マリーアントワネットなサバイバル⑧~エロエロ詐欺師のサバイバル・ミステリ~
残酷な知らせ

昨年8月よりエロイ話が書けなくなった、現在エロリハビリ中で、実質エロエロ詐欺師のhuugetuです。
本日も、エロくない話です。
(2020年5月12日〜18日に記)
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マリーアントワネットなサバイバル
第八話
<前回までのあらすじ>
ドイぺチーノ共和国の離れ島であるところの人気の観光スポット、ストロベリー島。
日本から家族と一緒にバカンスに来たマリーとアンだったが、ある朝、遅くに目覚めると、自分たち以外の全ての人が、島から消えてしまっていたことに気づく。
過酷ながらも贅沢?なマリーとアンのサバイバル生活が始まった。
そして、巡り会ったストロベリー島の地元民のトワとネットとも力を合わせてこの島で生き残る。
しかし四人でソーラーシステムの家を探しに出かけた街で、アンは、チンピラの男六人に追いかけられることになってしまった。
(前回参照=マリーアントワネットなサバイバル第七話)
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チンピラたちから走って逃げながら、アンは自分のポケットに手を入れた。
そこには、都会の生活でも、この島の生活でも、アンが常に持ち歩いていた防犯ブザーがあった。
チンピラの一人に追いつかれ、片腕をつかまれかけたときとほぼ同時に、アンは防犯ブザーのストラップを引っ張った。
ビビビビビ―ッ!!!!
耳をつんざくような、大きなアラームが鳴った。
「なになになに〜っ?なんだーっ?」
アンの腕をつかんだチンピラは、驚いた。
後から追いついてきた他の五人のチンピラも、ショッピング街中に響き渡るような強烈な音にたじろいだ。
「う、うるせえ!」
「何だこりゃ!」
「やかましい!」
「止めろや!」
そこにバイクの爆音を鳴らしながら走り込んできたのは、サイドカーにトワを乗せた、ネットだった。
ネットは、今日は暑いのでヘルメットをしていなかった。
顔を全開にして走って来た。
ゴツゴツしたおじいさん顔の全身黒ずくめの皮のつなぎのライダー登場!!
(暑いのに黒の皮のつなぎは着ていたんだ?
そこは、ネットの譲れない”オシャレさん”のポリシーだった)
アンの腕を掴んでいたチンピラは、ネットの姿を見て、少しびびって身構えた。
そしてサイドカーから飛び降りてきた、ガタイのいい、ふてくされた不良少年顔のトワ。
チンピラたちは、一歩後ずさりした。
「あなたたち、何してるのよ!!」
「その人に手を出すな!」
ルックスの割には、声が可愛いネットとトワは、かわいらしい声で怒鳴った。
しかし、防犯ブザーのアラームの爆音も、相変わらず鳴り続けている。
二人の女性らしい可愛い声は、チンピラたちには聞こえなかった。
トワとネットの姿は、チンピラたちの目には、ただ、”自分たちよりもガラの悪そうな男の二人組”に見えるだけだった。
そこへ、レンジローバーで駆けつけたマリー。
道幅が狭かったし、左ハンドルに慣れていなかったのでマリーは遅れてしまった。
しかも焦りすぎて、マリーは運転を誤った。
ネットとトワの横を通り過ぎて、マリーの乗ったレンジローバーは、アンとチンピラたちの立っていた真横にあった商店のウィンドウに激突した。
ど・ガッシャーーーンンンんん!!
マリーの運転するレンジローバーは、けたたましい音と共に、激しく商店のガラス窓に突っこんでいった。
アンは悲鳴をあげた。
何が起こったのか理解できずに、完全にあせりまくるチンピラたちだった。
そしてきわめつけは、レンジローバーから、血を垂れ流しヨロヨロしながらも、何故かカッコつけて出てきた女、マリー。
マリーは顔が血だらけだが、なぜか不適に笑いながら、さっき手に入れたばかりの精巧なおもちゃのマシンガンを手にしていた。
そして、ダラダラと血を滴らせながらもマリーは狂人のように笑いながら、サッと、おもちゃのマシンガンで、チンピラたちに狙いを定めた。
「やばい!」
「狂ってる!」
「なんだ!こいつら?!」
「殺されるうっ!!」
「逃げろ!」
六人のチンピラは、一目散にその場から逃げ出したのだった。

