マリーアントワネットなサバイバル③~エロエロ詐欺師のサバイバル・ミステリ~
大嵐とナイスな露天温泉を発見

昨年8月よりエロイ話が書けなくなった、現在エロリハビリ中で、実質エロエロ詐欺師のhuugetuです。
本日も、エロくない話です。
(2020年5月5日〜8日に記)
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マリーアントワネットなサバイバル
第三話
<前回までの話>
観光客に人気のストロベリー島。
家族と一緒にバカンスで訪れたマリーとアン。
ある朝遅くにホテルで目覚めると、家族も誰も、島からは一人も人間がいなくなっていた。
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雷と共に雨が降ってきた。
風もだんだん強くなってくる。
まだ夕方なのに外も暗くなってきた。
マリーは不安気にガラス窓から外を見た。
「どうしよう?
どうしたらいい?」
「とりあえず、日本での台風のときみたいな対策でもする?
窓ガラスに段ボールを貼るとか?」
とアンは答えた。
二人はそれぞれ、さっきホームセンターで手に入れた乾電池式のライトを手にすると、ホテルの厨房に向かった。
キッチンの食糧倉庫に野菜の入った段ボールがいくつもあったことを思い出したのだ。
倉庫の床にライトを置き、いくつかの段ボールから次々と野菜を放り出しながら、二人は段ボールを解体して広げていった。
「うう!硬い!」
アンは、箱状の段ボールの広げることに苦戦していた。
「貸して!」
日頃から筋トレオタクだったマリーは、その腕力を発揮した。
次々と段ボールを解体しながらマリーは言った。
「アンちゃん!
アンちゃんは、これを運ぶ物を探してきて!
台車でもなんでもいいから!」
アンは、ライトの一つを持って食料倉庫を出たときに思い出した。
「確かディナーのときに、お料理を運ぶ大きなワゴンを見かけたことがあったわ!」
二人は食事を運ぶワゴンに段ボールを乗せ、今度はホテルのリネン室に向かった。
そこにも段ボールがあったのを見た記憶があったのだ。
そうやって、ホテルの一階のあちこちで段ボールを回収したあと、二人は自分たちの宿泊していた部屋に向かう予定だった。
まだ自分たちの荷物がそこにある。
その部屋の窓ガラスは守らないといけない。
でも自分らの部屋は六階だ!
今、エレベーターは止まっている!
段ボールの乗ったワゴンを一階の階段前に置くと、マリーは6枚もの段ボールを両脇に抱えた。
「私が行ってくる!
私が戻るまでに、アンちゃんは二階でも三階でも少しでもいいから、段ボールを上に上げておいて」
そう言うと、マリーは6枚の段ボールを抱えて階段を駆け上って行った。

二人はヘトヘトになりながら協力して、たくさんの段ボールを自分たちの客室まであげた。
明るくて広くって、この開放的なホテルの客室には大きな窓がたくさんあった。
マリーとアンは自分たちの客室の窓に次々と解体した段ボールを貼っていった。
ガムテープはホテルの事務室から拝借していた。
二人は力を合わせて、窓ガラスに段ボ-ルを貼った。
外の雨風は、かなり激しさを増し、窓を打ちつける。
「ねえ!
確か、昨年の日本を襲った大型台風では、窓ガラスの隙間から水が入って来たのよ。
次の日、うちのマンションでも窓の下のサンの部分がびしょびしょだったんだよ」
とマリーは言った。
アンは、一瞬考えたあと、言った。
「よその部屋からバスタオルをとってきましょう!」
二人は他の客室を走りまわり、ハンドタオルやバスタオルをかき集めた。
鍵のかかった部屋も多かったが、鍵が開けっぱなしの部屋もたくさんあった。
このころ、もう随分と暗くなっていた。
しかし、ライトを手に持っての様々な作業もわずらわしかった。
二人は自分の頭にライトをくくりつけた。
帽子とガムテープと、ハンカチを駆使して、自分の頭にライトを固定した。
それで両手を自由にして、作業にとりかかることにした。
各部屋から集めたタオル類で自分の部屋の窓の周り、窓の隙間を埋めた。
外から雨水が入らぬように。
自分たちの部屋の窓ガラスを段ボールとタオルで守ったあと、二人は、段ボールをかかえ、昨日一晩寝た4階の階段の前のスペースに走った。
このホテルは廊下にも窓がたくさんあり、明るくってとてもいいのだが、窓のあまりの多さに今回は辟易した。
しかしやるしかない。
自分たちの寝泊りする廊下の窓全てにも、次々と段ボール作戦とタオル作戦を開始した。
しかし、もう体力的に限界に近かった。
その階の廊下は、半分くらいの窓を塞いだところで、二人は断念した。
力つきて、二人は廊下にうずくまってゼエゼエハアハアした。
外からごうごうと風の音がする。
激しい雨のザンザンとする音も聞こえる。
ハッと思い出したかのようにマリーは立ち上がると言った。
「一階は?
一階はどうする?」
アンは廊下にほとんど突っ伏しながらゼエゼエと言った。
「い、一階はあきらめよう。
(はあはあ)
あ、あんな大きい広いガラス窓を守るのは無理よ。
(ぜえぜえ)
きっと一階には水も入ってしまうでしょうよ。
一階はもうダメよ」
それをきいて、マリーは立ったまま腕組みをして思案していた。
アンは、ほとんどダウン寸前だった。
廊下に寝転びながら、5分ほどはもう声も出せずに頭も動かなくなっていたが、6分後にやがてアンは力を振り絞って言った。
「そ、そうだ。
一階にある絶対に必要なものだけ持ってこようか?」
二人は、リュックサックをしょった。
アンは一つだけ。
マリーは、二つのリュックを両肩に一つずつかけた。
そして二人は階段を歩いて一階に戻り、キッチンの食糧とペットボトルをリュックサックに詰められるだけつめた。
一階のロビーを少しだけ見に行くと、案の定、じわじわと外から水が浸入していた。

