精液まみれで美人になろう①

2017 06

精液は美容によい？

何がお肌によいのか、何が美容によいのか？
このことに長いこと女性たちは惑わされてきた。

お肌のゴールデンタイムは夜22時から2時までなので、その時間は必ず睡眠を取るようにしましょうと言われ、実践していたのに、いつからか『それはデマだ』という話があちこちから出てきたり。

コラーゲンがお肌にいいと言われて、高いお金を出してフカヒレやスッポンやハモを一生懸命食べていたら、『食物から摂取するコラーゲンは身体で分解されるので意味がない』という説が出てきたり。

『高くなくてもいい。安い化粧水でいいからたくさん使うのがいい』と言われたと思ったら、『いやそれでは意味がない』と言われたり。

女性ホルモンと似た働きをする大豆製品は豊胸にいいと言われてたくさん食べたら、取りすぎは逆にホルモンバランスを崩すからダメと言われたり。

でも騙されたときも上手くいったときも、女性たちは必死に美容情報に耳を傾け、ダメ元でもチャレンジをし続けてきた。

２０１８年、とんでもないデマが拡散されたときも女性たちは飛びついた。

とんでもないデマとは？

それまでも、そうしてほしい男性側の陰謀かどうかわからないが、『精液を飲むとお肌によい』という都市伝説は、密かにあることにはあった。

しかし２０１８年には、権威ある学者のT博士が学会で、
『男性の精液は女性の肌によい影響を与える。
飲んでもいいし、肌に塗ってもいいし、膣から受け入れるのもいい』
という研究発表を正式に行ったのだった。

マスコミが取り上げ、口コミ？ネットコミでもこの話題は広がった。

夫なり恋人なり、相手のいる女性は、以前よりセックスにノリノリになり、相手のいなかった女性は周囲の男性に積極的にアプローチをかけるようになった。

「ねえエッチしましょうよう」
「え？今日も？」
「うん。したいんだもん」
とか、
「お兄さん。私の中で出したくない？」
とか、
そして、
「出してえ！私の中にいっぱい出してえ！」
「かけてえ！私の顔にかけてえ！」
というようなことが、あちこちで繰り広げられた。

さて、T博士がこの研究に取り組んだのは１０年前だった。

その頃、T博士には愛人がいた。

T博士は愛人を抱くときにたびたび、彼女の中に直接、自分の精液を注入したがった。

「精液が女性の膣に入るとね、入ってきた男性ホルモンを追い出そうとして、女性の身体の中で女性ホルモンの分泌が活発になるんだ」
そう言っては、博士はコンドームなしで、愛人を抱こうとした。