「イヤ~。
今日はまいった、まいった。
兄の持ってた少年漫画のマネしちゃったわよ~。
あと、少し”セーラー服と機関銃”が頭をよぎっちゃったし。
また、額を少しだけ切れば、血が信じられないくらい流血するという日本のプロレスの教え」
商店のガラスにレンジローバーで突っ込んだが、幸い鼻血と、額の軽い傷だけで済んだマリーは、お風呂あがりに、アンにおでこを消毒されたり、ガーゼを貼り替えられながら、そう言った。
今夜は、明るい電灯の下で、冷房のきいた居心地のいいリビングに四人はいた。
四人は、トワの言っていたソーラーシステムの家を見つけたのだった。
それは飛行場のすぐそばだった。
それは自立型のソーラーシステムの住宅で、蓄電池もたくさんあり、島中が停電してしまった後も問題なく動いていたようだった。
どれくらいの期間大丈夫なのか?このままずっと使えるのかは、よくわからなかったが。
この家には、テレビもパソコンも携帯電話もあったが、やはりそれらがつながらなかったのは残念なことだったが。
ネットは早速、この家に残されていた食材を使って、今日、ショッピング街で見て来たケーキを再現して作ってくれた。
「今日はお疲れ様。
召し上がれ」
ネットは、マリーとアンにケーキと紅茶を差し出した。
トワは、ケーキには見向きもせずに、今日入手した毛糸玉たちをフローリングの床に並べたり、色の配置を変えたりしては楽しそうにセーターを作る計画を妄想していた。
居心地のいい家が手に入った。
でも今日も、マリーとアンがはぐれてしまった家族は見つけられなかった。
次の日、四人は、マリーとアンのホテルやホームセンターから、様々な物資をこの家に運んだ。
ペーパードライバーのアンも運転にチャレンジした。
サイドカー付きバイクのネット、レンジローバーのアンとトワ、マツダロードスターのマリーで、何度も行き来して、必要なものを運んだ。
汚水の浄水器、カセットコンロ、カセットボンベ、野菜の種、スコップ、懐中電灯、乾電池、食材、缶詰、ペットボトル・・・・・・
次の日には、四人は高台に登って、”SOSの意味での狼煙(のろし)”をあげてみた。
ショッピング街の書店をあさりまくって、狼煙の上げ方が書かれた本を見つけたのだ。
しかし、うまいこと煙は立ち上らなかった。

突然のことだった。
マリーとアンが、ストロベリー島でサバイバル生活を始めてから七日目に救助が来た。
マリーとアンが、トワとネットに出会ってから四日目のことだった。
四人が空港のそばのソーラーシステムの居心地の良い家で暮らし始めて三日目だった。
突然だった。
このストロベリー島の属する国、本土のドイぺチーノ共和国から、救出のジェット機が来た。
ジャンボジェットというほどの大きさではなかった
カルロス・ゴーンが使ったプライベートジェットみたいな大きさだと、日本人のマリーとアンは思った。
四人が手に入れた太陽光電池の家は飛行場のそばだったので、ジェット機の到着は、その音ですぐにわかった。
急いで四人が飛行場に行くと、ジェット機の中から、防災服みたいなのを着た人が、数人出て来た。
「ご無事でよかった」
防災服を着た人の話は、こうだった。
10日ほど前に、ドイぺチーノ共和国はある情報を得た。
ドイペチーノ共和国の敵国が、ストロベリー島に放射能搭載のミサイルを打とうとしているとの情報。
なので、ドイぺチーノ共和国の政府は、ストロベリー島の島民をみんな避難させることに決めた。
8日前までには、全員を近隣の島、ニンジャ島に移したつもりだった。
しかし、昨日になって、ストロベリー島に残された人間がいることがわかったという。
数百キロ離れた海上で、船上のアマチュア無線のマニアが、ストロベリー島からの意味不明なめちゃくちゃな無線の発信をキャッチしたのだという。
それで、まだこの島に人が残っているということがわかったので救助に来たのだそうだ。
四人にとっては、にわかには、一体何がなんだかよく理解できない話ではあったが、とにかく自分たちを救出する人が来てくれたことだけはわかった。