その晩は、雷の閃光と、雷の轟音と、激しい風の音と、滝の様な雨の音が続いた。
4階の廊下に作ったマットレスと毛布の簡易ベッドに横になりながら二人は震えていた。
電池は無駄遣いしたくなかったが、嵐の状況をなるべく正確に把握するために小さめの懐中電灯はつけていた。
マットレスに仰向けに寝っ転がりながらも、両脚を上に上げて、こんなときでも何やら健康によさそうな美容運動を続けながら、
「このホテル、一階は完全にダメになっちゃいそうっぽいね」
とマリーは言った。
ぐったりとマットレスにうつ伏せに寝て、微動だにしない、微動だにさえできないアンは目をつぶったまま答えた。
「そうね。
この島、台風も津波も地震も怖いし。
もし明日か明後日でも晴れたら、もう少し高台のホテルに移動した方がいいかもしれないわね」
*****
嵐は一晩中、続いた。
段ボールの貼られた窓をゴウゴウ、ガタガタ震えさせながら。
滝のようにザバ―ッ!ザバ―ッと、ガラス窓に雨を流しながら。
明け方にようやく、少しが雨風の音が収まって来たころに、マリーとアンは眠りについた。
******
次の朝は、びっくりするほど晴れていた。
ホテルの一階のフロアは水浸しになっていたが、何センチも水が溜まっているわけではなく、びしょびしょになっているだけで、思ったほど被害はなさそうだった。
キッチンもテーブルの上や冷蔵庫の中は無事だった。
二人はとりあえず、キッチンで朝食をとった。
昨日手に入れたカセットコンロとカセットボンベを使い、フライパンでトーストや卵を焼いた。
暖かい食べ物は久しぶりだった。
マリーはトマトとチーズのトーストを一つ、アンは、ハムと卵とチーズと玉ねぎのトーストを二つ食べた。



ホテルの中の被害はそれほど大きくなかったが、ホテルの庭に出てみると、二人は少しだけ肝を冷やした。
昨日まであったはずのものが色々なくなっていたのだ。
大きな物は残っていたが、花壇の柵や自転車など、小さなものは綺麗に水と風で洗い流されたようになくなっていた。
「ねえ、一階の水拭きとか、段ボールの片付けなんかはそのままにしといて、とり急ぎ今日は別のホテルを見に行ってみない?」
「もっと安全なホテルを探すのね?
移住するのね?」
******
二人は、歩いて20分ほどの隣のホテルに向かった。
その道中は、なんだか綺麗に洗い流されたようにさっぱりしていて、昨日まであった看板や枯れ枝などの邪魔なものが何もなくなっていた。
隣のホテルは、小さな山のそばの少し高台に建っていた。
それは頑丈そうなレンガ造りで、アン達の泊まっているホテルよりはこじんまりはしているが、風でも雨でもビクともしそうもない様相だった。
何より、二人のホテルと違ったのは、共有部分の窓にも、客室の各窓にも木の扉がついていたことだった。
それはきっと、いわゆる雨戸の役目を果たすことだろう。
このレンガ造りの建物の脇には自転車が無事に残っていた。
「ほら!ここすごいわ。
安全よ!」
しかし、そのホテルの東側の裏手に行ってみると、二人はガッカリした。
裏の小山の土が少しだけ崩れていたのだ。
「あ~あ!」
「うわ!ここも違う意味で危険だわ!」

しかし、他に二人は素晴らしいものも見つけた。
このホテルの西側の裏手には大きな岩で囲まれた露天の温泉があったのだ。
「きゃーっ!何これ!」
面積としては、8メートル×8メートルほどの温泉がそこにあった。
二人は湯気をたたえる温泉に走り寄った。
お湯に手をつけてみると、程よく暖かかった。
「きゃーっ!あったかいい!」
「うわあ!天然温泉っ?!」
そして温泉の真ん中には、まあるいテーブルと、その周りに、下半分がお湯に使った背の高い椅子がいくつも並んでいた。
「きっとあれ、お湯につかりながら、お酒飲んだりなんか食べたりするんだよ!」
温泉の横には、やはりレンガ造りの小ぎれいな脱衣所があった。
脱衣所に入ってみるとそこには、バスタオルや、真っ白なバスローブがたくさん積まれていて、大きな鏡のついたパウダールームまであった。
水着も置いてあった。
この脱衣所の隅には、小さな冷蔵庫まで置いてあった。
冷蔵庫の上には布巾のかかったグラスと皿。
冷蔵庫の中にはワインや、オレンジジュースの瓶とクラッカーとゴルゴンゾーラチーズやサラミが入っていた。
「ねえねえ!」
と、マリーの顔を見ながらアンはワクワクした声で言った。
マリーを大きく目を見開き、嬉しそうな顔でアンに大きく頷いた。
「うんっ!!」
******
二人は水着に着替えて、おつまみと酒とジュースを持って、温泉に飛び込むことになった。
お風呂に入るのは久しぶりだった。
「あったか~い~」
「気持ちい〜い!」
温泉に身体を沈め、手足を思い切り伸ばした。
心地よい暖かさのお湯が、まるでジワジワと身体に染み込むような気がした。
昨日からの疲れが取れるようだった。
そのあと二人は、温泉でバシャバシャと泳ぎ回り、まるで海辺ではしゃぐ人たちみたいに、お湯を掛け合ってはしゃいだ。
~④に続く〜
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第一話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル①
第二話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル②
第四話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル④
第五話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑤
第六話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑥
第七話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑦
第八話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑧
最終回九話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑨
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