マリーアントワネットなサバイバル②~エロリハビリ中の人の書くサバイバル・ミステリ~
島に取り残された二人

昨年8月よりエロイ話が書けなくなった、現在エロリハビリ中で、実質エロエロ詐欺師のhuugetuです。
本日も、エロくない話です。
(2020年5月4日〜6日に記)
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マリーアントワネットなサバイバル
第二話
(前回参照=マリーアントワネットなサバイバル第一話)
観光客に人気のストロベリー島。
この島に家族と遊びに来ていたマリーとアンは、この島に取り残されてしまったようだった。
島に滞在して3日目に、二人が昼近くに起きると、島には誰もいなくなっていた。
4日目の朝、小さなアナログの目覚まし時計で二人は目を覚ました。
「スマホがない今、このネジ式の時計を旅行に持って来たことは、ホントによかったと思う」
とマリーは言った。
それを受け、ホテルの廊下の階段前に作った即席の寝床から起き上がりながら、アンは言った。
「ねえ!
そこよ!
おかしいと思わない?」
うん?と言う顔をして、起き抜けのぼんやりした状態だったマリーは、アンの顔を見つめた。
アンは続けた。
「私たちがお昼まで寝過ごしているときに、突然の津波か嵐か何かが起こって、外に出ていた人たちが巻き込まれて死んでしまったとして。
それで電気も止まったとして・・・」
「うん?」
「そうだとして。
色々な施設を残したまま、人間だけが消えてしまったみたいだと仮定したとして。
でも、その場合、なぜ、ホテルの部屋の私たちの携帯電話だけがなくなっているの?」
アンのその言葉にマリーも考えた。
本当にそのことは謎だった。
もしも、この島に何らかの自然災害があったとして、ホテルの高い階層の部屋で寝過ごした二人だけが助かったとして。
なぜ無事だった二人の部屋にあったはずの携帯電話までが・・・というか、携帯電話だけがなくなってしまったのだろう?
そこまで考えて、マリーの頭はパッと覚めた。
「ちょっと待ってて!アンちゃん!」
マリーは、手作り簡易ベッドを抜け出し、立ち上がった。
「ちょっと気になることがある!
ちょっと部屋に行ってくる!」
マリーは自分の客室に向かった。
そこには、夫の旅行用のトランクがあった。
持ち主のいなくなったスーツケースがあった。
マリーはそれを開けて、中を探した。
衣類などをかき分け探した。
マリーは、独り言を叫んだ。
「ないわ!
あの人がどこに行くときもいつも持っていたラジオがないわ!」

マリーはアンのところに戻って言った。
「さっきアンちゃんが言ってることで思い出したの。
携帯電話がなくなっているけど。
ラジオがあれば、電気がなくても何か情報がわかるとさっき気づいたのに。
でもでも。
私の旦那がいつも持ち歩いていたアナログのラジオもなくなっていたわ!
他の物はあるのに!
ラジオだけがなくなっていたわ!
どういうこと、これ?!」
アンは頭を抱えた。
「情報を得る手段を全てというか、あえてシャットアウトされて、私達はこの島に取り残されたの?」
******
ともあれ、二人は今日は、家族を探しに行く。
その前に、朝ごはんのためにホテルのキッチンに二人は向かった。
ダイニングの厨房まで行くと、マリーは言った。
「昨晩、食べ過ぎたわ。
私は朝ご飯はいらないわ。
コーヒーだけにしよう」
それを聞いてアンは、
「だめよ!
今日はあちこち動き回るのよ!
ちゃんと食べないと!
パワーが出ないわよ!」
と言った。
マリーは言った。
「えー。
でも私、ダイエット中だし・・・。
昨日の食事は明らかにカロリー過多だし」
アンは、怒鳴った。
「馬鹿ッ!!」
いつも穏やかなアンのその怒鳴り声にマリーは驚いた。
「ダイエットなんて悠長にしてる場合なの?!
考えなさいよ!!
今はそういうときじゃないでしょっ!」
アンに怒られて、マリーは言い訳をした。
「ダイエットってわけじゃなくって。
ホントは、とにかくもう食欲ないのよ。
私・・・」
アンは、キッチンの電気の止まった冷蔵庫を開けた。
「あなたの好きな納豆と卵があるわ」
そしてアンは冷蔵庫から長ネギを出してくると、厨房のまな板で包丁を使ってそれをきざみ始めた。
マリーはオロオロしながら、アンを見ていた。
アンは、生卵と納豆ときざんだ長ネギを混ぜ、そこにマスタードや、厨房の棚にあった、粉末の乾燥ニンニくを混ぜ、マリーの前に、缶の野菜ジュースとともに、突き出した。
「食欲がなくっても食べなきゃだめ!
