやアンさんとみんなでショッピング街に行った日あったでしょ?
あのときに、ネットったら、ケーキ屋に行くといいつつ、実はちゃっかりアクセサリー店にも行ってたんですって。
そこからダイヤモンドや、エメラルドや、サファイヤや、ルビーやなんかの指輪を20個くらい盗んでたんですって!!
それを皮のライダースーツのポケットに隠し持ってたんです。
それを本土で換金して、あたしの学費にしてくれたの。
すごいよね~ッ!!そのあざとさ!
あははは。
ネットは私に、毎日、あいかわらず美味しいご飯を作ってくれるよ。
あと、色んな学問や、編み物についてのレクチャ―もしてくれるよ。
引きこもりもやめて、積極的にあたしの学校の先生やあたしの職場の人とも仲よくやってくれてるし。
あたし、ちゃんと学校さえ卒業できたら、もっと職場で給料をあげてもらえそうなんだ。
で、本題ね。
ネットは私のホンダのバイクのプレゼントを断ったの。
バイクはもういらない。
そのお金を日本旅行に使おうって言うんです。
何言ってんのかと思ったよ。
ホンダの50バイクよりも、日本旅行の方が金かかるじゃんかよ。
相変らず、ぜいたくだよ。
でもとにかくネットが、マリーとアンに会いに日本に行こうって言うんです。
ネットが勝手に、私の夏休みがある”さ来月”あたり、日本に旅行に行こうと計画しているんだけど。
会いに行ってもいい?
でも、飛行機代は充分あるんだけど、宿泊代金まではキツいんだよね。
だから、日本に行ったら二人のおうちのどちらかにに泊めさせてもらってもいいかな?』
マリーとアンは、大喜びで、喜びのあまり、あわてすぎて、
「いいとも~!!」
と、海外の人には恐らく通じないであろう、思い切り日本のギャグで返信した。
でも、ネットがトワに、この二人の発言についてきっとちゃんと、本音の気持ちを翻訳してくれるだろうと二人は思った。
-『マリーアントワネットなサバイバル』-終わり-
(この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません)
これまでの話↓
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★第六話
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