色狂いになった若い未亡人①
残した妻が心配

若くして死んだ敦夫は、残した妻のことが心配でならなかった。
天国に着いた敦夫は、数年前に亡くなった自分のおばあさんに会った。
「おばあちゃん!久しぶり!
会えてうれしいよ」
「私もよ。
でも敦夫、早すぎるわよ。あなたがここに来るのは。
私も自分の息子より先に、孫とここで合流できるとは思わなかったわよ」
そう言ったあとに、おばあさんは隣でニコニコ二しながら、二人の再会シーンを見ていた男性を敦夫に紹介した。
「あなたのおじいさんよ。
あなたが生まれる前に亡くなったから、初対面だと思うけど」
「ああ!おじいさん!
御仏壇の写真よりずっといい男なんで気が付きませんでした!!」
と敦夫は言った。
天国では、”新人の死人”は、天使から色々オリエンテーションやら研修を受ける。
そのオリエンテーションで、『天国の住人は、年に一回だけ、地上に降りて活動することができる』との説明を敦夫は受けた。
敦夫はさっそく地上に降りて妻の元に行こうと思った。
敦夫は、もう一度だけ妻に会いたかった。
おばあさんは、そんな敦夫を止めた。
死者は年に一回、地上に降りることができる。
それが楽しみで、年が開けるとすぐに元旦に地上に降りてしまう人も多いという。
でも、敦夫のおばあさんとおじいさんは、そういうことはしないという。
毎年、地上に降りる権利をすぐには使わずに、じっくり待って、ここぞという時に家族を助けるために使ってきたという。
「敦夫。
あなたのお姉ちゃんが交通事故にあったときのこと覚えている?」
と、おばあさんは言った。
「うん。
姉貴が高校生のときだ」
敦夫は答えた。
軽く自動車と接触したくらいで、大した事故ではなく、姉は骨折もしなかったが。
でもそのとき、女子高生の姉にぶつかった車は、止まらずに逃げた。
ひき逃げだった。
「あのときおじいさんが、権利を使って地上に降りたのよ。
10月だったかしら。
お正月から権利を大事に守っていたおじいさんは、そろそろ使わないとなあと思って、毎日下界を眺めていたのよ」
とおばあさんは言った。
「その前の年に大事に権利を使わずにいたら、年末になってしまってね。
しょうがないから、大みそかに渋谷のNHKホールに忍び込んで、紅白歌合戦を見た」
とおじいさんは言った。
しょーもない!という顔をして、おばあさんはおじいさんを見た。
「実は、交通事故に合う前の年の1月に高校受験の日に、お姉ちゃんが寝坊したんだよ。
そのとき俺は、お姉ちゃんを起こしてやるために下界に降りようかと迷った。
でも、まだ1月だろ?
今後、もっと大変な何があるかわからないから、迷った挙句に、俺は眠りこけるお姉ちゃんを放置した」
と、おじいさんは言った。
「ああ。
姉貴がわざわざ遠くの学校に受験しに行って、一人でホテルに泊って受験当日に寝すごして、第一志望を棒に振ったやつね」
と、敦夫はそのときのことを思い出した。
「その年は、お前たち家族には、結局他には何も困ったことはなくて、俺は年末まで地上に降りる権利を使わなかったんだよ。
年末に紅白を見ながら、俺は失敗したと思った。
1月にお姉ちゃんを起こすために地上に降りるべきだったと」
と、敦夫のおじいさんは続けた。
「おじいちゃんは地上に降りる権利の馬鹿な使い方をしてしまったので、次の年はなるべくよいことに使おうと思って、特にお姉ちゃんを見張っていたんですって」
とおばあさんが言った。
敦夫の姉の受験失敗を救えなかったという気持ちもあるかもしれないけど、敦夫と違って、姉はおじいさんが死ぬ直前に生まれた。
姉は、おじいさんにとって初めての孫で、おじいさんは姉を特に愛していたのだろう。
姉が交通事故に会った瞬間をおじいさんは目撃していた。
敦夫の姉がひき逃げされた場所は、人通りがなかった。
一人で、誰もいない道路に倒れていた姉だったそうだ。
おじいさんは地上に飛び降り、一番近くにいた通行人のところに行き、すぐに救急車と警察を呼ぶように頼んだそうだ。
姉は、すぐに病院に運ばれて、ひき逃げ犯もすぐ捕まった。
「なるほど」
と敦夫は言った。
「だから、下界に降りるチャンスは大事に使わないと」
と、おばあさんは言った。
でも、おばあさんんとおじいさんは、今回、敦夫が死ぬのは助けられなかったという。
まさか、頑丈で健康でまだ若い敦夫が死ぬとは思わなかったという。
今年7月に敦夫の母が庭仕事中に熱中症になりかけたときに、我慢できずにおばあさんは下界に降りてしまったという。
炎天下でフラフラしながらも、母は何時間も庭の手入れをしていたという。
庭は、おばあさんが生きてきたときに大事にしていた場所だ。
自分がいない今も、そこを丁寧に大事に世話し続けてくれる嫁。
おばあさんは、涙が出てしまったという。
でも、夢中で作業を続ける嫁は熱中症寸前でフラフラだ。
おばあさんは下界に飛び降りた。
おばあさんはどうしようかと思った。
直接会いに行くのはどうかと思われた。
おばあさんは空から公衆電話を探した。
しかし昔と違って、公衆電話があちこちにない。
やっと見つけた公衆電話に飛び降りたおばあさんは、家に電話をしたという。
おばあさんは、天国から支給された小銭を持っていた。
家の中から電話の音が聞こえたので、敦夫の母は庭仕事の手を止めて家に入った。
おばあさんは電話で、親戚のおばさん(おばあさんの娘)のマネをして、母とおしゃべりをしたという。
おばあさんは、電話でまず、
「水を飲みなさい!
