マリーアントワネットなサバイバル①~エロエロ詐欺師のサバイバル・ミステリ~
サバイバル・ミステリーってジャンルの小説、自分は読んだことないけども書く!

昨年8月よりエロイ話が書けなくなった、現在エロリハビリ中で、実質エロエロ詐欺師のhuugetuです。
本日も、エロくない話です。
(2020年5月2日〜4日に記)
*************
マリーアントワネットなサバイバル
第一話
「マリー!
こっちにいいものがあったよう!」
人のいないホームセンターのフロアの東端の方でアンが叫んだ。
フロアの南側の方で、両手いっぱいにいくつものライトや懐中電灯を抱えていたマリーは、アンの方に向かって走った。
マリーがアンのところに到着すると、アンは、
「ほら!カセットコンロとカセットボンベ」
と言って、箱に入ったそれを見せてきた。
アンはリュックサックにたくさんの物をつめ、マリーはキャリーバックをガラガラとさせながら、二人はホームセンターを出て、自分たちが宿泊しているホテルに向かって行った。
ホテルまでの道は、太陽の日差しにポカポカと照らされていた。
しかし、遠い海岸の方角の空には何やら薄黒い雲が立ち込めていた。
「何?あの黒い雲」
「大雨が来るかもよ。急ごう」
ホテルの正面のガラスの扉は閉まったままだった。
かつて、自動ドアだった扉。
今は動かない。
二人は、ホテルの脇の従業員の出入りする小さな入口からホテルに入った。
誰もいない広々としたホテルのロビーまで二人は、ホームセンターから持って来た物を運んだ。
ドサッとそこに戦利品を置くと二人は一息ついた。
*********
マリーとアンは、この島にバカンスに来ていた。
東京の一つの区ほどの大きさのこのストロベリー島。
綺麗な海岸と緑あふれるこの島は、観光客に人気のスポットだった。
バツイチのマリーは、昨年再婚した夫とその連れ子と一緒に来ていた。
結婚当初、新婚旅行みたいなことはしなかったのだが、この初夏に友達のアンから誘われてこの島へバカンスに来た。
「私、姉と一緒にストロベリー島に行こうと思うの。
とてもステキなところなんですって。
マリーの家族も一緒に行かない?」
アンは独身で、同じく独身の自分の姉と一緒にここに旅行しようと計画していた。
そこに友達のマリーの新婚家族も誘ったのだった。
急に決めた旅行だったので、美しい海岸近くの大人気のホテルはとれなかった。
海岸から離れた、緑の多い地域の方のホテルに一行は泊まった。
キャリーバックの中身を出しながら、マリーは言った。
「今考えると、こっちの方のホテルでよかったかもしれない」
アンも、リュックサックから物を取り出しながら答えた。
「そうね。海の近くは危険そうだものね。
こっちの少し高台の場所の方が安心だわ」
*****
この島に滞在して3日目の昨日のことだった。
朝、遅く起きた二人は時計を見て驚いた。
もうお昼近かった。
随分寝過ごしてしまったようだった。
そして一緒の部屋にいたはずの家族は、いなくなっていた。
急いで着替えると、マリーは自分の客室を出て、アン家族の部屋に向かった。
アンは寝間着姿のままで、マリーを迎えた。
「ああ、よかったわ。
アンちゃんはいたんだ。
私、寝過ごしちゃって。
みんなはもうビーチに遊びに行っちゃったの?」
マリーがそう言うと、アンも言った。
「私もなの!
私も寝過ごしちゃって!
今、起きたの。
そしたらもう姉がいなくなってて。
起こしてくれないで一人で出かけちゃったみたいなの」

二人は携帯で家族と連絡を取ろうと思った。
しかし二人の携帯はどこにも見当たらなかった。
携帯を探し回ったあと、ホテルの部屋の電話を使おうとしたが、それはどこにも繋がらなかった。
「停電?」
「そう言えば、さっき起きた時つけようとしたテレビがつかなかったのよね。
私、起きたら顔を洗う前に、まずテレビをつける派なんだけど」
「うそ。
停電じゃないよ。
だってトイレと洗面は明るかったわよ。
・・・あ、違うか。
窓が大きいから電気つけなくてもよかったのか」
ホテルの部屋にも大きな窓から明るい陽射しがサンサンと降り注いでいたので、灯りをつける必要はなかった。
二人はあらためて電気のスイッチをカチカチやった。
部屋の電灯はつかなかった。
「やっぱり停電かあ」
アンが着替えるのを待って、二人はホテルのロビーに向かった。
そこに向かう途中、廊下でも階段でも他の客にも清掃のスタッフにも誰にも会わなかった。
「おかしいわ。
なぜ、誰もいないの?
もうお昼なのに」
一階のホテルのロビーにも誰もいなかった。
受付にも誰もいなかった。
ホテルには客も従業員もいない。
「どういうこと?!」
二人はホテルの外へ飛び出した。
そこにも人間は誰一人いなかった。
小鳥の鳴き声だけが響いていた。
前の日は、うじゃうじゃ人がいたのに!
ホテルのキッチンやリネン室みたいなところも走り回ったが、どこにも従業員はいなかった。
次に、二人は大通りの方まで出て行って少し歩いてみたが、そこにも車も人もいなかった。
昨日までにぎわっていたこの島から、すっかり人が消えてしまったのだ。
何が起こったのか全くわからなかった。
そして電話も使えない。
ホテルのフロントにあったパソコンも立ち上がらなかった。
二人は何の情報も得られなかった。
夕方まで二人は右往左往したが、そこに追い打ちをかけるように、午後5時頃に大きな地震があった。
二人はパニックになった。