「僕が中出しをすればするほど、君は美しくなってゆくんだよ」

「そう？コンドームやめようかしら。
中出ししてもらうために、今度から私、ピルを飲もうかしら」

T博士と愛人は上手くいっていた。

しかし、あるセックスの時のことだった。

その日、とても興奮したT博士は、愛人の綺麗なお顔に自分の精液を放出してみたくなってしまった。

愛人の中で出し入れ運動をしたあと、自分の性器を抜き去ると、T博士は自分の性器を持ったまま愛人の顔の方に移動した。

そして驚いている愛人のお顔めがけて、思い切り自分の液体をぶっかけたのだった。

愛人は目をギュッと閉じ、顔をしかめた。

彼女のふっくらした頬や可愛らしい唇に白い液体が飛び散った。
綺麗な巻髪にも一部、液体がからみついた。

精液をかぶった綺麗なゆがんだ顔を見ながら、博士Tはドクドクと残りの液体を流した。
T博士は恍惚を感じた。

しかし、その数秒後、愛人はガバッと上半身を起こすと、T博士を思い切りひっぱたいた。

「何するのよ！
目に入って失明したらどうしてくれるのよ！！
髪の毛洗うのもすっごく大変なのよ！！！」

さっきまでのエロかった愛人の顔は般若のように豹変していた。

「何よりこんなことをするなんて、私のことを大事に思ってくれていない証拠よ！！」

T博士は愛人に振られてしまった。

悲しみのどん底に突き落とされたT博士は、それからは情事は控え、ひたすら研究に没頭した。

そして実験を繰り返し、10年後に発表された学説が、
『男の精液は女の肌に良い影響を与える！』
というものだったのだ。

T博士の研究発表は、世の女性に大きな影響を与えた。

世界のある地方で、過激な女性武装集団が、車で通行する男性を待ち伏せして襲いかかり、彼らの精液を奪い取るという事件が多発した。

普通の女たちもセックスをしてはありがたがり、男性の精液を吸い込むように飲み、喜んで顔にかけてもらい、肌にすり込んだ。

女性たちは、男性の精液を搾り取るのに夢中になった。

でも病気にかかっている人の精液は危険だという、昔からある情報も広く知れ渡っていった。

またやりすぎた男の精液は、肌にあまりよい影響を与えなないというデマも広がっていった。

最初は、女性をおもしろいように抱けた”遊び人”の男たちは、次第に女性に敬遠されるようになった。

日本では、性病に絶対かかっていないような奥手のおたくたちの精液は綺麗だということで、熱心に求められた。

日本の女子たちはウブな男の子たちに群がった。

結果、日本では１８歳以上のDT（童貞）は、ほぼ壊滅した。

他、頭のよい『性病にかかっていない証明書』を持ち歩いている男は、真面目を装い、毎日のようにナンパしては、様々な女とセックスをした。

遊び人の男の精液は病原菌が入っている可能性があるということで、まあないよりはマシだが、そういう男性たちとのセックスは後回しにされがちだった。

なるべく新鮮なDTたちの精液が重んじられた。

以前に比べて女に相手にされなくなった遊び人の男たちは怒り狂った。

「もしかして君ら女性が、男たちの精液を搾り取り、童貞狩りを繰り返すから、男たちがみんな遊び人になってしまっているんじゃないのか？
君たちのせいだろ。
ひどい話だ」
「童貞信仰反対！
童貞神話反対！」
そんな言葉が遊び人の男たちの口から出るようになった。

しかし、『精液が肌によい信仰』は、他の場面では、いいことをもたらした。

2019年から日本の出生率がグングン上がりだしたのだ。
女性が中出しをせがんだ結果、妊娠してしまう人達も増加したのだった。

しかし、日本と異なり、以前から人口が増えすぎてしまって困っていたA国の政府は頭を抱えた。

このA国は、日本とは逆に出生率を抑えたいのだった。
しかし、精液がお肌によいなんていうT博士の研究発表により、人口がまたまた爆増してきてしまった。

他にも、この風潮を歓迎していない者もいた。

それは、もともと遊び人の女たちだった。

「うーん。
女性がみんなセックス好きで尻軽になったから、私たちの価値がなくなったわ」

それまでは、女にしては珍しく”ドスケベ”であることがウリだった、このブログでは御馴染みのエロ女経営者もその一人だった。

「今まで、多くの女性がそれほど性に積極的じゃなかったから、その分私が男を独占できたのに。
最近じゃあ大変よ。
清楚で可愛い若い美人が、平気で男と一夜限りの関係を結ぶんですもの。
私のほうに男が回ってこないわ。
既得権益を脅かされている気分よ」

昔、エロ女経営者が、真面目な高級スポーツクラブを経営していたときの客だったA国の関係者と久しぶりに会ったときに、彼女はそう話した。
「それに私の経営しているセクキャバ店も、商売も上がったりなのよ」

「なるほど。
素人の女の人が、まるで、エロ接客業の女性のように親切に男に近寄ってくる。
そして触り放題、やり放題なのだから、男はわざわざエロ商売のお店に行かなくなったのですな？」
とA国関係者は言った。

「ホントに困ったわよ」
エロ女経営者は苦々しく言った。

「この風潮をよく思っていない人は、我が国だけでなく、日本にもいたんだな。
男の立場から君はどうだい？」
と、A国関係者は、お茶を出しにきたボーイに声をかけた。

発言権を与えられた遊び人のボーイも勢いよく話出した。
「僕も友達とよく話すんですよ。
モテなくなって困ったと！
それまで全然女に免疫のなかった、女扱いもセックスも下手くその男たちが急にモテだして。
我々百戦錬磨の男は、女に敬遠されがちなのです」

A国の関係者は言った。
「女性の美容に対する執念はものすごいものがありますからな。
自分の美のためなら女は何でもする！
エロでもする！」

そのとき、
「そこよ！！」
それまで黙ってそばに座っていたエロ女経営者の側近のアラサー女秘書が、突然に叫んだ。

「どこよ？！」
エロ女経営者とボーイが声をそろえて聞き返した。

「そこです！」
アラサー秘書は言った。

「女性たちは急にセックス狂いになったわけじゃないのですよ！
彼女たちはセックスがしたいわけではないのです。
彼女たちは自分の美容のために、男に急に媚を売り、お尻を振るようになっただけなんですよ！」

女経営者もボーイもA国関係者も、ポカーンとアラサー秘書の顔を見つめた。

「そこがミソなんですよ！」
アラサー秘書は笑いながらそう言った。

-----続く--------------

★続きのお話はこちら → ★精液まみれで美人になろう②

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