クーラーをつけなさい!」
と言って、母に水を飲ませてから、どうでもいいことで長電話をして母を涼しい家の中に引き止めたという。
そんなわけで、おばあさんは7月に地上に降りる権利を使ってしまった。
一方、おじいさんは口を濁していたが、どうも敦夫の父が何か悪いことをするのを止めに6月ころに地上に降りてしまったそうだ。
おばあさんのいまいましそうな顔を見ていると、どうも父が女性関係で何か悪いことをしようとしていたのを止めさせたようだった。
そんなことで、今年は二人とも地上に降りる権利を使ってしまったので、敦夫がこの9月に工事現場の側を歩いていて、落下物にぶつかって死んだときは、二人とも地上に降りてこられなかった。
もっとも敦夫は即死だったので、たとえ二人が急いで地上に降りてきても、どうすることもできなかったと思うが・・・。
とにかく、二人は地上に降りる権利は大事なときに使えと敦夫に言った。
敦夫は、どうしても今すぐに妻に会いたかったけど我慢した。
あと3か月で今年も終わる。
12月31日までに妻に何事もなかったら会いに行こう。
と敦夫は思った。
しかし、その1か月後に大変なことが起きた。
妻が敦夫の死亡に関わる生命保険、その他の手続きに混乱しているときに、何度も下界に降りて口出しをしたいと思った敦夫だったが、グッと我慢した。
そんなことに、大事な地上に降りる権利を使ってはダメだ。
そうこうしているうちに、妻が大変なことをしていたのだ。
ある日、敦夫が”新人死者”の研修を天使から受けているときに、その事件は始まっていたようだった。
研修を終えた敦夫が妻を見ようと思って、下界の様子を覗くことのできる『下界カメラ』を見たときだった。
敦夫の心臓は止まった。
妻は家のリビングのソファで、見知らぬ男と抱き合っていた。
妻は、男の首に手を回して力強くしがみついていた。
必死でオトコを求めるようにしがみつき、男の唇にむしゃぶりつく妻。
そんな積極的な姿勢を妻は敦夫に見せたことはない。
ソファに座って抱き合う男女。
敦夫にとって見慣れた居間、お気に入りのソファだ。
よく妻と並んで座ってテレビを見ているうちに、エッチな気分になった敦夫が妻に手を伸ばして、イチャイチャした居間だ。
しかし、今、見知らぬ表情の妻が、見知らぬ男と抱き合って、口づけを激しくかわしていた。
口づけを繰り返しながら、男の手が敦夫の妻の身体をまさぐる。
妻の背中や腰を力を込めて男の手が這いまわる。
妻の衣服がぐちゃぐちゃにされてゆく。
男の手が妻の胸に伸びると、妻は自らボタンに手をかけ服を脱いでいった。
男も妻が脱ぐのを待ちきれないように次々と、妻の衣服を引きはがしてゆく。
男女の共同作業でブラジャーを外したあと、男が妻の乳房を掴んで、夢中でそこを揉んでいるうちにも妻は自ら、下半身のスカートなども脱ごうとしていた。
男が、半裸の妻をソファに押し倒した。
男は、妻の豊かな乳房を掴み、乳首を口に入れた。
嬉しそうな表情でそれをさせている妻。
男がチュッと音を立てて、妻の乳首を吸うと、嬉しそうだった妻の顔が少しゆがんだ。
「ああ・・・ん」
顔を快感にゆがめて、苦しそうな顔をしながら妻が声を出し始めた。
乳首をチューチューしながら、男の片手は妻の股間に伸びている。
妻はソファの上で、左右に顔を揺らし始めた。
敦夫の見える方に顔を向けるたびに、眉をしかめて、目を閉じて、口を半開きにし、快感にあえぐ妻の表情が見えた。
驚きすぎて、動けないまま、固まったまま、敦夫はその光景を見ていた。
男がのしかかっていた妻から上半身を起こした。
妻は目を開けて、男の様子を見ていた。
男は更に起き上がり、妻の身体から離れて自分の衣服を脱いだ。
男が下半身の衣服を脱ぐのを寝転んだままの妻がじっと見つめていた。
ようやく男が全裸になると、仰向けになっていた妻は上半身を起こした。
今度は、妻が男を仰向けにソファに寝かせた。
男のむき出しになった股間に妻は顔を近づけ、すでに立ち上がっていたモノを指でつまんだ。
妻の口は男のそれを含んだ。
妻が口いっぱいに男のモノを含んで、上下に顔を動かすのを敦夫は見ていた。
自分が今、地上に降りるとか降りないとかそういう考えは敦夫には思いつかなかった。
ただただ、驚きの光景を凝視し続ける敦夫だった。
男のモノを口の中で上下にする妻。
生前の敦夫にはあまりそういうことはしない妻だった。
「君もやって」と言うと、恥ずかしそうに敦夫の男性器の上の傘の部分をぺろぺろしてくれて、でもすぐにやめてしまう妻だった。
いや、それだけで敦夫は幸せだったが、今の妻は、自ら積極的に男のものを口いっぱいのどいっぱいに苦しそうに含んで、激しく顔を上下に動かしていた。
AVで見る女のように。
これは本当自分に妻なのだろうか?
違う人なのではないか?
下界カメラのスコープが、なんか間違ったかな?と敦夫は、固まったまま思っていた。
妻らしき女は下品にジュルジュル音をさせながら、頬をへこませて、男の男性器を吸いこみながら、顔を動かしていた。
----続く-------------
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