突然の大地震に、ヒステリックに悲鳴を上げるマリーと、泣き出してしまうアンだった。
そこらにあった棚や家具から物を落とすほどの大きな地震が収まると、しばらく肩を震わせたあとマリーは、深呼吸をした。
そして、覚悟を決めたようマリーはアンに言った。
「何があったかわからないけど、今はとにかく自分たちの身を守りましょう」
アンは泣くのをやめて、目を大きく見開き、マリーの目を見た。
マリーは頷いた。
アンも頷いた。
なぜだかわからないが、一夜にしてこの人気の観光スポットの島から人間がいなくなってしまった。
二人は、このストロベリー島に取り残されてしまったようだ。
でも今は理由を考えている場合ではない。
とりあえず、二人は自分たちの身を守らないといけないと思った。
電気も通じていない。
夜になったら、島全体もホテルも真っ暗になることだろう。
きっと、こんな大きなホテルには自家発電装置などはあるんだろうけど、そこの知識がない二人には、それを稼働させることができるわけもなかった。
水はホテルの貯水タンクから来てると思われたので、しばらくは大丈夫だろう。
食べ物はホテルのキッチンに食べられそうなものがあった。
キッチンの止まってしまった冷蔵庫の中に仕込み済みの料理の作りかけがたくさんあった。
これはもうすぐ腐ってしまうかもしれないが、明日くらいまでは十分食べられるだろう。
大きなウォークイン式の冷凍庫の中にも冷凍肉や冷凍魚があった。
冷却装置の止まってしまった冷凍庫。
これもいずれは腐るけど、まだしばらくは食べられそうだ。
他に、ホテルのキッチンには缶詰や、ソースのレトルトパックなどがたくさんあった。
これは今後も長い期間、食べられることだろう。
アンは言った。
泣いていたアンはもう冷静になっていた。
「もうすぐ真っ暗になるわ。
その前に何か食べて、今日はとりあえず、ホテルの一番安全そうなところに移動してそこでじっと寝ましょう。
明日、明るくなったら生き残るのに必要なものを探しにいきましょう」
二人は前日のディナー以来、何も食べていなかったのでお腹がすいていた。
さっきまではパニックで空腹なことにも気づかなかったが、今、自分たちがとても腹ペコであることに気づいた。
二人はホテルの厨房で立ったまま、冷蔵庫にあったの作りかけの料理を食べた。

ああ!!
前日は、人が賑わう大きなダイ二ングで、お酒を飲み、豪華料理を食べたのに。
愛する家族とともに楽しく夕食をとったのに!!
厨房で立ったままサーモンを食べながらマリーは言った。
「心配だわ。
夫や子供は今、どうしてるんだろう?」
同じく立ったまま、ローストビーフを塊のままむさぼっていたアンは答えた。
「私たちと同じで、どこかに取り残されているかもしれないわよ。
あなたの旦那さんとお子さんと私の姉と3人でビーチに行っていたとしたら、ビーチのそばのどこかの施設にいるかもしれないわ。
あるいは、私の姉につきあわされて、3人でショッピング街のどこかにいるかもしれないよ」
マリーは言った。
「そうね。
今日はとりあえず、暗くなる前に安全な場所で寝て。
明日明るくなったら、ビーチの方やショッピング街を探しに行こう」
アンは、前菜のパテや、テリーヌの乗ったトレイに取り掛かり、ムシャムシャしながら言った。
「ビーチやショッピング街までは結構距離あるわ。
どうやってゆく?」
マリーもオードブル用の高級キャビアの瓶を開けながら言った。
「駐車場にたくさん車が止まっていたわ。
どれかにキーがついていれば使えるよ、きっと。
最悪は自転車もあったから、あれに乗って探索に行きましょう」
アンは言った。
「私、ペーパードライバーよ!
自転車も自信ないわ。
マリー運転お願いね!」
**********
その日は、厨房で立ったままお腹いっぱい美食を食べたあと、二人は自分たちの客室より少し低い階の、広いスペースの階段の前の廊下で寝た。
廊下に、他の部屋から運び出したベッドのマットレスや毛布を並べたのだ。
暗くなる頃にはそこで横になった。
この日、どの場所で寝るかを決めるときには、二人の意見が異なり、少し揉めたが。
「さっきのよりまたもっと大地震が来たら、やばいって。
一階の広々としたロビーで寝るのが一番よ。
下に降りられなくなってしまうかもしれないわよ」
「違うでしょ?
その大地震で津波が来たらどうするのよ?
高いところの方がいいわ。
階段でおりられる程度のところで」
二人の意見の中間を取って寝る場所は決められたのだった。
~第二話に続く〜
(作者の私が自分でこの話に飽きなければ続く)
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第二話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル②
第三話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル③
第四話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル④
第五話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑤
第六話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑥
第七話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑦
第八話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑧
最終回九話はこちら→マリーアントワネットなサバイバル⑨
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