防災服を着た人は言った。
「詳しい説明は後にしましょう。
今はとにかく、すぐにジェット機に乗ってください」
慌ててマリーは言った。
「待って!待って!
待ってください!
この島のどこかに、まだ私の夫と子供が取り残されているんです!」
アンも言った。
「私の姉もです!
私たち、はぐれてしまったのです!」
防災服の人は言った。
「わかりました。
本国に連絡をとってみます。
でも、皆さん、とりあえず、一度、ジェット機の中に入ってください」

↑ジェット機の一階はこんな感じだった。
二階には、搭乗員や防災服の人たちが過ごす空間があるようだった。
搭乗員に促されて、ジェット機の一階の中央のテーブルにマリー達四人は座った。
しかし、なぜ、この非常時の救出用に、こんな贅沢なジェット機が来てくれたのか?
マリーとアンは不思議に思った。
ネットが、お茶を運んで来てくれた客室乗務員みたいな人に対して、しつこく尋ねたので、その理由はわかった。
ドイぺチーノ共和国の政府がなかなか動かないので、これは、民間企業がボランティアで、とり急ぎ出してくれた救出のため特別ジェット機だったらしい。
マリーとアンとトワとネットが、ジェット機内の居心地のよい椅子に座ると、防災服の人は、ジェット機内の電話で、本国のどこかに電話をかけた。
防災服の人は、ここの言語で電話で何かを話していた。
やがて、本国との電話を一旦中断し、防災服の人はマリーにたずねた。
「マリーさん。
今一度、ご主人とお子さんのお名前を確認させてください。
国籍はジャパンでいいんですよね?」
防災服の人は、アンにも姉の名前を確認した。
防災服の人はしばらく、ドイぺチーノ共和国の言語で電話をしていた。
その電話を切ると、防災服の人は、英語でマリーとアンに言った。
「大丈夫です。
いや、大丈夫というかなんというか。
とにかく、あなた方のご家族のお三人は、この島にはいません。
この島を脱出してます」
マリーとアンは安堵の声をあげた。
「別の場所にいるってこと?
ああよかった!」
しかし、そのあとの防災服の人の話をきいて、マリーとアンは絶望に陥れられた。
「マリーさんの旦那さんと、アンさんのお姉さまは、隣の島に・・・・・・。
隣と言っても、このストロベリー島から少し離れたところのニンジャ島にいます。
旦那様とお姉さまは、遺体でそこにおられます。
マリーさんのお子様は、このストロベリー島の隣の隣の島のメロン島の病院にいらっしゃってご無事です・・・・・・」