無理でもいいから食べなきゃだめ!
生き残るためよ!
ほら!これなら食べやすいでしょう?
お願いだから食べて!」
マリーは一生懸命、それを食べた。
野菜ジュースで、喉に流し込むようにして食べた。
マリーがそれを食べている様子を満足そうに眺めながら、アンは自分は、冷蔵庫にあったカマンベールチーズやら、ブルーチーズやら、ヤギのチーズやらと、レタスやらトマトやらとパンを一緒にムシャムシャと食べた。

朝食のあと、マリーの運転で、家族を探しに行った。
運転と言っても車ではない。
自転車だ。
ホテルの駐車場には取り残された、”あるじ”を失ったたくさんの自動車たちはあった。
キーがついたままの自動車はないかと、アンとマリーは探した。
しかし、十数台を見ても、そんな車はなかったので二人はあきらめた。
マリーの運転する自転車にて、二人乗りで二人は、ビーチの方に家族を探しに行った。
50分ほど、二人乗り自転車を漕いで、やっと美しい海岸に着いた。
こんな事件が起きたとは思えないくらいの穏やかな青々とした海が、太陽に平和そうに照らされていた。
しかし、そこにも誰もいなかったし、ビーチそばのホテルにもレストランや、他の施設にも人間は誰一人いなかった。
マリーの夫も子供も、アンの姉もいなかった。
アンは、マリーに言った。
「空振りだったみたいね。
午後はショッピング街に行ってみましょう。
3人はそこにいるような気がするわ。
よく考えると、うちの姉の性格から言って、私たちを起こさないで3人でビーチにはいかないと思うのよね。
私たちが起きるまでの時間ということで、私の姉のショッピングにあなたの旦那さんとお子さんはつきあわされたような気がするのよね」
とアンは言った。
「でもその前に」
アンは、海岸脇のホテルにマリーを連れて行った。(自転車の運転をさせた)
そしてホテルに入るとまっすぐに、居心地のよさそうな大きなソファの並ぶ喫茶コーナーに連れて行った。
「あらすごい。
よく知ってたわね。
アンちゃんこのホテルの内部に詳しいわね」
と、マリーは言った。
「だって本当はこのホテルに泊まりたかったんだもん。
色々調べたんだもん」
とアンは言った。
「マリー、ここに寝転んで休んでてよ。
午後からショッピング街にまで自転車こいでもらわないといけないんだから。
体力回復して欲しいんだから。
ちょっとここで横になって休んで。
私は食べ物を調達してくるわ」
マリーは答えた。
「いや。別に。
あたし、普段からジョギングで脚力鍛えてるし、大丈夫だよ。
平気、休まなくても。
午後も自転車こぐよ」
アンは強く言った。
「いいから、ここで少し休んでて!!
私は食べ物探してくるから!
いいわね?」
マリーはアンに従った。
大人しくソファに座った。
アンが立ち去ったあと、マリーは両脚をソファの上に上げた。
気持ちよかった。
頭を背もたれに乗せた。
暑い日差しの中、二人乗りで自転車を漕いだ。
マリーは疲れていた。
目を閉じた。
「アンちゃんには、取り急ぎ自転車の練習をさせよう・・・」
とボンヤリと考えているうちに、マリーはうたたねをしてしまった。
アンは、このホテルの厨房に向かった。
マリーが寝ている間にアンは、食べられそうなものをかき集めた。
冷蔵庫に残っていたサンドウィッチ、果物、ケーキなどを大皿に盛った。
ここのホテルのキッチンには冷蔵室みたいなところがあった。
ドア開けてアンがその中に入ると、中はまだひんやりしていた。
そこで良い物を見つけた。
ステンレス製の足に車のついたラックがあった。
そこに、サランラップのかけられたカルパッチョの盛られた皿と、冷製のスープ・ジャガイモのビシソワーズの入った鍋を見つけたのだった。
「わあ!
暖かくなくても十分イケてる料理あるじゃない!」
アンは喜びの声をあげた。
他、厨房ではぬるくなってしまったオレンジジュースと牛乳の紙パックも手にした。
棚にあった缶詰は、背中に背負ったリュックサックにつめた。
アンは、大皿や飲み物や鍋を、数回行き来してマリーの寝ている喫茶コーナーに運んだあと、
「そうだわ」
とつぶやいた。
この海沿いのホテルのお土産物コーナーの売店にアンは向かった。
売店にあった、長持ちしそうなクッキーやチョコレートもリュックサックに詰めた。
アンはマリーが起きたときに、果物やカルパッチョや冷たいスープを食べさせ、二人は再び自転車で出発した。

しかし、ショッピング街に行っても、家族も、他の人間も誰もいなかった。
誰もいないブティックや、誰もいないレストランや、誰もいないお土産物屋や本屋が並んでいた。
家族を探すことを一旦あきらめ、二人は高台にある自分たちの宿泊しているホテルに戻ることにした。
そして自分らのホテルに自転車を置くと、二人はリュックサックとキャリーバックを持ち、今度はホテルから歩いて10分のところのホームセンターに向かった。
自分たちの宿泊している停電しているホテルに足りないものを超達すべく。
これが、この物語の冒頭で紹介したホームセンターでの光景になる。
ホームセンターには電池で動くラジオや、ポータブルテレビもあった。
二人は、喜んで飛びついたが、スイッチは入ったがそれらはガーガーピーピーと雑音を立てるだけだった。
スマホもあったが、通信は不能だった。
ここでも何の情報も得られなかった。
ホームセンターでは、とりあえず、生きてゆくのに役立ちそうな物をかき集めた。
ホームセンターからの帰り道に遠くに雨雲を見た。
二人はホテルへ急いだ。
ホテルのロビーで二人は、ホームセンターで手にいれた物を見せ合った。
マリーは、乾電池でつく大きめのライトや、懐中電灯と、乾電池をたくさん調達していた。
アンは、カセットコンロとカセットボンベと、ライター、チャッカマンなどを持って来ていた。
「これで暖かい物も食べられるし、料理もできるわね」
次にマリーは、キャリーバックから水のペットボトルを出して来た。
「このホテルの水もいつまでもつか。
貯水タンクにある水は、トイレなんかに使うのは相当長持ちしそうだけど、だんだん腐りそうで、飲み水としては心配だからね」
アンは、太ったペットボトルみたいなボンベみたいな謎の物体をリュックサックから出した。
「何それ?」
マリーがたずねると、アンは答えた。
「簡易な濾過器よ。
海の水や、雨水を”ろ過”できるのよ」
「すごいわね!
あなた、もうそこまで考えてたの?
まだまだホームセンターには水のペットボトルたくさんあったのに」
マリーは感心した。
アンは言った。
「ホームセンターには、もっともっと大きな規模の本格的な”ろ過機”も置いてあったわ。
明日、自転車で買いに行きましょう」
「買いに?」
「あ!違ったわね。
盗みにね」
そこで二人は思わず噴き出した。
島に二人きりで残されたことを知ってから、ずっと暗い顔、もしくは必死な顔を二人はしていた。
初めて笑った。
お腹をかかえて笑った。
そのあと二人は、ショッピング街での戦利品も見せ合った。
家族を探しに行ったショッピング街だったが、そこのブティックにあったステキな服を二人は2、3着ずつ持って帰って来ていた。
「あら!そのドレス、ステキね」
「あなたのスーツも可愛いわね」
「あと、これからのサバイバル生活で、作業が必要かもしれないのでジーパンと軍手も買ったわ」
「私、スポーツウェアを買ったわ」
「やだ!
だからあ!買ったんじゃないってば!」
「盗んだのよね?アハハハハ!」
二人は、また大笑いした。
しかし、そのときだった。
外で微かな、しかし不気味な低音のゴロゴロッという音がした。
ハッとして外を見ると、まだ日の暮れる時間ではないのに、辺りはぼんやりと薄暗くなってきていた。
笑顔は消え、再び二人の顔は曇った。
「雷かしら」
「雨が来そうね」
まもなくピカッ、ピカッと何度も稲妻が走り、空はゴロゴロと雷の音を繰り返すようになり、マリーとアンのホテルの上にも強めな雨が降って来た。
二人はとりあえず、戦利品を昨夜寝た、安全な寝床のある階の廊下まで運んだ。
~第三話に続く〜
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第一話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル①
第三話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル③
第四話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル④
第五話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑤
第六話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑥
第七話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑦
第八話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑧
最終回九話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑨
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