マリーとアンが泣き叫び、ひどく取り乱し、錯乱してしまったので、二人はジェット機の二階に連れられて行った。
そこで、機長と、同乗していた医者によって、なだめられたり治療を受けたりした。
一方、一階では、防災服を着た人が次に、地元民のトワとネットに質問した。
「あなたたちのご家族は?」
「いえ、別にいません」
「元々、全然、いません」
「あなたたちも旅行者ですか?」
「地元民です」
「私もよ」
防災服を着た人は、
「おかしいな」
と言った。
このストロベリー島の住人については、全員に声をかけて救い出したはずだと政府は言っていたそうだ。
ネットは、説明した。
「しょうがないのよ。
私は、取り残されても。
私はずっと引きこもりしてて、電話も持ってないし、インターネットもしないし、テレビも持ってないし、日頃からニュースも見ないし、モニターで大昔のDVDしか見ないし、誰かが家に訪ねてきても無視するタイプなんだから」
トワも言った。
「あたしは、そのころ3日間も山の奥の方に一人キャンプに行ってたんです」
防災服の人は言った。
「でもそういう人達がいる可能性も考えて、全て島民をチェックしたと政府は言っていました」
「どういうことです?」
「つまり、島民を脱出させるときに、住民票を元に全員に声をかけて隣のニンジャ島に逃がしたということだったのですが」
「あー。
わかったわあ。
そういうことかあ」
と、ネットは言った。
「あのね、このトワは、住民票どころか戸籍もないのよ。
そして私は、今はストロベリー島に住んでますが、住民票は本土の方に残したままなのよ」
******
そのとき、パイロット服を着た機長が、二階から降りて来て、トワとネットのそばに来た。
機長は言った。
「1時間後に出発します」
機長のその言葉に対して、トワが言った。
「あ!
チンピラ!
チンピラがまだ、6人ほど島に残っています!
あたしたち、数日前にショッピング街で見たんです。
この島に生き残ってたチンピラ!
あいつら、探してやって助けてやってください」
ネットも言った。
「そうねえ。
あいつらも住民票なさそうだったもんね。
だから取り残されたんだね、きっと」
しかし、ネットは続けた。
「でも、私はあのチンピラたちとジェット機に同乗するのはいやだわ」
トワは反論した。
「何言ってるのよ!
そいつらの誰かがアマチュア無線で発信してくれたから、あたしたちも助けに来てもらえたのかもしれないじゃないのよ」
ネットは言った。
「でも、あんな人たちは、死んでもらってもいいんじゃないの?
サバイバル生活で、取り残された者同士でお互い協力し合わなくちゃいけないときに、女性をレイ●プしようとしていたんですから」
しかし、トワは更に言い返した。
「チンピラとあたし達もかわらないじゃん!
あたしたちだって自分たちが生き残るために、ホームセンターやショッピング街で盗みを働いたんだもん。
あたしたちだってチンピラと一緒じゃん。
あいつらも助かってほしいよ」
と、トワは言った。
おばあさんのネットは、若いトワのこの発言に驚いた。
「あんたは、お人よしのバカかッ?!」
しかし、ネットは少し考えてから、トワの意見を認めた。
「・・・いや、それも悪くない。
いいだろう~」

防災服を着た人は、マリーとアンに比べて落ち着いているように見えるトワとネットに今一度、冷静な説明をした。
こういうことだった。
敵国の放射能搭載のミサイル爆撃は、事前の情報のようにはならなかった。
結局ストロベリー島には撃たれなかった。
実際は、放射能搭載のミサイルは、隣のニンジャ島に撃たれたのだった。
ストロベリー島からニンジャ島に逃げた人たちは、そこで爆撃にあったのだ。
パイロットの服を着た機長は、トワとネットに言った。
「もうすぐここも放射能で汚染されるかもしれない。
いったん今日は引き上げましょう。
きっと、明日以降にそのチンピラたちを助けるのは、他の民間ジェット機がやってくれます。
私たち以外の企業もボランティアの手を上げてます。
明日も●●社の民間ジェットがこの島にくるはずです。
もう少し大きい規模で。
そしてそこはヘリコプターも出して、島中に残っている人がいないかどうか確認するそうです」
防災服を着た人もトワとネットに向かって言った。
「今日は、とりあえず、私たちは本土に戻りましょう」
******
ストロベリー島から、ドイぺチーノ共和国の本土に戻る、民間のジェット機。
真っ暗な夜空を飛んでいた。
ようやく少しだけ落ち着いてきて、でもビショビショ泣きながら、一階に戻って来たマリーとアン。
トワとネットと一緒に、テーブルに座った。
そのとき、客室乗務員さんが夕食を運んできてくれた。
「ハンバーグが基本のメニューなんですが、どちらがいいですか?」


~次回第9話・最終回に続く〜
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第一話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル①
第二話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル②
第三話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル③
第四話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル④
第五話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑤
第六話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑥
第七話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑦
第九話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑨
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★お知らせ★もうすぐこのブログはインターネットエクスプローラーで見られなくなります。皆さん、他のブラウザ用意してください。よろしくお願いします。
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